『なんしょんな!俺』(9) 新元号とネーミングの難しさ /川人憲治郎
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2019年5月1日から元号が『令和』になりましたね。でも元を正せば『令和』の「令」って「命令」の「令」ですよね。元号にその一文字が入っているのが個人的に嫌ですね。とはいえ、時が経てば馴染んでくるのかなぁ。巷は生前退位による新元号記念とかで盛り上がっているけど、そうそう、毎月1日は映画サービスデーだから映画館に行こっと!
元号ほどではないけれど、アニメ作品に限らず、タイトル、キャラ名、曲名等々、ネーミングって本当に苦労しますね。皆さんご存知の森永チョコボールのマスコットキャラクター『キョロちゃん』をアニメ化した時は、主人公が目をキョロキョロさせているキョロちゃんだから、登場人物もすべて「目」に関わる名前にしました。一部を紹介するとジロリ、パチクリ、マスカーラとか。
2018年4月から放送された週刊少年チャンピオン連載中の『魔法少女サイト』は、登場人物の名前が「水」にまつわる名前になっていました。朝霧彩、奴村露乃、雫芽さりな、穴沢虹海。
これらは一例ですが、このように「目」や「水」縛りでキャラ名を付けたり、世界各国の古典や歴史書を紐解いてみたり、人名辞典を引っ張っていろいろと組み合わせてみたりと、創作者は頭をひねりひねりキャラ名を考えていくわけです。
その昔、タツノコプロの名作『科学忍者隊ガッチャマン』は、タイトル会議をしていた隣の部屋でコップが割れて「ガチャン」と音がしたから「ガッチャマン」にしたとかという話を聞きましたが、真実かどうかは分かりません(笑)
それにしてもタツノコプロの昭和期タイムボカンシリーズは、一度聞いたら忘れられない、そして作品の中身がタイトルだけでも理解できるストレートなタイトルが多いですね。
『ヤッターマン』に始まり、『ゼンダマン』、『オタスケマン』、『ヤットデタマン』、『逆転イッパツマン』、『イタダキマン』ここまでストレートなタイトルを付けられるセンスってなかなか無いと思いますし、素直に尊敬します。
今後ロボット工学の技術がどんどん進んで、「人前では威張っているけど自宅に帰ると水槽のメダカを寵愛し、家にあるインテリア小物が1㎜でもズレていると気になって眠れない」みたいな性格設定を入力すれば即座にキャラ名を国籍別に考えてくれる、みたいなAIが出来ると非常に便利ですね。業界に特化しすぎかな(笑)
実生活でネーミングに悩むと言えば、やはりお子さんの名前ですよね。
親・祖父母から一文字もらったり、好きな芸能人やスポーツ選手と同じ名前にしたり、それでも結局は最終決定を姓名判断に委ねてみたり、とか。
お子さんの名前を決めるって大変なんでしょうね。私たち夫婦には子供がいないので、正直その気苦労は分かりません。でも、飼い犬の名前を決めるのも同じ、と言っては世のお父さんお母さんに怒られちゃいそうですが、うちの飼い犬(♂)の名前を決める時もいろいろと悩みました。結果は「かい」と名付けました。まわりからはソフトバンクの「甲斐」選手からですか?と言われましたが違います。同じ「甲斐」は「甲斐」でも、私の大好きな日本のロックバンド『甲斐バンド』の「甲斐」から名付けました。
敬愛する対象からのネーミングといえば、先日の東京新聞に名古屋在住の元号一家が紹介されていましたね。
祖父が伊藤明治(めいじ)さん(79)、その息子が伊藤昭和(しょうわ)さん(51)、昭和さんの息子が伊藤平成(へいせい)くん(10)。明治さんの父親が「明治天皇を尊敬していたから」名付けられたそうです。この一家に大正さんが居ればパーフェクトだったのに…。
アメリカでは台風に人の名前をつけることで有名ですが、歴代の台風の名前から名づけられた一家がいたら「台風家族」って呼ばれるのでしょうか。日本映画『台風家族』は出演していた新井浩文の逮捕で公開延期になっちゃいました。前回も書きましたが、作品に罪はありません。でもこちらは実際に被害に遭われた方がいるからピエール瀧の事件とは違い、悲しいことですが公開延期もしくはお蔵入りもやむを得ないでしょうね。
【 川人憲治郎(かわんど けんじろう) プロフィール 】
1961年4月1日生まれ。香川県丸亀市出身。
株式会社グループ・タック、株式会社サテライトなどでアニメーションプロデューサーを歴任。
ふしぎの海のナディア(1990年 - 1991年)、ヤダモン(1992年 - 1993年)、グラップラー刃牙(2001年1月 - 12月)、FAIRY TAIL(2009年 - 2013年)など、プロデュース作品多数。
現在は、株式会社ディオメディア(http://www.diomedea.co.jp)にて制作部本部長を務める。無類の愛犬家。
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