2月5日みたらしだんごの日
人生は選択の連続だと聞く。
確かにそうだ。毎日何かしらを選択している。でも、だから何だというのだ。
私はここで、もうかれこれ20分は立ち尽くしているかも知れない。ここはスーパーの和菓子売場である。
「おじょうさん、ちょっとごめんなさいね」
「あ、すみません」
横からカートを押したおばあさんが来て私の前を通る。その際、そっとミニ大福の袋を手に取りかごに入れた。このおばあさんは数ある和菓子の中でミニ大福を選択し、かつ、買うと言う選択をしたのだ。おばあさんの顔はどこか少し嬉しそうな顔である。
私は目の前にあるパックを手に取った。ずしりと重みがあるように感じるのは私の気のせいだろうか。
私も選択する。まずは一つだけ、みたらし団子を手に取ると言う選択。
私はこのみたらし団子を買おうか買うまいかで悩んでいるのだった。なぜ悩むか、それは私がダイエット中だからである。
あ、別のおばあさんが『すあま』を買っていく。いいなぁと思ってしまった自分はやはりみたらし団子が食べたいのだろう。でも太るじゃない。そう思って購入を躊躇うのだ。
手に取ったパックを裏返すとカロリーが載っていた。1本約140カロリーか。やっぱり100カロリーでは治まらないな。それに3本も入っている。1日1本に抑えたとしても3日連続で食べなくてはならない。ダイエットをしている身としてそれはいかがなものだろうか。
あ、でも。私は団子を見ながらあることに気づく。このみたらし団子って、さといもの煮っ転がしとご飯を食べることと同じようなものではないか?団子はご飯、かかっているたれは醤油と砂糖が主だとしてさといもの煮っ転がしとにたようなものではないだろうか。と、なるとおやつと言うよりもご飯になるのではないか。
いやいや、そんなはずはないだろう。ああ、でもそう捉えることが出来るなら、これを食べても夕飯を少し減らすことでカバー出来るのではないか。そして明日と明後日も同じようにすれば、おやつをがっつり食べている感は相当に薄れるはず。
いや、それでも。
私は何度目かのループに入り、頭のなかの混乱を抑えるためその場を離れることにした。用もないのに乳製品の売場近くをうろうろする。
選択の連続だと言うが、選択が出来ないこともあるのだ。
その場合はどうしたらいいのだろう。シェイクスピアはそこまで教えてくれないのだろうか。
結局私は今日、今、みたらしだんごが食べたいのだ。でもやせたいと言う気持ちが邪魔をする。後者を邪魔と思う時点で結論は出ていそうだが。
よし、もう一度見て今日のところは我慢してみよう。家に帰って、それでも食べたいと思ったならば明日また来よう。
そう決めると考えがぶれないうちにと私は急ぎ足で再び売場に向かった。
「あ」
みたらし団子の前。私は何も思わず表情も変えず、そのパックを手に取り、まっすぐにレジに向かうことにした。
パックには半額シールが貼られていたのだった。
食欲に加えて値引きが加わるとダイエット欲は跡形もなくなる。
でも、まあ、私は『食べる』と言う選択をしたことで『幸せ』と言う結果を選んだのだと言えよう。
これでいいのだ。
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【今日の記念日】
2月5日 みたらしだんごの日
「みたらしだんご」とは砂糖醤油の葛餡をかけた串団子のことで、この商品を製造する山崎製パン株式会社が制定。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで幅広く販売されている「みたらしだんご」を、手軽なおやつとしてもっと食べてもらうのが目的。日付は「み」(3日)たら「し」(4日)だん「ご」(5日)の語呂合わせから毎月の3日、4日、5日とした。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。
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