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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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#映画

三度目のウンチ

4年前に初めての本を出し、先月末に二冊目が出ました。出た、って言い方はどうなんですかね。小学生がウンチの話をしているくらい幼稚ですね。上梓とか出版とか刊行とかリリースとか色々な表現があるんですが、出版や刊行は出版社が主体であるような気がするので私が言うのは違います。上梓というのは、昔、梓の木で版を作っていたからだそうですが、今回の本は木版は使わず、デジタル作業がメインのはずですからしっくり来ません。 下品な言い方で恐縮ですが「考え」というのは排泄物のようなものですから、ウン

くだらない結論:Anizine

「この前、午後の予定が急に飛んだときがあってさ」  「うん」 「なんつーか、できるだけ一日を有意義に使いたくて大阪に行ったんだよ」  「ああ、大阪で小橋めぐみさんの映画の舞台挨拶があったときね」 「そう。しずるの村上純くんが旦那さん役で、グランジの五明さんも出ている映画だけど、東京の舞台挨拶の日にいけなかったからね」  「そうか」 「で、映画を見終わってから大阪にある『スナワチ』に行ったんだよ」  「前田将多さんのレザーショップだ」 「うん。そこで無駄話をしてから京都に行こう

カツカレーの映画:Anizine

コンテンツを世の中に送り出す仕事をするためには、「どう受け取られる可能性があるのか」を知らなければいけないので、映画を観た後はレビューを読むことにしています。最初は鑑賞者として、最後は制作者として体験するのですが、いかに何も伝わらないか、間違って受け取られるかに愕然とします。 映画は自分の楽しみのために観るのですから、監督が考えたことと寸分違わない感情を受け取る必要はありません。それはそれでいいのです。しかし、「今日はサッパリしたものを食べたかったのに、あのカツカレーは重す

完パケる:Anizine / 写真の部屋

先日あるシーンが頭に浮かんだのでそれをメモしておいたのですが、次々に話が進んでいって、まあまあのプロットになりました。脚本にはほど遠いですが、物語の骨子は見えています。なぜそんなことをしたかと言えば、山形ビエンナーレで「架空の映画の脚本を写真にする」という展示をしたのを思い出したからです。それと近いことができそうだなと感じました。 ポスターやスチールはあるのに映画の本編だけがない、というおかしな展示でしたが、もしかすると、もしかするとですけれど、かなり保険をかけた発言をしま

王女と新聞記者の恋:Anizine

外国の人と好きな映画の話をしていて困るのは、題名がわからないことだ。たとえば『ローマの休日』という映画の原題は『Roman holiday』。これなら伝わるが、好き放題に邦題をつけられていると困ることになる。『Billy Elliot』が好きだと言われて、こちらは『リトル・ダンサー』を観ているのに思い浮かべることができないので、知らないと答えてしまう。 題名というのは顔だから、原作者や映画監督やプロデューサーが考えに考えて、物語を伝えるためのベストな言葉を選んだ結果がタイト

不思議な人々:Anizine

さっき、連続殺人鬼をテーマにした映画を観た。なかなか面白い筋立てで地味だけど悪くなかった。いつも見終わってからレビューを読む。自分が見逃していた細かい部分を書いてくれる人がいるからだ。「ああ、あそこはそういう意味があったのか」と気づかせてくれる。それは映画の表面的な部分ではなく、ふとした行動が、「実は民族的にこういう対立があったからだ」といったような深い洞察にも出会えるので感謝している。 映画は観た人の知識によるから、たとえばフランス革命を知らない人と詳しい人がマリー・アン

世界の皮膜:Anizine(無料記事)

 ソファに男が二人。向かいには若い女性が座っている。  女性が着ている黄色いTシャツのアップには、わけのわからないアメコミのキャラクターが描かれている。男二人は、なんとなくそのTシャツを見ている。 男A: 「今じっと見ているこのTシャツ。お前はその中身のことも想像してるだろう。社会性というのは、この布一枚だ。もしこれを強引にめくったら、お前はその瞬間に犯罪者になるだろう」 男B: 「はい、そうなりますね」 男A: 「でもな、彼女がお前のことを好きで、自分でめくって見せ

監督は何をしたかったか:Anizine

毎日一本は映画を観ているけど、何が自分に働きかけてくるのかを感じられるのが面白い。映画には100点を求めていない。あそこが雑だったなどという粗探しは簡単だが、欠点を見つけても何の得もない。 観ているのはただひとつ。「監督が何をしたかったか」だけだ。 昨日、ある女優とメールで話をした。俺が好きな監督の最新作に主演した女優だ。その映画はまだ観ていないんだけど「賛否両論ですね」と言われた。賛否両論は当たり前だし、賛否が2:8くらいになることが珍しくない監督だから、こちらにも免疫

除雪車としてのアート。

「アートというモノ」にかかわる立場には2種類あって、単純に、作る側と見る側に分けられる。 皆が快く思わないモノを見せるとはけしからんとか、そこに市民の税金を投入するのはいかがなものか、なんてことが言われているけど、その暴力的な話は「経済と経済を扱う資格」のことを言っていて、アートの定義は誤解という着ぐるみ姿でしか登場してこない。 アートという名のタバスコを日常生活というマルゲリータに振りかけて、より美味しくなればそれでいいし、かける分量は人によって違っていていい。絶対にか

仮タイトル「七日」。

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透明なマント。

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「RAINBOW TIME」

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「フルートベール駅で」

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「ヘンリー・アンド・ザ・ファミリー」

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