晴れときどきマサラ #9 海とミールス、夏休みのにおい
ああ、夏休みのにおいがする。
駅から2.5キロ。タクシーに乗ればあっという間の距離。伝えた時間よりちょっと遅れてしまうけど、歩こう、と思った。
両側を田んぼに挟まれた、駅からのまっすぐな道をてくてく歩く。風に乗って届くほのかな潮のかおり。昼間の暑さの名残りをはらんだ夕暮れどきの陽射し。
そこはかとなく漂うのは、なぜここで……? と不思議になるような、バナーラス近郊の農村のにおい。牛糞を大切な燃料とし、そこここに加工した牛糞燃料を積み上げた村の、たまらなく郷愁を誘う、あの