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HDRとモニタの校正

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2022年8月の記事一覧

正しい画を求めて🔟 色温度ってなんだっけ。色って温度だっけ?

ホワイトの話をしたのでもう少し突っ込んだ話をしてみよう。
白の定義によく出てくるものに、色温度がある。
そもそもなぜ温度で話をするのだろうか。

結論から言えばきちんと色を定義するなら色度が必要だ。
CIEのxy色度図などで座標を示すあれである。
例えば一般的な白とされるD65であれば0.3127 x , 0.329 yだ。

ではD65はなにが65なのだろうか。
この場合D65とは6500Kを意

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正しい画を求めて9⃣ 正解のない、白がくる

ここまで全部を読んだならば、あとは実践と経験、機材さえあれば即座にプロフェッショナルな校正を行うことが出来る・・・
と言いたいところであるが、実のところ、ここまで来たものにだけ、もうすぐ白が見える。永遠に合わない、白がくる。

永遠に合わないとはどういうことだろうか
一つは人の目は同じものなどないということだ。
LMS錐体の分布や数が違うことで、同じ色が見えているわけではない。
白は人によっては赤

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正しい画を求めて8⃣ メーカーはもっと仕事をしよう?

DispCalで彩度や色相を校正するLUTが作成出来た。
測定時に使用した1D校正と色相彩度補正LUT、これを組み合わせれば輝度マップ、グレースケール、色相彩度が補正されるはずだ。
LUTの合成は先程1D補正で行ったようにDaVinciで行える。
色相彩度補正→1D校正の順に適用し、一つのLUTとして出力する。

出力したLUTをDWM LUTで適用し、CCMXを取り直してからHCFRでグレースケ

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正しい画を求めて 7⃣ 測定、いつ終わるんですっけ?

ホワイトバランスを十分に合わせた。輝度マップも十分に精度よく合わせた。
CCMXも更新して仕上がりが十分だと確認できた・・・がこれはまだ始まりでしかない。
以前も言ったが1Dの補正だけでは彩度や色相の補正は出来ないからだ。

彩度や色相の補正を行う3D LUTはDispCalを使って作成する。
セッティングは過去に作ったものをもとにしても良いが、今回は新規作成をしてみよう。
なお、今回は先に1D補

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正しい画を求めて6⃣ いちばん大事なのは基礎。

それでは実際のHDRモニタの校正を取るフローを見てみよう。

まずLUTをどのように適用するかだが、ハードウェアキャリブレーション対応機や外部LUTがある場合は、作成したLUTをそちらにインストールすることになる。
外部LUTを使用する場合は信号レベルを考慮したLUTでなければならないので注意して欲しい。データ用のLUTをリーガル信号に当てても合わないし逆も然りだ。
ハードウェアキャリブレーション

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正しい画を求めて⑤ 私、グレースケールくらい色差⊿E2未満にしろっていったよね?

ここまでモニタの色を測るとはなんぞや、を見てきた。
なるほど本気でやるの超大変、機材だけ良くても全く無価値。。というのもわかったところで、genuine hdr colourで採用している校正ワークフローと一般的なワークフローとして、ハードウェアキャリブレーションに代表されるLUTを用いるワークフローとiccを使ったワークフローを見てみよう。

そもそも一般に校正と言われている工程は2つに大別でき

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正しい画を求めて④ 500万のモニタのくせに変に赤んでんすけど!?これ(憤怒)

前項では光は色ではないこと、スペクトルの分布と強度が色と明るさに定義されることを話した。

しかしスペクトル測定に使用する機械は一般に用意に準備できるものではなく、仮に用意しても数百万円のラボグレードのものを除けば現代のモニタを測定するには性能が足りず、現実的ではない。
言ってしまえばそれは東京から大阪へ行くのに自宅にヘリポートを用意してヘリで行けば楽だし早いぞ、みたいなものだ。
普通は新幹線だが

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正しい画を求めて③ 色を測るということ。アーニャ、むずかしことちんぷんかんぷんます!

色を測る。と言われてどうやるかをすぐに答えられる人はそうそういないだろう。
結論から言えばそれは限りなく可能なレベルの不可能、でもある。
このテーマでこれを言うのもなんであるが、色や光の強度の感じ方は個人レベルで異なるからだ。

そもそも光は色ではない。色の情報など持っていない。光は特定の波長のエネルギーでしかないからだ。
その光から色を測る。そのためにはまず色が何であるか、どのようにして色や光の

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正しい画を求めて2⃣ 校正とはなんぞや

続き

校正。Wikiにはこうある。

校正(こうせい、英語: proofreading)は、印刷物などの字句や内容、体裁、色彩の誤りや不具合を、あらかじめ修正すること。校合(きょうごう)ともいう。出版にあたっては、印刷に先立って仮刷りを行い、それと原稿の内容を突き合わせ、誤植や体裁上の不備を正す。文字や数字ばかりでなく、デザインや発色の確認も行い、特に発色の確認を行う校正を色校正(色校)という。

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正しい画を求めて1⃣ そのテレビ、表示がおかしくない?

モニタやテレビのキャリブレーションに関し、ネットを探せば様々な情報がある。有償のセミナーもあるが、必ずしも十分ではないことも多いばかりか、認識が間違っているものも少なくない。
SDRのHDR化を追求する4K HDR anime channel、表現に本来の力を与えるためのグレーディング技術と校正を扱うgenuine HDR colourの知識と技術を公開することでその現状に一石を投じたい。

ヨド

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