未経験でWebデザイナーになりたい、と言ってきたMさんに伝えたこと
先日、友人から「未経験だけどWebデザイナーを目指したいという人がいて、相談に乗ってもらえないか」という連絡をいただき、その方(Mさんとします)とお話をしてきました。
もしかしたらMさんみたいな人はもっといるのかもしれないと思ったので、その時Mさんに伝えたことをまとめようと思いました。
まず初めにお伝えしなければならないことは、私はWebデザイナーではありません。他のデザイナーでもありません。
ただ、ここ3〜4年程Webサイト・サービス・アプリなどを制作する会社のPRの仕事をしています。(採用も少し担当してました。)
そのため、Web業界のことはそこそこ詳しいと思うし身近にデザイナーもいる、けど私自身はデザイナーではない、という前提をご承知おきください。
(且つ、本記事の内容は会社としてではなく個人としての発信となります。)
既に色々ご自身で学ばれている、調べている方向けというよりは、「Webデザイナーになりたいと思ったけど、どこから手をつけていいのやら…?」となっている方に少しばかりお役に立てる記事にはなるかなと思います。
どうやって情報を収集して良いかわからない
Mさんは現在アパレルで働いていて、自社のブランドサイトやECの仕事をする中でWebデザインに興味を持ち始めたようです。
自身で色々調べたりYouTubeを観たりしているとのことでしたが、私が今回伝えたようなことは知りませんでした。
私は普段、企業側として採用のために色々と情報発信をしていますが、どうにも業界内かその付近の人たちにしか届いていない感覚があります。人材についても、業界内でローテーションしてるなぁと思うこともちらほら。
まあ企業側からしたら経験者が欲しいことが多いでしょうから、それもそれで良いのかもしれないですが。
ただ、これでは母数が増えるのは難しいのではないかと。
そしてMさんのように、業界にアクセスするきっかけやルートがないと、せっかく「なりたい」と思う気持ちがあっても「なれる」可能性が閉ざされてしまうこともありそうです。
日本のIT人材は、他の先進国と比べても圧倒的に少ないと言われています。
(参考記事:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」)
多くのIT企業や制作会社が、デザイナーやエンジニアの人材不足で採用に労力を割いています。
こういう状況の中で、せっかくの「なりたい」の芽を摘むようなことになってはもったいないなと思いました。
WebデザインとUI/UXデザインの違い
はい、早速素人が語るにはおこがましいテーマですね。
私が最初にWeb制作会社に入った時、まずこの違いがわかってませんでした。というか多分UI/UXという言葉もあまり知らなかった。
調べたら色々と出てきますが、あくまで私の解釈で言うと、
Webデザイン:Webサイトに関わる全体的なデザイン
UI/UXデザイン:ユーザー(使う人、見る人)にとって快適なデザイン
ということです。
UIは、User Interface(ユーザーインターフェイス)の略で、ユーザーが接するところ(メニューやボタンなど)を指していて、UXはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、ユーザーの体験のことを指します。
優れたUIデザイン(≒わかりやすい表示)が、快適なUXデザイン(≒欲しい情報に迷わず辿り着けた!)を生むという感じです。
Webデザインでも基本的にはUI/UXデザインの考えを取り入れていると思いますが、キャンペーンサイトやLP(Landing Page/ランディングページ)では見やすさよりもインパクトやかっこよさを重視した作りがされていることも多いです。
デザイナーを目指す本人がどういうデザインをやりたいかにもよりますが、業界ではUI/UXデザインのスキルがある人がより求められています。
スクールに通った方がいいの?
未経験だと、まずはスクールに通って学ぼう!と思う人も多いのではないでしょうか。結論から言うと、スクールに通うよりどこか会社に入って実務でスキルアップをした方が良いと思います。
私自身、スクールに通ったことはないのでスクールで実際にどういう学びが得られるのか確実なことは言えませんが、スクールに通っていたこと自体が企業から評価されることは少ないと採用業務に従事している時に思いました。
どれだけ短い時間で良いアウトプットを作れるかが一つ評価される観点ですが、これを達成しようとした時にスクールよりも実務の方が有効なのではと思うわけです。
会社にはプロのデザイナーがいます。未経験で入社したら、そのプロのデザイナーたちと一緒にデザインができます。身近で学べます。単にHow toだけではなくきっとデザインの考え方なども学べるでしょう。(会社によるかもしれませんが。)
しかもスクールはお金がかかりますよね。会社に入れば、給料をもらいながらスキルアップできちゃうわけです。おいしいですよね。
Mさんも言ってましたが、未経験だと採用してもらえないのでは…という心配があるようですね。
確かに一般的には難しいですが、先に述べたように今は業界全体としてデザイナー人口が不足しています。企業側もデザイナーが欲しいんです。猫の手も借りたいほど…という企業もあると思います。
あとは、まずバイトやインターンとしてなど条件面で譲歩すれば可能性が高まることもあります。
以前、同じように友人から「Webエンジニアになりたいんだけどどうしたらよいか」と相談を受けて、「どこか制作会社に入ったらいいよ」と伝えて、彼はWeb制作会社に入り、約1年でその会社の役員に推薦される程までに成長しました。
事業会社か制作会社か
これ業界内ではよく聞く議論ですが、Mさんのように未経験でこれからWebデザインのスキルを身に付けたい方は、まずは制作会社(クライアントワークを行う会社)に入った方が良いと思います。
事業会社は、基本的には自社のサービスを作り日々改善していきます。機能追加などで新しいデザイン・技術が必要になることもあると思いますが、基本はずっと同じサービスに注力しています。
制作会社は、クライアントや制作物が変わる度に新しいものを作ることになります。A社のブランドサイトを作り終わったら、はい次B社のECサイトね、ということはよくあります。
抱えているプロジェクト数が多い制作会社であれば、一人一人が同時進行でいくつもの制作を進めていることもあります。
要件によってデザインも開発技術も変わるので、幅広い経験が積めるのが成長を促すのではないかと思います。
(事業会社でも、いくつもサービスを作っているというところならアリかもしれないですね。)
どんな会社がおすすめ?
