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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2021年7月の記事一覧

露悪的な写真:写真の部屋

俺はいつも、「写真とは、好きなものを撮る行為だと思っている」と説明している。 目の前に10人の人がいたら、その中の好きな人を撮る。仕事ならメンバー全員を撮ってくださいと言われるだろうが、それは自分の決定ではない。つまり「撮りたくもないものを撮ること」は、理想論からは除外しているということだ。

α6600:写真の部屋

普段持ち歩くカメラに求めるのは、軽さと速度。

デザイン:写真の部屋

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こうしたらいいんじゃない:写真の部屋

写真を撮影するときは100%、自分が考えたように撮ります。アートディレクターがいる仕事の場合はイメージをカタチにするんですけど、そうでない仕事は、誰かから「こうしたら」と言われるのが苦手です。 アートディレクターは自分の責任において仕上がりが見えている人なので、指摘することに(ほぼ)間違いがないんですが、そうでない人の意見は採用するに値しないことが多いものです。なぜなら、そこで正しいことが言えるくらいならカメラマンになっているはずだからです。 あるとき、隣のスタジオで顔見

短文:写真の部屋

俺は「すごくいい写真を撮る人」ではありません。大事なのは優劣ではなく市場に存在する数の問題で、誰が撮ってもよければ誰かが撮影します。 「この仕事ならあいつしかいないだろう」と思われていれば少なくても必ず仕事は来ますし、その依頼の方が条件が数段いいに決まっています。

主観の質:写真の部屋

カメラを持って街に出ると、外的な要因で「スイッチ」が押されることがあります。仕事の撮影だと、「今日はこの撮影だから頑張ろう」と、気持ちは他にブレることはありませんが、ただぶらぶらと散歩していると撮るべきモノは決まっていません。 最初に撮った一枚に気分が引っ張られることがあり、それが自然と「組写真」になっていくことがあります。昨日はSIGMAの45mmをSONYのα9iiにつけて出かけました。コンパクトなスナップ仕様です。この段階である程度はその日の気分が決まっていますが

次のカット:写真の部屋

写真を撮り始めた頃は、写っているものの面白さに意識が行くことがあります。それは「被写体依存」で、何か面白いモノを見つけないと撮れないとか、そのために特殊な状況を探しに行こう、流行のお店でパフェを頼もうという、インスタグラム的な本末転倒を生みます。 取材か報道でもない限りどんな場所でもすべての出来事を同じような目でみつめ、自分の立っている場所を揺るがないようにしなければ視点がブレます。何かのイベントに出かけて行って撮っている人は「そこで起きていることの記録」にとどまることが多

独学の危うさ:写真の部屋(無料記事)

どんな専門職でも同じだと思いますけど、何かをするときにはその裏で目に見えない膨大な作業をしているものです。 「お寿司屋さんって、魚の切り身を米の上に乗せてるだけでしょ」 と、寿司屋の大将の前で言ってみてください。親切な大将なら3時間くらい説明してくれるでしょうし、気が短い人ならその場で塩を撒かれるでしょう。できあがった寿司を見て「魚が乗ってるだけ」としか思えない人は、絶対に寿司職人になることはできません。それは何となくわかりますよね。 写真でも、まだキャリアの浅い人のこ

引き返す意味:写真の部屋

Parisでいつも行くアンティークマーケットがある。クリニャンクール、ヴァンヴ、モントルイユ。それは週末がメインなので、平日はブリュッセルまで行ってジュドバル広場の蚤の市へ。あまり買うことはないけど、眺めているだけで楽しい。 一番大きなクリニャンクールはガラクタのマーケットもあれば、高価で本格的なアートを扱う店もある。Parisに行く人は一度は訪れたことがあると思う。モントルイユは、路上の店と道路のゴミの区別ができないほどなだらかなグラデーションを描いている。日常で使う安い