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【ネタバレ無し】ミステリー好きに心からオススメしたいゲーム『オブラ・ディン号の帰還』という傑作。

 本記事は謎解きアドベンチャーゲーム『Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)』のクリア済み感想&布教用記事である。ネタバレ無しの感想とネタバレありの感想を書いているので、未プレイの方は本記事の【ネタバレ無し感想&布教】を、既プレイの方は文末に記載の【ネタバレあり考察&感想】をご覧いただけると嬉しく思う。

まず伝えたいのは、<傑作>であるということ。

 先に結論から言えば、傑作である。私の中で久々に出会えた『記憶を消してもう一度やりたいゲーム』の一つとなった。未プレイの方がいれば、ぜひネタバレを回避したうえでご自身の力でクリアを目指してほしい。
 『逆転裁判シリーズ』や『ダンガンロンパ』シリーズが好きな方は勿論、リアル脱出ゲームのような体感型謎解きゲームが好きな方には強くお勧めしたいゲームだ。※ただし、殺害の犯行シーンが映し出される関係上、かなりグロい描写があるので苦手な方は注意。
 
 私の総プレイ時間は13時間ほど。2,000円で楽しめるゲームとしてはちょうどいい位のプレイ時間だが、プレイ時間に対しての脳ミソの疲れ方が尋常ではない。自分で処理すべき情報量が多く、攻略難易度はそれなりに高めのゲームだと思う。しかしその分、自分の推理がぴたりと当たった時の快感はとてつもない。我こそは名探偵と思わせてくれる、まさに、“得難い体験”をさせてくれるゲームであった。

 2021年1月現在、PC、PS4、switch、XBOXで配信されているので、自分がやりやすい媒体でプレイできるのもありがたいところ。私はPS4版でプレイした。

どんなゲームか。

 本作は『探索と論理的推理で展開する、一人称視点の謎解きミステリーアドベンチャーゲーム』である。(公式HPより引用)
 1803年に出向して以来、行方不明となっていた商船が4年後に無人の状態で帰還した。保険調査官であるプレイヤーは、その商船に乗り込み、安否確認を開始する。遺体や残留思念から『死者の最期の場面』を読み取ることができる奇妙な懐中時計を頼りに、乗員・乗客60名に何が起こったのかを推理、解読していく――というあらすじ。

 私が当初思っていたよりも明示されるヒントはかなり少なく、自分自身で推理しなければならない部分が多い。故に達成感はひとしおである。

 調査にあたり主人公たる自分が手にする道具は2つ。奇妙な【懐中時計】と、とある人物の【手記】である。この2つはゲーム開始直後に手に入れることが出来る。
1、懐中時計
こちらがその懐中時計。マークがおどろおどろしい。

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 船上・船内には遺体が横たわっており、

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 遺体の近くで懐中時計を使うと、『死者の最期の場面』へ飛ぶことが出来る。

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 『死者の最期の場面』の世界はある程度自由に歩き回ることが出来、様々な角度から状況を観察することが可能。ここでの探索が身元確認のために極めて重要な情報源となる。

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 誰(どんな人物)に、どうやって殺されたか?その現場にいたのは誰か?同じ時間、別の場所には誰がいたか?など…注意深い観察が必要となる。

2、手記
 とある人物から送られてきた手記であり、最初の数ページはオブラ・ディン号に関する基礎的な情報が記載されている。一部抜粋すると、
・乗員乗客名簿

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 氏名、職名、出身地が記載されており、安否の欄は確認が取れた(正解した)時点で追記されていく。
・スケッチ

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 写真技術が飛躍的に進歩した(ダゲレオタイプ(銀板写真)の発明された)のが1840年ごろなので、1803年出航のオブラ・ディン号の様子を伝える手段はスケッチ頼みとなる。スケッチの情報だけでは不鮮明ではあるが、こちらに描かれている状況も推理の大きな手助けとなる。

 また、上記以外の多くのページは空白となっている。

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 船内で遺体や残留思念を発見し、懐中時計で現場を”視る”事で、次々と内容が記載されていく。

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 プレイヤーが始めに目指すのは、この手記のページを埋める事。遺体や残留思念を辿ることで、オブラディン号で何が起こったのか?を追体験していく。
 オブラ・ディン号を襲った様々な苦難や人間ドラマに圧倒されることになるが、一通りの物語を追体験するのにそう時間はかからない。せいぜい数時間あれば、全ページ埋まることだろう。となると、残りの時間はといえば…そう。推理の時間である。

推理の楽しさ

 ゲーム内での登場人物たちはあまり多くを語らない。例えば銃で撃たれた人がいたとして、隣にいた人が「佐藤さーーーーん!!」と叫ぶ事は極めて稀である。ちょっとした発言・行動から、映し出された人物が何者なのか?一緒にいる人物との関係性は?を考え、一つ一つのピースを埋めていく必要がある。また、人物のみならず、船内の様子や小道具などの細かい箇所にも気を配る必要が出てくる。さんざん見たはずの現場でも、後々見つけて「こんなところにッ…!?」と、ぐぬぬとさせられる情報もあった。(これは単に私の勘が悪いという話でもある)
 特に情報が少ない人物は、消去法でしか特定が不可能である点も難易度の上昇に拍車をかけている。※消去法云々に関してはゲーム中でも言及されている。

 ゲーム上の『正解の開示』は、スケッチにおける人物の氏名、安否(殺害された場合は「誰に殺されたか」と「死因(凶器)」のセット)が3名分一致した時点で行われる。

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 上記画像のように、用意されている死因も多種多様。よく観察して選ばなければならない。

 乗員乗客は総勢60名もいるため、当てずっぽうで氏名や安否を記入しても、正解できることは稀である。情報を丁寧に集めていき、ロジカルな推理を心がければ、少しずつ調査は前に進んでいくはずだ。
 自分が見つけてきた様々な情報が、パズルをはめるようにパチッとハマった時の快感は、まさに本ゲームならではの特別な経験となることであろう。

最後に。

 ネタバレが致命的なゲームなので、簡単な紹介しかできないのが口惜しい。また、白黒で描写される独特の世界観やリアルな人物の描写ゆえ、プレイをしり込みしてしまう人もいるかもしれない。(かくいう私もそうだった)
 しかし、プレイし始めたが最後、止め時を失うほどの熱中度。調査が一つ一つ進んでいく充実感。最後の謎が解けた瞬間、思わずガッツポーズして叫んでしまうの達成感。クリア後に考察サイトを巡りたくなってしまう物語の奥行・完成度。普段文章を書かない私が思わず筆を走らせるほどの強烈な余韻。他に類を見ない素晴らしいゲーム体験、ぜひ皆様にも味わっていただきたい。
 『Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)』、おススメである。

ネタバレありの感想&考察はこちらへ↓
https://note.com/annindouhu/n/n1956ddde7aa5

(宣伝)

実況してます。
※もちろんネタバレ注意です。
※姿は女の子ですが、声はおじさんです。

以上。

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