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カツカレーの映画:Anizine

コンテンツを世の中に送り出す仕事をするためには、「どう受け取られる可能性があるのか」を知らなければいけないので、映画を観た後はレビューを読むことにしています。最初は鑑賞者として、最後は制作者として体験するのですが、いかに何も伝わらないか、間違って受け取られるかに愕然とします。

映画は自分の楽しみのために観るのですから、監督が考えたことと寸分違わない感情を受け取る必要はありません。それはそれでいいのです。しかし、「今日はサッパリしたものを食べたかったのに、あのカツカレーは重すぎた」というようなレビューを読むと、それはないだろうと思ってしまいます。サッパリしたものを食べたいかどうかは個人的なそれぞれの欲求であり、店でカツカレーを注文したのは自分です。

こういった、「思っていたのと違う、腹が立つ」というレビューを読むと、作った人の気持ちを想像して悲しくなります。私はカツカレーマニアだが、この店のカツカレーは自分好みではない、ならまだわかるのですけれど。

さらに、自分の持っている主義・主張と違うものを描いた映画は気に食わない、というタイプもいます。わかりやすいところで言えば韓流映画などで、「韓国の警察は無能なのであんな殺人が起きる」といったコメントもよく見かけます。これなどは映画の中の物語とは何も関係がなく、自分の主張を映画という創作物に乗せすぎです。それで素晴らしい映画の平均点が下がってしまうのはとても残念です。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。