東京TDC賞における不正審査疑惑、及びその後の対応について


始めに、以下に記述する内容は不正疑惑の告発を含む。したがって告発者の身に及ぶ影響や保護を目的として、告発者である筆者は匿名を前提とする。憶測や推測による個人名の断定や流布などの行為があった場合、故意や過失に関わらず然るべき厳正な対処を行う。ご了承いただきたい。

 * * *

「NPO法人東京タイプディレクターズクラブ」が主催するデザインコンペティション、「東京TDC賞」に於いて不正審査疑惑の情報を入手した。

それは以下の当該審査員本人からの口頭による聞き取りから得た情報で、限りなく信用度の高い確証に近いものである。
※情報提供者個人に責任が負われる状況を回避するため氏名を伏せる。

  ・東京TDC賞2019の審査会に於いて特定の肩書をつ応募者に対して
   作品の良否に関わらず一律で票を投じなかった審査員がいた

  ・上記は東京TDC賞の審査が例年匿名審査が徹底されていない弊害の
   ために生じた。つまり審査員は応募者名を任意で確認可能な状況下で
   毎年審査が実施されていた

  ・過去に類似例の不正審査疑惑の存在が危ぶまれる土壌があった

デザインコンペティションは一般的に応募作品の中から優れた作品を選出する競技会であり、「作品の良否に関わらず応募者名で判断し、その肩書等で一律で票が投じられない」ことは公平・公正性の観点から、過去通例的に不正と認定される行為に該当する。

また当コンペティションは出品料を徴収する有料による作品募集を行っており、これが事実であれば多くの応募者は不公平・不公正審査を受けたのみならず、同時に経済的不利益を受けたことになる。

また個人による不正審査疑惑ではある一方、当該審査員への任命責任は組織にあり、加えて不正は審査方式の不備によって起こった事象であり、つまり組織として責任が生じることとなる。


したがって当情報を団体事務局に伝え、審査方式の改善等の対応を求めた。そして今日現在の団体の対応と状況を以下に記す。

  ・不正審査疑惑に対して内部調査や第三者機関による調査を実施しておらず、
   理事会や運営委員会で憶測や推測による審査員の氏名を列挙している

  ・つまり事実認定をしておらず、不正審査疑惑として放置し隠蔽している
   状態である

  ・審査方式は匿名審査に変更したようであるが、その理由は当疑惑とは
   直接的関係は無いとしている


一般的に考え得る危機管理の観点からの対応は、以下のような項目が挙げられる。
1.内部調査や第三者機関による調査を行う
2.事実認定をする
3.事実であれば公益団体として公表する
4.応募者に謝罪し、必要に応じて出品料の返金処理等を行う
5.再発防止策を講じる
6.不正を働いた当該本人ならびに責任者に処分を下す

しかしながら、現状は調査を行っておらず不正疑惑のまま放置しており、審査方式は変更したが当疑惑とは直接関わりが無いとしている。つまり現状のままでは当告発や不正審査疑惑が無かったこととされ隠蔽される可能性が大きく、したがって今回の記事の公表に至った経緯となる。

団体事務局へは2019年の3月に最初の問合わせを行ったが、その際に事務局の方の私見と独断で問合わせを却下されそうになった。しかし粘り強く交渉を重ね、その後の対応と回答に対する承諾をようやく得たが、約束を反故され、今日まで一切の連絡がなかった。その対応を見兼ね返答の催促を行ったところ、約束を反故したことへの謝罪もなく、当疑惑とは無関係に審査方式を変更した旨だけを知らされた。そして現在は問合わせにはこれ以上返信できないと、合理的な理由を提示されないままに逃亡されている。
この一連のあまりにも非常識的で不誠実な対応に、事務局は元より団体への信用を寄せることは大変困難となった。

今後のさらなる対応を当団体に期待することは全くできない状況にあるが、東京TDC賞に於いて不正審査疑惑があったこと、そしてその後の対応が充分ではない事実をここに留め、今後当該コンペティションに応募を予定されている方々の判断の一助となることを期する。

最後に、2015年に社会問題となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレムに於ける不正審査等の問題以降、業界団体の変わらずの意識と有り様は上述の件からも窺い知れる。業界と一般社会との解離と断絶から、何を反省し学び得たのか。個々人が当事者意識を持ち営為し続けることが改めて問いかけられる。


2021.02.21 anonymous



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