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さくらエフェメラル2021

※ギャラリーアビィ「さくらイロ16」協賛企画
企画展内容に合わせて旧作と散文を公開します。

うつろい。
どんな花でも同じように咲いては散っていくのに、なぜか桜の花にその感を強くする、季節が過ぎゆくことの寂しさを体現しているかのようである。桜はどこまでもエフェメラルな存在である。


エフェメラル。
花の散るのを見て時を数えている、過ぎた時は戻ってこないが忘れたころにまた花が咲く。過ぎた時を思い出させてくれるが全く同じではないのはどうしようもない。時の流れは死と再生であろうか。
死に続け生き返すと再び会えるのだろうか。
たとえ死んでも約束を重ねながら狂おしいように生き続けるのだろう。
風景を探しながらまた死んでいく、もしも新しい風景が見つけられるならまた死に続け生き返す、そんな毎日を過ごしながら。


夢中になって生きるというが、それは本当に現世のできごとなのだろうか。
実は彼岸と此岸を行き来しているのかもしれない。記憶が途切れていたり見たことない風景に愛着を覚えたりー何かが違うが、その違いをついぞわかることなく毎日を生きている。
まるで夢から醒めたかと思えば唐突な場面転換をして夢を見続けているようである。死んだと思えばまたどこかで生き返している。

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恋と夢の間に
anmtgallery/石橋実乃生


恋も夢か現か。
醒めたり微睡んだりしながらおなじみの風景と出会ったり知らないはずの風景に懐かしさを覚えたり。
終わったはずのモノがなかなかどうして終わらない、また違う恋が始まったはずなのに面影がよみがえる。
季節の訪れは恋の予感か新しい出会いへの約束か。

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