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あん子
2021年5月21日 21:04
それは一瞬のこと。繋げようとした線をさえぎったのは、自分だった。未熟な自分を空中に放り投げて生きてきた十年が、俺の足を引っ張ったんだ。 とっくに忘れたと思っていた。あの時の歪んだ感情も、その後の後悔も。 全て乗り越えて次のステージへ、そして新たな出会いを重ねているつもりになっていたのに。一瞬で、たった一瞬の眼差しで、あんなにも鮮明に引き戻されるなんて思わなかった。だってあまりにも眩しかったか
2021年5月9日 21:03
わかって欲しいのにわかったフリはして欲しくない。見つけて欲しいのに見抜かれたくない。そんなわがままな自分が惨めで仕方ないんだ。 家の玄関を出た私は、気づいたら走っていた。息が詰まってしょうがなかった。とにかく早く家から遠ざかりたくて、私は厚底のローファーをバタバタいわせながら走る。最初の角を曲がってからようやく足を止め、ゆっくりと息を吸って、吐いた。吐いて、吐いて、吐き出した。胸の奥に沈んだか