見出し画像

“「お客さん、たぶん今机拭いて欲しいやろうな」って思ったら机拭くことかな。人がして欲しいことの一歩先をやることが仕事やと思うねん”

05. 猿丸浩基 / ピザ屋オーナー

画像1

25歳で渡米し、本場で学んだニューヨークスタイルのピザを日本で広めた猿丸さん。「これまで日本にないってことは需要なんてないんじゃない?」と他人に言われても、変化し続けることで現在東京に5店舗を構え、日本のフードカルチャーの一翼を担う存在となった彼の仕事観や大切にしていることを伺いました。

■猿丸浩基 (さるまる ひろき)
PIZZA SLICE オーナー。
25歳の時にニューヨークへ渡米。美味しいピザの作り方を学ぶべく、タダ働きから始め、修行する。2013年に帰国後、それまで日本になかった1スライスから売るニューヨークスタイルのピザ屋を代官山にオープン。現在東京に5店舗を構える。

Instagram : @250pizza
PIZZA SLICE : @pizza_slice_tokyo



_自分自身をいい状態に保つためにしていることや、習慣はありますか?
嫌なことをやらないことかな。「これを断ったら、多分この人嫌な気分になるやろな」「俺のこと嫌いになるやろうな」とか、考えると行動を取れなくなっちゃうんだけど、「今はこれ。だからこっちは後回し。嫌われてもいい」って分けてる。その時々で優先順位って違うし。苦じゃないことが自分の選択やし、それは自然と習慣になってるかな。


_今の仕事を始めたきっかけは?
ピザ好きやけど、その好きが苦じゃないっていうのは仕事にしたきっかけとして大きいかも。

ちっちゃい時からずっと好きやったものがビジネスに変わるときって葛藤があるやん。「値段ってどう付けたらいいんやろう」とか、「高いって言われたけど、これ高いんかな?」とか、いらんこと考えなあかん。

そういうのがあると、段々ピュアな気持ちから、大人な感覚にならざるを得なくてしんどいと思うんやけど、ピザの場合は元々ビジネスありきのもんやん?食べ物やし。だから成り立ったんやろうなと思う。


_あなたにとって仕事とは?
「お客さん、たぶん今机拭いて欲しいやろうな」って思ったら机拭くことかな。人がして欲しいことの一歩先をやることが仕事やと思うねん。

やりたいことに需要があるかないかってすごい大事で、人に求められてないのに供給だけしても、冷たい言い方をするとそこにお金が発生しない理由って必要とされてないからやん?

だから俺、仕事ってめちゃめちゃクリエイティブやと思ねん。「こうゆう感じ、みんな好きなんとちゃう?」って狙って行くと同時に、自分の作るものの需要を増やすことも一緒に考えるから。それってさ、なかったものに気づかせるってことやん?
相手が求めてることを自分のできるスキルで表現する。これ。これが1番大事なことやと思う。どんなことでも。


_発想やクリエイティビティの源泉は?
人じゃない?例えば、25歳の女の子が何考えてんのかなぁって思った時に、何個かアイディアばーーっと出てくるやん。そん中で、自分やったらこれがいいなって思うものを表現して、それで25歳のうちの30%ぐらいが興味持ってくれたらビジネスとして成り立つからさ。

スライス(PIZZA SLICEの略称)やったら年々お客さんが変わってるからそれに合わせて新しく創るお店も変えてる。
若い子だけのブランドやったらさ、かっこつけた感じでいいんやけど、それで子連れのお客さんが入りにくいとかかっこよくないやんか。お客さんと一緒にブランドが成長しなあかんと思うねん。

やから全部お客さんからやな。向こうが欲しいものを俺のフィルターを通して表現する感じ。


_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
俺そんな深く考えてないんやけど、「楽しませる」とちゃう?結構子供目線で考えてて、俺が小さいときにテンション上がったのってどんなとこやったやろうとか、こんなん昔あったらはしゃいでたなーっていうのは物事を決めるときに大事にしてる。

