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おばちゃん、心折れる~アラカンの再就職その31

フルタイムのテレフォンアポインターのおばちゃん。テレワークの日数も増えて、仲間に会う日もだんだん減ってきた。当初は「何曜日出社します?」とかきいて合わせて出社したりもしたが、だんだんと皆さん自分の都合もでてきて全く会わない人も出てきた。

そんな中、成績の悪いおばちゃんは個別面談の日程を入れられる。だいたいリモートの日に合わせるかのようにスケジュールが入ってくる。

リモート面談だが、当然音声のみ参加だ。表情なんか見られたくもないし、せっかくのリモート日に上司の顔を見たいとは思わない(笑)。
ウエザートーキング的なところから始まり「で、ですね」と本題に入る。発信している数、アポイントを取った数、それは毎日日報メールが流れてくるのでメンバーは皆知っているし、なんなら「今」の業績だって見ることができる。言葉通り「さらされて」いる。そんな数の話されたって、言われなくたってわかっていますよーだ、と言いたくもなるが「はい」「はい」「そうですね」を繰り返すおばちゃん。

アポイントがとれる方法がわかっているなら皆やってますって。

そんな中で言われた言葉が「これは水増しではないですか?」という上司の発言。「?」となった。何を言い出したんだ?この上司?
おばちゃんが電話をするように渡されているリストには、なぜだか「現在使われておりません」となる企業が多い。古いリストだなーと思いつつ発信していて、いくつも電話番号の登録があれば試しに発信してみる。「現在使われておりません」もあれば、違う企業につながってお詫びするケースもある。今後、おばちゃんが発信してダメだった企業に「また」発信しないように、登録内容をつぶして履歴に残す。
場合によっては、その企業が存在するか調べて、登記閉鎖がされていれば記録として残しておくし、移転していれば、移転先の電話番号を探して追いかけてもみる。この発信数や履歴に残していることを「発信数の水増し」と言うのだ。

おばちゃんのところにたまたまきたリスト、ちゃんと片付けて、ちゃんと履歴を残しておかないと、次にリストの入れ替えがおこった時に苦労するのは次の人だ。「なくなった企業、ましてや違う企業の電話番号になっているとわかっているのに、同じ企業名を名乗って電話するって、あり得なくないですか?」と質問した。そして「そもそも、なぜ閉鎖している企業がこんなにもリストに残っているんでしょうか?」ともきいた。

回答は「あんからさん、私が言いたいのはそこではありません。リストの整理はあんからさんの仕事ではないです。アポインターとしての業務をきちんとしてください。もう何か月も目標達成していませんよね。そんなことを調べている場合ではないです。アポイントを獲得してください。」

だめだ、数字でしかないんだ。どんなにいい加減なトークをしている人でも、履歴に何も残さず発信記録だけ残しているだけの人でも、アポイントを獲得している人しか必要とされていないことをひしひしと感じた。

これ以上この件について議論することは無駄だろう。おばちゃんの意見は不要なのだ。めんどくさくなる前に切り上げよう、と「わかりました。以後気をつけます。」と全てをのみこんだ。

かなしくなった。誰かに伝えたい、きいてほしい。とりあえず、仲間のグループチャットに書き込んでみた。すぐに反応がきて「言わせておけばいい。納得できないのもわかるけどスルーよ、スルー」「いずれかたきをとるからね」「理解できませんね」等々。

その後も気を取り直して発信する。1件1件、深呼吸してからでないと発信できない。これを今日あとなん十件すればいいんだ?なんとかこの日を乗り切って、明日もリモートだ。もやもやしているが、スルーを決めたんだから、と自分に言い聞かせるおばちゃん。

翌日、上司からまたチャットがきた。「あんからさんが納得していないように思えました。アポインターとしての業務をきちんとおこなわないことは、業績以前に業務違反にもなりかねません。ご注意ください。」

そうきたか。

またすぐにグループにまるっと投げた。「いやがらせか?」という意見もあった。業績の良い人をちやほやして、悪い人を追い込むのは、今までもみてきた。パワハラを訴え休職して辞めた人も、全体会議中の発言に傷ついてそのまま帰り辞めた人も。この上司が言葉のチョイスの下手くそな人で、あきらめていて見逃してきたが、今回ばかりはスクショして残しておく、これからもだ、と心に決めたおばちゃんだった。

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