陰謀論やら都市伝説、デマやフェイクニュースと言ったものがありふれているが、実際、この世にただ一つとして揺るぎない真実というのはない。テレビで流れる報道も新聞もネット記事も、またその場で現場に立ち会っていたとしても、これが正しいと言える真実などはないのだ。エビデンスといったものをよく確認せずにニュースを眺め聞いているだけであり、その根拠でさえも、それが正しいと言えるまでは詳しくはない。無限の可能性を想起できるし、いくらでも解釈のしようがあり、それを陰謀やらフェイクニュースやらというのは解釈の一つに過ぎないし印象でしかない。信じたいものを各々が信じるのが宗教の自由であるし、思想の理由である。ただ他人と干渉する際は無限の考えがそこに存在することは念頭に入れておかなければならない。
デマ・フェイクニュース
―――冗談を言う人と情報の真偽を確かめるでもなくそのまま真に受ける人々
―――集団ヒステリーから巻き起こる倍々ゲーム
【豊川信用金庫事件】
「豊川信用金庫が倒産する」というデマが流れたことから取り付け騒ぎが発生し、短期間に約14億円もの預貯金が引き出された事件。発端は電車内での女子高生3人の雑談をきっかけに伝染病のように根も葉もない噂が拡大化していった結果起こった騒動だ。
事件の終息としては、当時の全国信用金庫連合会・協会の両会長であった小原会長による以下の策が投じられた。
【トイレットペーパー騒動】
1973年、第四次中東戦争によって原油価格が高騰していたオイルショック当時、中曽根首相が「紙節約の呼びかけ」を行ったことで石油製品ではないはずの紙類が品薄であるかのような印象が広がったことで、各地で大量買い騒動が起こった。紙が無くなると信じた人、お買い得につられて購入した人々、実際に品薄が起こったことによる報道が徐々に不安の集団心理を掻き立てて「紙が無くなる」という嘘から真が起こった騒動だ。
記憶に新しいのが、コロナ禍でのトイレットペーパー買占め騒動だ。
経緯はオイルショック時と変わらないが、現在はSNSなどのツールが増えたことからより伝播しやすくなってしまっている。また、実際に店舗で空になった様子がSNSやテレビで報道されることで不安の集団心理を掻き立てやすくなっている。また、現在はトイレットペーパーやマスクを高額で転売する人がいることも問題に加担している。
「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」. という言葉があるが、トイレットペーパー買占め騒動で消費者が不安に感じていることは「紙が無くなる」ことであり、マスコミが報道で空になった商品棚を流すことはかえって逆効果なのは言うまでもない。
このような状況から製紙メーカーがSNSで十分な在庫がある事を呼び掛けている。下世話な話だが、商売を考えると不安をトリガーに大量買いを煽る転売屋のような存在や商法もあるが、このようにして消費者の不安を解消していくという考えが正しいメーカーの姿であるように思える。
―――悪質なデマ拡散は名誉棄損にもあたる
―――デマは最終的に突き止められる
―――「ネットde真実」がもたらすデマ・バッシング
【スマイリーキクチ中傷被害事件】
当事件は、お笑いタレントのスマイリーキクチ氏が、当時まだ犯人が未成年であった女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人だとするネット掲示板の書き込みを発端にデマが広がっていった事件だ。明確な根拠もなく悪質なデマが広がったものの、それを否定する明確な決定打となるものがなく、理解されないまま事件が解決されないのが怖いところだ。
単なる思い込みや憶測が報道やジャーナリストの手に渡り、真偽を明確にしないまま多くの人間に提示してしまうことから、誤った方向への信憑性を増してしまう。真偽ではなく、情報として正しくない好奇心が勝り、それに賛同する形で情報が膨らみ、嘘が大きくなり過ぎたことで真相の肩身が狭くなってしまうのだ。中には面白がってという理由でなく、正義感から本気で信じ込み、善意としてデマを流布する人も中には存在するのが残酷なところだ。
―――安倍晋三銃撃事件の犯人と誤認され海外で報道された小島氏
国内では犯人の名前や情報も明かされ特に問題となっていないが、日本のゲームデザイナーの小島秀夫氏が海外報道にて安倍元首相の暗殺事件の犯人であるかのように伝えられており、それに対し、法的措置検討の声明を出している。
事件の発端は掲示板サイト「4Chan」に書かれた根拠のない書き込みだが、それを見たフランスの極右政治家が信じ込んでしまい、小島氏の顔写真と共にTweetがされている。
【国際信州学院大学】
数年前に炎上騒ぎが起こった本件だが、発端は国際信州学院大学の教職員50人から予約をドタキャンされたという旨のうどん屋のTweetだ。しかし、実際はすべて作り込まれた架空の団体で、何の被害も出ていないというのが真相だ。翻って、この騒ぎはネット上の情報がどれ程確証のあるものなのか、どれ程それを見分けられる人がいるのかといった指標の一つとなった。
下記は大学のサイトになるがかなり作り込まれている。
【育児】
―――誤った情報をネットがさらに増大させて流布しているに過ぎない
―――目には目を歯には歯を
偏向報道
―――グラフによる偏向報道
☟下記は上記tweetのような詐欺グラフをまとめた記事でなかなか読み答えがある。
―――切り取りによる偏向報道
―――ディベートの論点ずらし
―――「〇〇がお前の悪口言ってたよ」を地で行くマスメディア
―――テレビを信仰する高齢者
―――「おかしい」という状況に気付かせずに洗脳させるマスメディア
詐欺
―――「騙される奴が悪い」は通用しない
―――疑いもなく引っかかるカモたち
―――疑うことは重要
―――詐欺に騙されないためのリスト
―――InstagramやX(Twitter)で見かける副業斡旋広告は詐欺か?