実際、ここ子供の時やったらめっちゃ走ってたなぁって思ったところを、狙い通り「きゃー」とか言って走ってる奴もいるし(笑) なんかそういうのってすげえ思い出に残るやん?俺ら、「SLICE OF YOUR LIFE」っていう言葉使ってんねんけど、あれって「PIZZA SLICEがあなたの人生の断片の中にありますように」っていう願いを込めて作ってんな。ほんまそんな感じ。この子の思い出に残るにはどうしたらいいかな、みたいなことだけ考えてる。


_今の仕事を始めるのに不安はありましたか?また、それはいつ乗り越えましたか?
いやいや、今もずっと不安やで。でも消えへんから、みんな続けるんちゃう?消えたら終わるんちゃう?


_仕事をやり続ける原動力は?
何かと比べたときに、自分が劣ってるから頑張れるんやと思う。不安とか、劣等感とか。
目標ってさ、自分の劣等感を掻き立てるために立てるわけやん。そういうのを自分で意識的に作っていくことが続くコツやと思うねんな。だからあんまりハッピーすぎてもなぁ…。


_成功と失敗の基準は?
人が離れたら失敗ちゃう?お金持ちになっても周りに人がいなくなったら、それって必要とされてないってことやと思う。お客さんは来てても、従業員全員いなくなったりとか。そうなったら多分俺やめざるを得ないし、さみしいと思う。


_やりたいことが見つからない時はどうしたらいいでしょうか?
樹木希林の言葉で、高校生が「夢が見つかりません、どうやったら夢って見つかるんですか」っていう手紙に「夢が別になくてもいいのよ。その場合は夢がある人の役に立てばいいの。その人の夢を実現するために働いたらいいじゃない」って返してて。俺その言葉めっちゃ好きやねん。ほんまにその通りやと思ってて。

今ってさ、「好きなことを仕事に!」っていうのが標語みたいになってきてるけど、それってほんま最近のことで、19世紀に入って経済がやっと安定してからの思想やし、その前までは「生まれた家が包丁研ぎやから包丁研いでます」っていうのが普通やったやん?そのシステムが崩壊したのが最近のことやから、みんなまだ混乱してるだけやと思うし、好きなことがなかったらあんまり無理して探さんでいいと思う。

みんな20・21歳までで社会人になろうとするんやけど、精神年齢は伴ってなくて、中身は大学生のままやから、30まではセルフで課外授業をやるべきやと思うし。そうしないと、人生決められないから。100年前も若者は不安やったし、俺も20才のときにピザ屋やってるなんて思ってなかったし。
社会人になりたくないんやったら、まずはならなくていいし、その代わり、全部で他の奴に負けると悔しいから、何かで秀でるように、自分で勉強したらいいと思う。

この続きはご購読していただいた方のみご覧いただけます。
_キャリア始めに意識的にしていたことは?
_今日までに学ぶのに最も時間がかかったことや教訓を教えてください
_これからの日本や世界に必要だと思うことは?逆に不要だと思うことは?
_もしも今キャリア始めに戻るなら?
_これからの夢あるいは目標は?
※この記事は、単品で100円で買えますが、マガジン購読だと500円で公開予定を含む50記事が読めるため、1記事10円です。そちらの方がお得です。
全部に興味がなくても「マガジン購読してるし読んでみたらめっちゃおもしろかった」なんていう偶然の出会いになったらいいな、って思ってます。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
この記事にいいね♡を押していただけると、多くの方に読んでもらえている可視化に繋がるため、今後のインタビューイの方に「取材に応える価値がある」と思ってもらえます。みなさんのシェアやフォローの数、そして記事へのいいね♡の数が本当に力になります。だから押していただきたいです。
どうかよろしくお願いします!

ここから先は

1,621字 / 1画像
この記事のみ ¥ 100

サポートくださりありがとうございます!ご支援いただいたことを糧にこれから制作をがんばります。