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監督は何をしたかったか:Anizine

毎日一本は映画を観ているけど、何が自分に働きかけてくるのかを感じられるのが面白い。映画には100点を求めていない。あそこが雑だったなどという粗探しは簡単だが、欠点を見つけても何の得もない。

観ているのはただひとつ。「監督が何をしたかったか」だけだ。

昨日、ある女優とメールで話をした。俺が好きな監督の最新作に主演した女優だ。その映画はまだ観ていないんだけど「賛否両論ですね」と言われた。賛否両論は当たり前だし、賛否が2:8くらいになることが珍しくない監督だから、こちらにも免疫がある。

「監督が何をしたかったか」の魂が伝わるとき、映像における些細な欠点などはどうでもよくなる。俺はホラーと時代物以外は何でも観る。ホラーは夜中にオシッコに行けなくなるから嫌いで、時代物は感情移入しにくい。韓国の映画が好きだからたくさん観るが、もう観ていないものがなくなってきた。宮廷を舞台にしたような映画は手つかずなのに、観る気が起きない。

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自分が映画に何を求めているかを分析すると、目の前にある誰かの生活を描いているようなものが一番好きなのだとわかる。特に事件が起きなくてもいいし、派手な舞台設定もいらない。リアルであることとは微妙に違うんだけど、俺も見ているはずの現在の風景を監督の視線で新鮮に見せてくれるモノが観たいのだと気づく。

だから、どんな映画でも観る。その中で邦画の未来を感じさせてくれる監督はたくさんいる。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。