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おばちゃん、自分を手放す~アラカンの再就職その32

4月から派遣で働いているおばちゃん。この再就職記録の会社とは3月末でおさらばした。怒涛の流れなので、おぼえている今のうちに残したいと思う。

成績が悪いおばちゃんだったが、リストが交換されてから非常に調子が良い。「勤務態度が~」的なことを言っていた上司も、部下の数字にご満悦なのか、「あんからさん!素晴らしいです!」みたいなチャットをよこしてくる。以前は、「ありがとうございます」といった文章を返し、2~3回のやりとりをしていたが、今は上司のチャットに、時間をおいてリアクションだけして、それ以上会話が続かないように気をつけた。これは、仲間から「リアクションだけでじゅうぶん」と教授されたので従っている。

ようはリストの内容だ。企業担当者のタイミングもあるだろうが、発信して一通り話さなくてもアポイントをもらえるところがある。1~2年前まで取引があって、会社に対して好印象があれば「30分くらいなら」と言ってアポイントがとれる。
この「30分」も以前はNGとされていたが、他の事業所が「30分だとアポがとりやすいから」とOKにしていたことが我々にバレてOKとなったものだ。

トークスクリプトはあるが、あって無いようなもの。アポが獲得できるなら何を言っても良いといった状況にどんどん変わっていった。正しく伝えること、聞かれたことは正しく答える、入社時から言われてきたし、この仕事というよりも、どんな仕事においても当たり前のことだと思っていた。そこすら、あやうくなってきているようにおばちゃんは感じていた。

「嘘は言っちゃいけませんよね」

会議中にこのワードを何度も発言する仲間がいた。アポを獲得しているトークに「嘘」があること、上司が言っていることに「嘘」があること。毎回指摘をするたびに、「嘘は言っていません」「そういう意味ではないです」とどんどん逃げる上司の態度もあわれに思えてきた。

吠えるのもばからしくなってきた。自分の意見を言っても否定される。成績が良い人が稀にのっけて意見すると「○○さんもそう思っているんですか・・・」と上司が暗くなる。きっと、意見してこない○○さんは自分の味方と思っていたに違いない。

最初はおばちゃんも味方に思われていただろう。そこそこ愛想よく声かけに反応していたし、意見らしい意見を言ってこなかった。成績がさがってから何度となく面談をやっていくうちに、上司がどういう人なのかも見えてきたように思う。そして、それをグループで共有していくうちに、他にも面談をしている人の内容からも、この上司のもとでは「上司に何を言われようと自分を殺して仕事をする。言いたいことがあれば仲間にだけ共有する。」ことが一番に思えてきた。

なぜこの人が上司をやっているんだろう?部下を持つということが向いていない。プレーヤーのままのほうが良かったろうに、本人も。で合致した。

面談を終わらせた仲間がチャットに投稿してきた「あなたもこんな仕事を押し付けられて嫌でしょう?まだ間にあう。転職したほうがいい、って言った」と。思わず笑ってしまった。この人くらいの強さが欲しいと思うおばちゃんであった。


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