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富永夏海「眼窩の街」

◆作品紹介

ゆめをみるのに眼などいらない——瞼を縫い閉じられたぼく、影を喰む砂漠の獣、自らを忘れた魔術師、あらゆるものを売る雑貨屋、死んだ詩人たちの森、逆しまの塔……丁寧に磨かれた幻の結晶たちがきらめき、その表面にさらに無数の風景を映し込む。風が吹きページが繰られるたびに、きみは遥かな街の風景を垣間見る。眼。それは頭蓋の檻から引き伸ばされた脳の一部であり、外界と内界、都市と夢の汽水域に他ならない。わたしたちは眼を開けたまま夢を見て、眼を閉じてふたたび夢を見る。きみがこの作品を読むとき、その眼は開かれているのか、閉じているのか——それともはじめから眼なんてなかったのだろうか?(編・青山新)

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