スキルなしから適性を見極めて自分に合ったスキルを獲得して独立を目指すといったもので、まずは無料診断・カウンセリングからというものを見かけることは少なくない。
かく言う筆者もこういった類のあるサービスのカウンセリングを受けたことがある。サービスの内容としてはオンラインITスクールで、長い雑談の末、入会金・受講料込み最短コース4ヶ月で66万円(入会金一律5万円に受講料、さらに6か月コースでは95万の月々31700円払い。10ヶ月では135万という形になり、これらは受講したいコースによって異なる)ということを伝えられ、さらに「やらない自分に喝を入れるためにも金額はデカいが集中して取り組むことが出来た」などと説明を受けた。実際には定額制の月々19000円で集団講習スタイルで同様の教材を受講できるサービスがあるようだがその質は保証できない。
副業でフリーランス・独立を目指すことを目標にしていて、基礎から案件獲得までを教える流れのようだが、ほとんどの"先輩"なる人物は受講しきる前に独立できてしまっているらしい。この会社について調べると、ある利用者はそこまでの質が担保できないと不安になって消費者センターに連絡してなんとか解約したようだ(途中解約不可らしい)。
結論としては、こういった詐欺やマルチと言ったターゲットは「人や金に満たされないが努力や考えることは面倒」と感じる人たちであり、資格やスキルを得て独立したいならまずは専門学校の夜間などを使って勉強し、ネット上のある程度信頼できるプラットフォームから集客していくのが良いだろう。マルチや宗教についても同じことが言えるが、カウンセリング担当の方も自身の生き方や考え方に悩んでいるように思える。
中にはサイトを確認した上で、SNS上でのマーケティング広告の表記が"良く見せすぎている"ことに気付いて、X(Twitter)のコミュニティノートに注意書きをする人がいるおかげでより用心深く内容を見られるようになったのは良い。
―――詐欺まがいの訪問販売
当方も訪問販売が何度か来たことがあり、設置型オートロックとセット割でWi-fiルーターが付くというもので、月額費用が2000円もする商品だった。普通に考えたら高いが相場を知らないと気持ちも揺らぐかもしれないし、なんなら販売員は「他の入居者さんは結構興味持たれている人多いんですが」やら「好んで使っていただいているアパートも多く」など周りの人は利用してますのような圧をかけてくることがあった。ただ引っ越してインターネット無料で利用できる物件に引っ越した際に来た販売員は「インターネット無料」の言葉を聞いて足早に去っていった覚えがある。
陰謀論
陰謀論にハマるというのは、この世の隠された真実の可能性をダークなファンタジーとして捉え、それを知る自己陶酔のバッドトリップに浸るという一種の精神的に脆弱な状態である。麻薬と同じだ。グロサイトを見て自分はまだ幸せだ、恵まれていると感じたり世界の裏側を知ることで悩みや不安を縮小しようという心理が垣間見える。SEALDsに参加する大学生も社会人サークルに所属するような、サードプレイスを見つけた感覚で交流して社会を悟った気になることで自己肯定感や承認欲求を求めるような気も感じる。先の展望や周囲との疎外感に鈍感になってしまうことがこの類の恐ろしさで、何でも参加するチャレンジすることが報われる一歩ではないことは確かだ。
―――ヤバい店
―――陰謀論にハマる人はどれも同じ傾向
―――予備知識もなく一方的な知見に惹き込まれる
―――年を取ってからの陰謀論は厳しい
―――なぜ陰謀論にハマるのか?
