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空を飛ぶ:Anizine

「なぜ、あんなに重たい鉄の塊が空を飛ぶんでしょうね」

と言う人を、2023年になってもまだ見かけますがいい加減にしましょう。あれは不思議でもなんでもなく、エンジンのチカラで空中を強引に押しているだけです。だからエンジンが止まれば落ちます。グライダーだっていつかは降りてきます。もしそう言いたいなら船のことを考えるべきです。あれはなぜ何気なく浮いているのか、そっちのほうがよほど不思議でしょう。

ボールは空中に投げると落ちてきます。それは重力があるからです。はわかりやすいのですが、鉄は水に沈みます、という事実の例外を浮力で説明されてしまうと、私のような頭の悪い小学生などは混乱してしまいました。

とは言うものの、飛行機は男の子にとって永遠のロマンです。最近はルートが変わったので渋谷の街でも低空を飛ぶ旅客機をよく見かけるようになりました。音が聞こえてくると歩いている人はバカみたいな顔をして空を見上げます。あえてジェンダーで切り分けるとカップルの男性だけが見上げています。永遠に飛行機が好きなのです。

飛行機の尾翼は大きなクジラも連想させます。クジラもロマンです。つまり飛行機はロマンのてんこ盛りだと言えましょう。

ひとたび中に乗って飛び立つと、どんなテーマパークよりも素晴らしいアトラクションが始まります。


作り物ではない風景が眼下に広がり、部長クラスのいい大人もバカみたいな顔して窓の外を眺めています。

私が夢中になって窓から写真を撮っていたら、隣の席の若い外国人男性に「お前も初めて飛行機に乗ったのか」と言われたことがあります。バカ丸出しです。

いつも見慣れた街が空から見ると違うものに見えてきます。

機内食も、上空1万メートルくらいを時速900km/hで飛んでいます。飛行機を透明にしたら、私たちは900km/hで移動しながら食事をしていることになります。ビジネスクラスやファーストクラスは手間のかかった食べ物が出てくるので、それもまた楽しいです。夢は、友人のシェフの監修した機内食を食べることです。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。