惑星ソラリスのラストの、びしょびしょの実家でびしょびしょの父親と抱き合うびしょびしょの主人公「壁尻」

◆作品紹介

壁には耳があり、ときには尻があることもあるだろう。
日本で最も有名なSF短編小説の一つは星新一の「おーい、でてこーい。」である、という向きに対し、異論が出ることはさほどないと思われるのだが、それは同作が"Can anyone hear me？"というタイトルで、公立中学校の英語教材として知られる'NEW HORIZON'という教科書に採用されていたためであり、そうであるなら数年後には、「壁尻」がその座に取って代わっていたとしてもそれほど疑問は生じ得ない。壁に耳があることを私たちは子供の頃から知っており、そしてそこには尻がありうることも今の私たちは知っている。これまでなんだって起きたきたように、これからもなんだって起こるのだ。（編・樋口恭介）