「いいから早くおすすめの会社を教えてよ!」という思いで読んでいただいているかもしれませんね。
でも、「おすすめの会社」ってその人によって違うんですよね。本人が何を求めていて、その会社で働くことによって将来的にどうなりたいかによって、「おすすめの会社」は変わります。だから自己分析、内省は会社選びにとても重要なんです。
これが学生の頃はあまりわかっていないので、安易に人気ランキングとか社名のネームバリューとかで選んでしまって、ああなんか違った…ってなるんですよね。
私が転職する時にしていた考え方の一つを紹介します。
まず、会社を選ぶ基準の項目を洗い出します。仕事内容、人、給料、勤務地、規模感、カルチャー…など。
その項目を縦に並べて、横の項目には候補の社名を並べる。
こうして比較表を作って、各欄には自己評価を記載します。
例えば仕事内容の項目だったら、「○ やりたいことや挑戦したいことができそう。自身の経験も活かせそう。」などと書いておくと良いです。
そして優先したい項目を上位3つ選び、その項目の評価を見て比較検討します。
あとはコンサル業界でよく使われる「プロコン表」というメリットデメリットを並べるフレームワークを使って考えることもありました。
ここまできてようやく、クリエイティブ企業の名前をいくつか挙げます。個人的にリスペクトしている会社です。
いずれも独自の判断によるため、「いい会社」の評価基準が曖昧ですし、あくまで業界内でよく話題に上る、くらいに捉えていただければと思います。(私が関わっている会社は外しました。Twitterのプロフィールを見ていただければすぐわかりますが。)
もっともっとあります、挙げていくとキリないですね。これはまた別で記事を書くか…
クリエイティブ企業を見る時は、私はまずは制作実績を見ます。どういうクライアントとのお付き合いがあるのか、どういうデザインが得意なのか、社外のクリエイターとの付き合いはあるのか…などを見ます。
企業が発信してる情報はたくさんある
最近は本当にどこの企業も採用が課題なので、企業が自社の魅力や特徴を伝えようと、オウンドメディアやSNSで情報発信を頑張っていることが多いです。
気になった企業があればぜひ色々と漁ってみてください。大体企業のサイトにリンクが貼ってあります。
代表やメンバーが登壇するイベントを観たり、Podcastを聴いてみたりするのも、社風を感じ取るにはおすすめです。
(私も仕事では自社発信を務めているので、みていただける方が増えると嬉しいです。)
採用メディアやマッチングサービスは、クリエイティブ専門がおすすめ
採用向けサービスはたくさんありますが、Webデザイナーを目指しているなら専門のサービスを使うのがおすすめです。
企業側の事情を言うと、基本的にメディアやサービスを使うほどにお金がかかるので、ある程度選別して使用しています。
(正直なところ、リク●ートやビズ●ーチ系の大手サービスはコストが高いのと幅広いユーザーの登録が多いので、使用しているクリエイティブ系企業は少ないのかな?と想像します。)
いくつかおすすめのサービス、メディアをご紹介します。
おすすめの本・Webサイト・ツール
未経験とはいえ、ちょっとだけでも武装しておいた方が良いとは思います。
会社に応募する前に準備しておいた方が良いこと、今すぐに着手できることとして、おすすめの本やツールなどをご紹介します。
本:はじめてのUIデザイン
UIデザイナーを目指している人に渡せる最初の1冊、として作られた本。Kindleだと今100円で購入できます。
本:なるほどデザイン
デザインの基礎的なところを雑誌のようにビジュアルで解説してくれている本。楽しく読めます。
本:センスは知識からはじまる
くまモンや中川政七商店など数々のブランディングで有名なクリエイティブディレクター水野学さんの著書。
ツール:Figma
デザイン作成ツール。最近はAdobe XDからFigmaに移行するデザイナー、会社が増えている様子。ホワイトボードのように使える「FigJam」も便利。
ツール:STUDIO
Webサイトをノーコード(コーディングなし)で作れるサービス。ポートフォリオサイトを作るのにも良さそう。
学習サービス:Cocoda!
UIデザインの「お題」が配布されているサイト。ポートフォリオがない人は、まずはこういうところでお試しで何か作ってみると良いのでは。
Twitter
プロのデザイナーの皆さんは、Twitterでよくナレッジや考え方などたくさん発信されています。リスペクトするデザイナーさんを見つけてフォローするだけで、だいぶ勉強になりそうです。
私もまだ発掘途中ですが、リストに随時追加しているのでもしよければこちらを参考までに。
好きなものを収集しておこう
ポートフォリオ(制作実績)がないのなら、まずは自分の好きなクリエイティブ(グラフィックでもWebでもプロダクトでも)や、好きなクリエイターなどを収集しておくと良いと思います。採用側は、本人の作る技術も気になるけど、センスが見たい気持ちもあります。
「いいものだ」と思える感覚が同じ人と一緒にものづくりをできる方が幸せだと思うのです。
世の中にもっとWebやUI/UXデザイナーが増えれば、企業が喜び、最終的に生活者が使うサービス・プロダクトの品質が上がり、多くの人が幸せになると思います。
この記事が少しでもその流れに貢献できれば嬉しいです。
私でよければいつでも相談に乗ります。デザイナーでも何でもないですが。ただ周りにはデザイナーが多いので、紹介などできるかもしれません。
何かあればTwitterのDMなどでお気軽にご連絡ください。
(Twitterアカウントはこちら)
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