―――浅はかな知識で知識人を気取れるファッション
―――はぐれ者たちの拠り所
―――陰謀論という大喜利エンタメを本気で信じる冗談の通じない人々
―――行きつく先は孤独
―――陰謀論から抜け出す
―――はぐれ者の行く先
集団ヒステリー
―――自殺教唆ミーム
自殺教唆ミームとは、SNS上などで参加者に最終的に自殺を教唆・扇動させることを目的としたコミュニティや指示をゲームと称したものである。
【"青い鯨"ゲーム】
―――首謀者は自殺教唆罪で逮捕済み
TumblrやYouTubeでは警告を表示して、問題の報告、またはメンタルヘルスの助けを促すワーニングをユーザに与えている。
【MOMOチャレンジ】
―――日本人クリエイターの作品を盗用してでっち上げられた「MOMOチャレンジ」
相蘇敬介氏の「姑獲鳥」という彫刻作品である。 これを「MOMO」というキャラクターとしてWhatsAppにハッキングして子供たちに自傷行為などの危険な課題を設定するとされる噂が広まった。
―――MOMOチャレンジというミーム自体デマだった
―――盗用された上に事実無根のデマでバッシングされた彫刻制作者
現在、「姑獲鳥」の彫刻は相蘇氏の手によって処分されている。
マンデラ効果
―――マンデラ効果とは?
ネルソン・マンデラ氏が80年代に亡くなっていたと誤解する人(フィオナ・ブルーム氏含む)が複数いたことからこのような命名になった。
―――身近に潜むマンデラ効果の例
以下はマンデラ効果とされる一部の例であり、中には認識していたものと事実が違っていると感じる人もいるだろう。
記憶上のピカチュウ(左)と実際のピカチュウ(右) 実際にはしっぽの先の部分は黒くないが、しっぽの先が黒かったと誤認が見受けられたという。
他にも都市伝説的に"幻のファンタゴールデンアップル"などが例として挙げられる。
―――思い込みを一般論と履き違えてして間違える
【10万人の宮崎勤】
―――「10万人の宮崎勤」デマ被害とは?
―――“Wikipediaにそのことが記載されていた”時の(2007年当時)事実無根の書き込み
Wikipedia「東海林のり子」2007年1月14日 (日) 09:39 の記述
※上記Wikipedia引用は事実無根であり、現在は修正されている。
―――デマ「10万人の宮崎勤」に対し、東海林のり子氏は
傍観者効果
―――有名な「誰も消防車を呼んでいないのである!」に見る傍観者効果
のりつけ雅春氏の漫画『しあわせアフロ田中』の 4巻から。 Twitterにて作者本人が「誰も消防車を呼んでいないのである!」の全編を公開した。
作中にて紹介される1964年のアメリカ・ニューヨークでの事件はキティ・ジェノヴィーズ事件解いて知られており、この事件を発端に傍観者効果(またはジェノベーゼ症候群)が提唱されるようになった。
この事件に基づき、1968年、心理学者のラタネとダーリーは実験の行った。
日本国内では過去に滋賀電車内駅構内連続強姦事件の事例が挙げられる。
自己啓発セミナー・スピリチュアル
自己啓発書もビジネス書も、読むだけで自分が賢くなったと錯覚するだけで、それだけで何かを得られた訳では無い。スポーツの指南書やハウツー本と同じで、書面でのやり方やルール、コツを知識として蓄えても、読むだけで翌日からプロ選手のようになれる訳では無いのは明白だ。自身で実践して感覚を掴み、その感覚を書面に書き起すとなった際に本ができるのだろう。真髄は実際に体験した感覚でしか得られない。しかし、正しいルールを知っておくことはスポーツにおいて言うと悪い影響はないだろう。
価値があると思しき人から得た知見とそれに附する他者を見下す見方を身に付け、優越感に浸るパチモンが出来上がる。実力が伴っている訳では無いため、表面的な虚栄心や人間の嫌な部分のみが模され、協調性がなく、排他的に自己を信じるマネジメント能力のない独裁者を生み出す恐れがある。
人間、情というものがあるため、物事を冷静に公正に対処する際にロボットのように無機質にならざるを得ない場合がある。感情面が正しい判断に左右する場合もあれば、共感を生む場合もある。
―――洗脳の手口
―――相手の価値観を洗脳する
上記では「2億円の現金」か「2Lの水が入ったペットボトル」が貰えるとしたらどちらを選ぶ?という質問を、恐らくオンラインセミナーを主催されている方がしており、それに対して「前者を選んだ者は目先の利益しか考えられない人」とし、「もし明日地震が起こり、目の前にあったとしたらどちらが欲しいか?」と提案して、価値観は環境によって変わってしまうものだとしている。
