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好きに永遠がないことを知った。

久しぶりに、以前好きだった人が夢に出てきた。
好きだった人の夢なんて、これまで数え切れないほど見た。好きな人じゃなくても、ある男の子が夢に出てくるとちょっと気になっちゃうのに、好きな人が夢に出てきたなら、ますます好きになっちゃう。だけど、もうわたしはその人を少しも気にならなかった。


今、4年間弱大好きだったその彼にはすっかり冷めてしまった。

大好きで、本当に大好きで、これからもずっと一緒にいたいって思ってた。人生で初めてこんなに好きなった人だった。私たちは、似ていないけど、どこか似ていた。奥手なのに頑張って、でも好きを一生懸命隠して、"初恋"って言葉がぴったりで、少し恥ずかしい、不器用すぎるそんな関係。

仲良くなりたいと思ったのは、わたしの方からだった。違う高校だけど、同じ部活だった私たちは 1年生の秋、軽音大会で出会った。挨拶回りをしていた時、他のバンドメンバーに紛れて、一言も話していなかったのが彼だった。一目惚れした。その日、わたしはTwitterの個人アカウントを作り、彼を見つけてフォローした。そして、当たり障りのないDMを送った。お風呂場の洗面所で3時間ぐらい、送りたいのに送れなくて自分の勇気と戦ってた。これから彼と接点を持つ方法はこれしかない、だけどこんなこと人生でやったことがない。それまでも勝手に片想いをしていたことはあったけれど、行動に移したのは初めてだった。

偶然、彼とわたしは共通の趣味を持っていた。彼とDMで趣味の話をするのが日課になり、LINEを交換し、世間話もするようになった。一回も直接会って話したことはなかったけれど、わたしは文面でも彼と話せることが嬉しくて満足していた。

高校2年生の夏に、彼に花火大会に誘われた。初めてだった、男の子から誘われることが。わたしはびっくりして、好きな男の子と2人なんて無理!と断ってしまい、後から後悔した。

でも、高校2年生の秋、初めて2人だけで話すことができた。初めて直接話すはずなのに、思ったよりも話しやすくて、なによりかっこよくて、そんな彼と話してる時に注がれる他の女子からの目線に優越感を感じていた。それからは、毎日のようにLINEして、たまに電話して、お互いのライブに行き、毎月のように会っていた。彼を見つけては走って会いに行き、おしゃべりした。

高校2年生の冬、クリスマス遊ぼうと誘われた。いやこれはもうわたしが誘わせた。緊張しすぎて喉がカラカラになったし、風が強くて寒かったけど、好きな人の隣を歩いてる嬉しさで、少しも寒くなかった、幸せだった。バレンタインには、初めて好きな人にチョコレートをあげて、ホワイトデーにはお返しをもらった。

そして私たちは、高校3年生、受験生になった。彼を好きなままでいたら、彼に夢中になりすぎて受験に失敗するかもしれない、彼を悪者にはできない。そう思ったわたしは、彼と距離を取ることを決めた。本当は、告白だけでもしようと思っていた。だけどできなかった。どうしても勇気が出なかった。今でも後悔してる。

それまでみたいに毎日のようにLINEしたり電話したり会うことは無くなったけど、距離をとり始めた高校3年生になってからも、浪人してからも、大学生になってからも、彼が大好きなままだった。

でも、大学1年生の夏。
久しぶりに彼からLINEが来て、彼は変わってしまったのだと悟った。彼は私がそれまで思っていたような、高校時代の、初めて会った日のような彼ではないのかもしれないと思った。
その頃、わたしは新しく好きな人と出会った。以前の彼への気持ちはどんどん薄くなっていって、新しく好きな人への気持ちがどんどん大きくなっていくのを感じた。

冷めてしまった。

それは、きっとお互いが変わったからだ。
わたしは浪人して真面目になったし、相手は大学に入って真面目じゃなくなった。惹かれる人が自分と似たような人だとすると、自分も相手も変わったなら、好きな人が変わるのも当たり前で。彼がわたしのことをどう思ったか分からないけど、きっとお互い変わったのを感じたはずだ。

わたしの初恋は終わった。



高校生の頃抱いていた、純粋な好きという気持ちは永遠に続くもんだと思ってた。付き合ったら、いつか別れてしまう。いつか一緒にいられなくなる。それなら、これからもずっと一緒に永遠にいるためには、付き合わないことしかない。わたしは4年弱好きだったし、途中からたぶん彼も、わたしと同じ気持ちだったはすだ。でも、いや、だから、付き合うことはできなかった。付き合いたくなかった。(他にも、蛙化とか怖いとかあったけれど)

乃木坂46の平行線という曲の歌詞を借りるなら、
"交わらないから永遠なんだ"って、そう言い聞かせて、付き合わない方がいいと思ってた。



でも、人は、気持ちは、変わる。

交わらないから永遠だって、本当にその通りだ。平行な2つの直線は絶対に交わらない。だけど、その二つの直線にはきっと定義域がある。今あんなに大好きだったその人に、少しも興味がなくなって初めて気づいた。当たり前のことだけど、彼に恋してた当時のわたしには、こんなに大好きな人に冷めてしまうなんて、そんなこと考えられなかった。


だけど今の恋があるのは、きっと初めて大好きになった彼との恋があるからだ。高校時代があんなに楽しかったのも、全部彼がいてくれたおかげだ。好きにさせてくれて、好きになってくれて、沢山の初めてを、幸せな思い出をありがとう。



わたしは今、その時大好きな人と、その時一緒にいられたら、それがお互いにとって1番の幸せだと思う。だって、今その人のことが好きなのは、今のわたしだから。なかなか人を好きになって行動に移せないわたしにとって、誰かを本気で好きになれることなんて、きっと人生で数回しかない。

もし、今好きな人と付き合うことができたとしても、いつかお別れする日が来るのかもしれない。付き合っていたって、付き合っていなくたっていつか別れは来るのだろう。だけど、それはわたしが変わって、相手が変わって自分にとって必要なものが変わっただけなのだと思う。悲しいけど、それはお互いにとって悪いことじゃない、きっと成長だ。




今のわたしには、好きという気持ちで、全てを許せる気持ちなんて始めからない。嫌だと言われても相手のために自分を変えようとも思わない。そして、もし嫌なところがあったとしても、相手に変わってほしいとも思わない。ただわたしは、こういう時こうするんだよって自分の価値を伝えることしかできないし、相手も同じように伝えてほしい。

そして、そうやって"我慢"してまで一緒にいるべきなのかと、不満を抱えてまで付き合う必要があるのかとも思う。だって付き合わなければ、相手の嫌なところも見えないだろうし、嫌いになることもないから。

でも、"恋人なのに"

そう思ってしまった時点で、きっと恋人という存在を偶像化している。好きという気持ちは、相手を自分の思い通りに動かすことじゃない。恋人だからって、絶対に自分の思い通りにはならない。それは恋人だけじゃない、友達だって、家族だって、所詮他人なのだから、当たり前だ。好きと言う気持ちに、そんなに大きな魔法はない。



だから、ただその時、一緒にいて、話していて、楽しいから。二人だけでたくさん遊びたいから、今好きな人と付き合いたいと思う。


きっとこれも、永遠に一緒にいたい、そういう気持ちから作った価値観なのだろう。人は変わるとか言いながらまた永遠を願ってる。しょうがないじゃん。好きになった以上、それがずっと続いてほしいと願ってしまうのは当然のことだと思うから。


2021.3.20

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