私が「本当に」やりたいことと向き合うStory最終話<タイミングは突然に、な話>
「人生は、必要なものが必要なときにやってくる」
今となっては、その言葉は本当なんだろうな、と思える。
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1ヶ月間の休職期間を得て、私はようやく退職すると決断することができた。
そして同時に、次の働き方を模索していた。
同じように就活をして会社に入る?
新しいスキルを身につけてフリーランスとして働いてみる?
英語の先生もできそうだな
そんな宇宙の広さくらいのたくさんの可能性にちょっぴりのわくわくを感じてはいたものの、やっぱり不安の方が圧倒的に大きかった。
次に進んだ先で、また同じようなことを繰り返してしまうかもしれない
社会人1年目で、しかも半年しか働けていないやつを雇ってくれるところなんてあるんだろうか
そもそも私って社会に適合しているのか
私が本当にやりたいことって何かも分かってないのに次を決められるのか
そういう葛藤を抱きながらも、次の働き方を考える日々が続いた。
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そんなある日、いつものようにパソコンの前で睨めっこをしていた午後の昼下がり。ふとあるお店を思い出した。
それは1年前まで住んでいた街にあった、私の大好きなお店。
コンセプトにとても共感していて、よく買い物をしていたからスタッフの方とも面識はあった。
おもむろに、私はそのお店のサイトを訪れていた。
すると、ページの上部に「スタッフ募集」の案内が。
一瞬、時が止まったように感じた。いや、もしかしたら0.2秒くらい止まってたかもしれない。
急に身体が熱くなった。きっと興奮していたのだと思う。まるで、漫画の中で主人公の頭に電流がスパーンと流れる描写のようだった。あの時の高揚感は今でも鮮明に覚えている。
「ここかもしれない、私が次働く場所…」
根拠なんて少しもない。でも私の直感が「ここだよ」、そう言っている気がした。
後から聞いた話ではあるんだけれど、このお店は求人を滅多に出さない。
だから私がサイトを見たタイミングは、奇跡と言っても大袈裟ではないくらい、本当にドンピシャだった。
すぐにメールを送って応募した。
そして面談を2回して、あっという間に内定をいただいた。
サイトを見てから2週間後のことだった。
今までの時間が何十年にも思えるくらい、そのお店の求人に出会ってからはトントン拍子で事が進んでいった。
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後付けなのかもしれないけれど、人生のいろんな出会いや経験は点であり、その点が急に線になって繋がる、そんな体験をした気がしている。
私が足繁く通っていたお店の出会いも、それまではただの一つの点だったんだけれど、
その出会いの先の展開は、私が本当に必要になるタイミングまでゆっくり待っていてくれたのかもしれない。
きっと、紆余曲折せずに新卒としてそのお店で働く、という道も可能性としてはあったのかもしれないけれど、
きっとグネグネした道を歩きながら、もがきながら遠回りをすることが、あの頃の私には必要だったのかもしれないし、そうしなければ辿り着かなかった到着地だったのかもしれない。
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今、私は「働くってこんなに楽しいんだ」と心の底から思える環境に身を置くことができている。それは本当にありがたいことだと思う。
あの時苦しんだ経験は、たまにふとした時に私を襲ってくるんだけれど、それでも少しずつ癒えてきている。
あの時、暗闇の中で悩んで泣いて、頭を抱えて、いろんな人と話したり紙に書き殴ったりして進む道を必死に探していた自分に、「あなたがする選択は、今の私を幸せにしてくれているよ」と伝えてあげたい。
頑張ったね。今も頑張っているよね。
全部ぜんぶ自分がちゃんと分かっているよ。
苦しんだ私も受け入れてあげたいし、今を楽しむ私も認めてあげたい。
あなたはちゃんと強いから。ゆっくり歩けば良いから。
今を頑張る誰かの勇気に少しでもなりますように。
fin.