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はじめまして、もしくはお久しぶりです。 「あにぃ」と申します。 イイ歳をした小説家志望です。 ★2024年1月1日より、超掌編小説の毎日18時投稿を開始致します。 どうぞ末永くよろしくお願い致します。 ------------------------------------------------------------ 以下、私の略歴と自己紹介です。 中学生で小説家に憧れ 高校生でがっつり反抗期に入り 短大生で不器用に遊び 社会人になって大人になることを知り
【140字小説】 大雨の次の日は晴天が多い。では晴天の次の日はどうなのだろうかと思うと、少し悲しい。いいことが起きますようにと毎日願うほど、いつもと変わらない今日でありますようにとも祈っている。特別なことが起こればそうでない日が悲しくなりそうだから。あなたが今日、私の前に現れないことを祈っている。
【140字小説】 理詰めでトコトン追い詰めた。私の主張は全て正しく、懇切丁寧に道なりに一つずつ話をしていく。相手はぐうの音も出ないし、私と同等の理論的な返答がひとつもない。ただ相手は、まっすぐに自分の気持ちを答えていた。私の方が正しく道筋を示しているのに、どうしてこんなに追い詰められているのかな。
【140字小説】 こんなハズじゃなかったと毎日思って生きている。雪松が言うので、むしろ『こんなハズ』なことしか起きない人生だなと、いたずらに私は言った。雪松は私を見て、ふわりと優しく、嬉しそうに言った。『こんなハズ』じゃないことばかりの人生だと思えばそれは楽しいな。私はこんなハズではと妙に悔しい。
【140字小説】 私の夜がなかなか明けないでいる。ずっと暗がりで、時々差し込む光が朝を思えど、暗闇は続いている。白い顔の人と緑の体の人が、私を取り囲む。幸せかと聞くので、暗闇で両手をふよふよと泳がせながら、まぁ幸せよと答える。サングラスを外すと、私の朝がそこにいた。Happy Halloween🎃
【140字小説】 シャトルエレベーターの中で下りながら、私は静かに不思議を思う。私の体は下へと降りていくのに、取り残された何かは上に上がっていく。ほんの少し内臓がひゅっとして、生きていると実感したまま心と体が、もしくは体と体が、上へ下へとちぐはぐになる。混乱しかける頃、1階に着く。
【140字小説】 黒ワンピースをひらりと翻し、私はここで舞う。音があるわけでも何か映像があるわけでもなく、私はただ揺蕩うように踊るのだ。あの日のあの子の笑顔も、あの時の悲しい涙も、今この1人の夕べも、全てが私を作っているのだから。そう思うと踊らずには居られなくなる。タタントントン。
【140字小説】 月曜日の朝は本当にぼんやりしていて、いつもの道が何やらクニャクニャと曲がりくねっていることにさえ気づかない。眠い目を擦り、グニャりと曲がる道を行き、その日をぼんやりと過ごす。そんなことだから、火曜日がまるで月曜日のように週の始まりにも思える。すると、残り4日に感じで意外と気が楽。
【140字小説】 私の空がどんよりと鈍く曇っているのはいつものことなのだが、今晩の私の空はとても澄んでいる。それは私が今日、誠実な嘘をついたからだと思う。とても綺麗で必要な大切な嘘である。そんなものを私は、胸に抱えて1日を過ごし、見上げた空がこんな風に特別に住んでいるのなら、私はこれを正義と呼ぶ。
【140字小説】 大きくなったら何になりたい?と聞かれたので、そうだなぁ、絵本でも描いてみたいな。小さな子が大きくなることを楽しみに思えるようなそんな絵本。私が描いてあげるよと言ってくれたのでお願いすると、ふふふ、なんだか似通ったふたりの物語になった。母はまもなく喜寿となり、私は今日40歳になる。
【140字小説】 電車が到着し、扉が開く。導かれるようにして、私は電車に乗り込んだ。車内は全く知らない人ばかりなのに、私の顔を見るや、お疲れ様、おかえりと言わんばかりの笑みで迎えてくれた。とは言え満員である。私は空いたスペースに立ち吊り革を掴む。ホワッとしてやわらかい。今日は金曜日で時刻は18時。
【140字小説】 曇天が私を見下ろしていて、見上げた私が呼べば、雨が降り落ちてきそうだ。息を吸う。乾いた少し冷たい風と足元をさらう湿っぽい空気、今、私の横を通り過ぎた女性の香水が私に触れている。こうして、上からも下からも私は何かと触れていて、それら全て構成して私は出来上がる。私は1人では成らない。
【140字小説】 秋から冬に変わる季節に朝の湖がある。少しずつ夜が明けて、明るさを取り戻した空に鳥が飛び、ほとりに集まっていた。チュンチュンとあの子がさえずり、チチチュンとあの子が答える。寒くなってきたねと、そう言っているみたい。私は窓越しに「そうだね」と、温かいココアを飲んでいる。この朝が好き。
【140字小説】 私の周りの何かがカシャン、と音を立てる。その音に私はハッとして、顔を空に向ける。すると、眩いほどの青空とそれに滲んだ穏やかな陽の光が私の目に飛び込んだ。そして私はふと思う。ああ私、やりたいことがある。こうして私の行く道は少しずつ、けれどに確かに出来ていく。今、私はまた歩き続ける。
【140字小説】 私は雨音を聞きながらうとうとと眠くなっていた。さぁさぁと降いう弱い雨にざぁざぁという少し強い雨が混ざって落ちる。その音を聞き分けようと集中して私は眠くなる。目を閉じて、私は泣いている。もっとちゃんと、愛してあげればよかった。雨にも涙にも、ストレス物質が含まれていると思う、たぶん。
【140字小説】 私に何ができるのかは知らない。分からないから私には、もっとこれがしたい!もない。無味無臭で無機質な私はそんなに嫌いじゃない。でもこのまま放っておいたら段々と動けなくなり、地面の土と同一化し、近くに植えられている小さな花たちの養分になるのではないか。・・・あった、私が役立てること。