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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2021年5月の記事一覧

インターバル撮影:写真の部屋

あなたのカメラに「インターバル撮影」という機能はついているでしょうか。数秒の間隔をあけて自動でシャッターを切る仕組みですが、それをつなぎ合わせて動画にするとタイムラプスという表現ができます。夕陽が沈むところや雲の動きなどの動画を一度は見たことがあるはずです。 それらは三脚に固定して画面が動かないようにして撮るんですが、違う使い方もできます。機能を知って「こういうことができる」と一度やってみるのはいいですが、それしかしないのでは進歩がありません。機能は「表現の実現のため」にあ

プロフィール写真:写真の部屋

この前、SNS用のプロフィールが欲しいという知人がいたのでスタジオで撮ろうということに。それを聞いた人が「自分も撮りたい」と言って、最終的に10人くらいを撮ることになりました。 またこういう機会があったら教えて欲しいと言われたので、「写真の部屋」購読メンバーに限り、投稿のコメント欄へどうぞ。撮影は6月11日。詳細は以下です。

ふぐとハレーション:写真の部屋

時間さえあればYouTubeでカメラマンの撮影風景動画を見ているんだけど、今の時代は真剣に学ぼうと思えば、世界中の人々が教科書を開いて教えてくれるからいくらでも学ぶことができる。それも無料で。 ある若者に、「人物撮影のライティングはこの動画が参考になるよ」と伝えたら、「英語じゃないですか。無理です」と言われたことがある。スタジオのセッティングなんかよく見ていれば無音だって理解できるはずだ。それにわかりきっている用語しか出てこない英語がわからないというのは理由にならない。

レンズは短く:写真の部屋

X1Dが出たとき、デジタルの中判が身近になったと感じて購入を考えました。それまで使っていたH5Dはいかにも大げさなもので、これだったらどこに行くにも持って行けると感じたからです。 しかしひとつだけ気になっていたことがあります。標準の45mmの全長が長すぎました。普段のスナップに使うカメラはいくら大きくても重くてもいいのですが、奥行きが長いと使いにくいのです。パンケーキレンズなんていうのがありますけど、あれが理想。 そうこうしているうちにバージョンアップしたX1DII 50

情報量とシンプルさ:写真の部屋(無料記事)

いい写真はじっと見てしまう。その時間の長さは写真の何をあらわしているのか。いつもそれを考えています。 広告のビジュアルなどではいかに情報を減らして、歩きながらチラッと見るだけの「数秒間で印象に残る尖った写真」を撮ることを意識します。シンプルであることはとても繊細で大切な感覚で、ミニマムさと強さを両立できないと、単にふわふわした目立たないものになります。 雑誌や写真集などで気に入った写真が大きなポスターになっていると、それほどでもないと不思議に感じることがあります。見ている

写真は湧き水:写真の部屋

写真についてたくさんの人が読んでくれているこういう場があるのであらためて書いておきます。それは「写真」だけに限らず、すべてのことに共通していると思っていますが、何かを表現する衝動は誰からも批評されなくていい、ということです。 さっき、知人が自分の子供の写真をFacebookにアップしているのを見ました。きょとんとした顔を、写真家である父親に向けている赤ちゃん。「いい写真だなあ」と思うと同時に、これが写真のすべてだと言っていいと感じました。 何かを表現するという行為の純粋さ

理想のデート:写真の部屋

料理は写真によく似ていると思うから、いつもその喩えを使ってしまう。何か違う仕事はないかなあと考えているんだけど、料理以上にしっくりくる比喩がないからあきらめている。 皿の上の配置など即物的に料理が写真に近い部分はさておき、もっと深い精神的な意味でシェフと写真家は同じようなことをしているのだろうと感じる。料理を作るための素材を見極めるためには、他の人が作った料理をたくさん経験して知っていることはもちろん、加工前の素材をも推測できなくてはいけない。 大は小を兼ねるというか、上