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ミルフィーユ #2000字のホラー

ミルフィーユは、本当に食べにくい。
フォークと層が上手くはまらないのだ。

ミルフィーユを食べたことがある人は一度は経験するであろう。

さて、私が食べた中でも、最も印象的なものを紹介しよう。
どんなミルフィーユよりも奇妙なミルフィーユを食べた時の話だ。


「それ」は、中のフルーツが梨のミルフィーユだった。
皿には菜の花の花弁が多く添えられていた。
店員に尋ねると、「身体に害はありませんよ。安心してお召し上がりください」とのこと。

層を詳しく見てみた。上部で目に映ったのはまず柏の葉。
よく見てみると、松葉も入っている。
店員に確認した。「身体に害はありませんよ。安心してお召し上がりください」と返された。

詳しく見てみると、菜の花の花弁が生地やクリームにまで練りこまれている。
柱頭が上向きの層と下向きの層とにきれいに分けられている。
そこまで菜の花にこだわるのか。



実際に食べてみた。

やはり食べにくい。

柏の葉が食べづらさを助長している。


柏の葉と松葉を分けた。
「あの、一緒に召し上がったほうがおいしいですよ」
店員に言われた。
「こだわりですか?」
「左様でございます。料理長のこだわりです」

料理長のこだわりか。
とりあえず一緒に食べてみるか。

やはり食べにくい。
だが、噛めば噛むほどおいしさが広がる。

残りの層も食べるのには苦労したが、美味しくいただいた。

味のコンチェルトとはこういうことか。


食後、店員に食材について尋ねたが、「秘密です」と返された。





店を出ると、いつも通りの日常になる。













そのはずだった。














日本地図

否、ありとあらゆるメディアから………………








無論
歴史書に至るまで














千葉県が消えていた。


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