真壁潜熱「幻燈の墓標」

◆作品紹介

「ダールグレンラジオ」との共同企画「V系SF」の公募作品。世界観が完全にプラスティックトゥリーのそれである。テーマとした楽曲はプラスティックトゥリー「幻燈機械」であると明示されるが、たとえその情報が伏されていたとしても、プラスティックトゥリーからの強い影響の下で書かれた作品であることはわかるだろう。そしてプラスティックトゥリー的であるということは単に語彙や設定が共通しているということのみを意味するわけではない。選ばれた文体、小説という表現形式と不可分な表現手法そのものに、プラスティックトゥリー性が宿っているのである。ここで起きていることは単なる参照に留まらない。ここで起きていることは、一つの共通する魂による、異なる表現形式のダイナミックな横断である。そのような困難な仕事を可能とするものは何か。V系と小説に対する、非常に高い熱量をもった、愛である。（編・樋口恭介）