![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/95664671/rectangle_large_type_2_6351621dca371e7b8588b7a396a27458.jpeg?width=1200)
ぼかし肥と堆肥の違いは何か?をざっくりとまとめてみた
以前から私は雑草や落ち葉を積んで発酵させ、畑に入れる堆肥を自作しています。で、先日めずらしくコーヒーかすを使ったぼかし肥を作ってみたのですが、発酵させる過程はほぼ一緒でした。
では、ぼかし肥と堆肥は何が違うのでしょうか?今回はそんなことを少し真面目にまとめて記事にしてみようかと。(^^;)
そもそもぼかし肥とは何か?
ぼかし肥とは有機肥料を発酵させて肥効をボカシた(穏やかにした)ものです。
ぼかし肥料の原料として用いられる米ぬかや油かす、魚粉、骨粉、鶏糞などはそれ自体でも有機質肥料として直接土壌へ施用することができますが、その後すぐに作物を栽培すると、施用初期の急速な分解による有機酸の生成や発生したアンモニアガスなどが、発芽や植物の生育を阻害することがあります。
そこで、それらの有機質肥料を直接施用するのではなく、使用前に土などと混ぜて微生物による分解・発酵を行い、急速な分解や肥効を「ぼかす」ことが行われました。ぼかし肥料の「ぼかし」はここからきています。
材料は米ぬか・油粕・魚粉・牛糞・豚糞・鶏糞・ふすまなどの有機物で、そのまま単体で有機肥料として使える、ある程度の窒素分を含むものならなんでもOK。
これらの材料を混ぜて水分含量が40%前後になるように加水してやれば、ほぼ自然に発酵します。特に決まった作り方というのはなくて、どの材料を選んでどれだけ配分するかは、自分がどんな成分のぼかし肥を作ろうとしているかによって変わります。また、発酵を促進させ、畑に多様な微生物を殖やすための工夫として、酒粕やヨーグルト、乳酸菌飲料、ドライイースト、納豆、市販の発酵促進剤、黒砂糖、糖蜜などの様々な材料が用いられます。これが「農家の数だけぼかし肥の種類がある」と言われるゆえんです。
![](https://assets.st-note.com/img/1673738218200-pOW3MQE2wG.jpg)
じゃあ、ぼかし肥と堆肥は何が違うのかな?
ぼかし肥も堆肥も、微生物が有機物を分解して植物が吸収できる状態になったものです。どちらも好気発酵や嫌気発酵をさせて作ります。ただ、次の2点が大きく違います。
1. 材料のC/N比(炭素率)が大きく違う。
2. 一般的にぼかし肥は途中で発酵を止めるが、堆肥は止めずに完熟させる。
以下、個々に詳しく説明します
1. 材料のC/N比(炭素率)が大きく違う。
C/N比って何?とおっしゃる方のために、ここからは材料のC/N比について少しわかりやすく説明しましょう。
C/N比は有機物それぞれの窒素と炭素の含有比率のことです。これを求める式は「全炭素÷全チッソ=炭素率」で、C/N比のことを別名で『炭素率』ともいいます。
下の表は一般的な有機物のC/N比を低い物から順に並べたものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1674273231498-tkvR4wFTDu.png?width=1200)
・数値が低いほど窒素の比率が高く炭素が少ない……分解されやすい
・数値が高いほど炭素の比率が高く窒素が少ない……分解されにくい
C/N比はおおむね20を境として、それより数値が小さい(つまり窒素が多い)と、微生物による分解の際に窒素が放出され(これを無機化という)、逆に数値が大きいと反対に土の中の窒素が微生物に取り込まれる(これを有機化という)とされています。
だから、C/N比の高い有機物を未発酵のまま大量に畑に入れると窒素飢餓が起こると言われているのですね。例えば「もみ殻を大量に畑に撒いてはいけない」と書かれているのをあちこちで見かけるのは、もみ殻のC/N比が75もあって、分解される際に土の中の窒素が微生物にたくさん取り込まれることで、作物の成長に必要な窒素が足りなくなってしまう可能性があるからなのですね。
さて、この表を見て分かる通り、前述のぼかし肥の材料はどれもC/N比が低く窒素分を多く含みますが、堆肥はわらやもみ殻、落ち葉、樹木の皮など、比較的C/N比が高く窒素の含有率が低い=分解されにくいものを材料にして作るのです。(ただし、動物性堆肥はちょっとまた話が別です。)
その結果、ぼかし肥は窒素をはじめとする三要素の含有量が高く、作物に施すと速やかにしかも長く穏やかに効き目が持続しますし、堆肥は窒素の含有量が低く、土中でゆっくりと分解されるので土質改善に有効なわけです。
2. 一般的にぼかし肥は途中で発酵を止めるが、堆肥は止めずに完熟させる。
微生物は有機物に含まれている窒素をエネルギー源にしながらその有機物を分解していきます。ですから多く窒素を含んでいる有機物ほど早く分解が進みます。
そうして分解されやすい有機物(易分解性有機物)の分解が概ね終わり、分解されにくい有機物と無機物と残った水分の混合物となった時点が「完熟」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1685963901908-9wXnIRvoxk.png)
ただ、ぼかし肥は作物の肥料として用いるので、分解時に窒素をたくさん消費されてしまうと肥効そのものが下がってしまいますので、それは大変に困るわけです。
ですから、ぼかし肥はわざと完熟させずに、途中で発酵を止めるのです。農家さんによっては、40℃以上に温度が上がらないように管理されるのも、同じ理由からなのですね。
ぼかし肥は作物のために施し、堆肥は土づくりのために施す。
続きます。
うーむ。わかりやすかった?
真面目にやってみたけど、どうだったかな?
あ。似合わんって?www
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?