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言い訳エンドルフィン:Anizine

映画の場合は独裁者と言ってもいいほど監督が演出のすべてを決定しますけど、テレビドラマでは数人の演出家が分担して撮っていることが少なくありません。視聴者は一つのドラマとして観ているのに、実は分業でできている。

これをずっと不思議に思っていたので『GIVER』を撮った小路監督に「ドラマの数話分だけを撮るというのはどんなカンジなんですか」と聞いてみたことがあります。ドラマが一話完結スタイルだったので「それぞれの回の演出の個性が出ていても構わなかった」と教えていただきました。

それはわかりやすい例ですが、他人が作ってきたモノの前後となめらかに連結させるというのはプロの技術だと感じますし、写真家では体験しようのないスタイルです。与えられた部分にベストを尽くすのは当然としても「ここはひとつ、自分のパートだけが目立つようにしてやろう」と思うのはダメで、つなぎ目に段差があったらマズい。「なめらかにアゲていく」のが大切なのでしょう。あえてつなぎ目を見せてしまうのは幼稚な自己顕示欲で、他の人への嫉妬もあるでしょう。

私はある時期から「徹底的に嫉妬をやめる」ことにしました。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。