結局、正解がどちらなのかは明言されていないが、そもそも条件(「ハイパーインフレまたは文明崩壊で金が紙切れ同然の無価値になる」や「2億円以上の値打ちが見込まれる水」など)が提示されていないフラットな状態であれば誰だって前者を選ぶのが正しいし素直な回答である。要は「いきなり大地震が来て瓦礫に…」と後出しじゃんけんで勝った気になられたところで、その大地震が起こり、かつその被害に巻き込まれる確率を考えれば怒らない可能性の方が高く、万が一発生したとして今時どの家庭でも保存食や防災キッドのような類(ましてや水2Lほど)は持っているものである。
しかし、ネット上で影響力・発信力のありそうな人が言っているのを見かけると「自分の考えが間違っていたのではないか?」となってしまう恐れは大いにある。そこがマインドコントロールの恐ろしい所だろう。(この高橋と言う方はその他に炎上を起こしたようで、現在Twitterのアカウントが確認できない・削除されている状態である)。
―――不遇な自身を慰めるために自己洗脳に陥る
―――これだから信用ならない成功論
―――人々を堕落させ、勘違い馬鹿を増やす
■スピリチュアル
もともと占い師をやってたという方と話す機会があったが、普通に身の上話で「人生何が起こるかわからない」と言ったので、占い師でも自分の未来はやはりよく分からないのだろう。
ただスピリチュアル系に興味があるらしく、その本に影響を受けて断捨離などしていった結果、少しずつ変わることが出来たらしい。
その人の話では、すべてがダメになって人間不信に陥り、生活保護を受けに行った。すると2ヶ月に1度のタイミングでその人が来るようになった。塞ぎ込んでボロボロの状態でも興味を持って接してくれ、気になるようになった。このままでは職員と受給者の関係から先に進まないと思い、生活保護を断って1歩踏み出した。そこから、いろいろあって再び会い付き合い始めたといった話を聞いたことがある。
このような経験から、スピリチュアルにハマった人が占いにのめり込むような、ある種カルト的な傾向が垣間見えるのだ。実際占い師はメンタリスト的なもので、将来を見据えるでもなく相手の言って欲しいことを言って相手を安心させる職業なのだ。下手な人もいて、的外れなことを言ったとわかったら話を都合よくすり替える人もいた。
―――騙しの手口
■民間療法・疑似科学
―――怪しいと思うのは学問ではなくそれを悪用する人物のせい
―――"自然派ママ"疑似科学やスピリチュアルは女性が陥りやすい
下記Tweetは自然派の界隈から抜け出した人の話だ。ツリーになっているので全文読んで欲しい。はたから聴いていればおかしいようなことにも自分では気づかずにいるというのが実際のところだろう。
―――月刊誌に蔓延る根拠のない疑似科学
―――弱者に涙を流させて稼ぐ商売
―――救い・幸福を追い求めて欠落した考える脳
―――トンデモ科学の特徴
―――疑似科学は広まりやすい
―――テレビ脳も恐ろしい
―――騙しの手口
―――売る阿呆に買う阿呆
【血液クレンジング】
【テスラ缶】
―――テスラ缶を自作する者たち
―――阿呆離婚
―――参考になるサイト
ビジネス勧誘
―――いつだって不況に付け込んで怪しいビジネス勧誘を行う
―――楽して稼ぐという甘さ
過去にビジネス勧誘に遭った際、相手に「楽して稼ごうと思うから体の良いビジネス本・自己啓発にハマる」と言われたが、完全にブーメランであった。相手は「一人でもそういう人を救いたい」「危機感を感じず新たな物事に取り組まないのは残念な人」などと言っており、自身に向けた喝のように思えた。そのブーメランから読み取るに、一番救われたいのは自分自身なのだろう。
―――話の胡散臭さ
―――堅実な人でも騙されやすい
―――ここにしか居場所はないと錯覚させる
■マルチ商法(MLM・NB)
昔、宗教の勧誘の人間に「今はYouTuberやらインフルエンサーがネット上で多く活躍することでそれが宗教のようになっていますよね」と言ったら「痛いとこ突かれましたね」と返ってきたことがある。宗教をビジネスとするならば痛いだろうが、精神のよりどころと見るのであれば良い事だと思う。
―――勧誘手法
アムウェイにしろNSEにしろ、マルチの勧誘方法は「お話しませんか?」以上でも以下でもない接触から始まり、決してマルチの勧誘とは名乗らない。ただ「お世話になってる先輩」や「新しくビジネス始めようと思ってる」のような怪しい発言がされることは多い。寄ってくるケースが多い。「稼ぎたい」「友達が欲しい」といった人間の弱み・欲に付け込んでくるケースが多く、会員も同様の理由で始めた人が多い。
また勧誘が行われる場所の多くは都内のカフェなどで(渋谷にはアムウェイ本社があることで特にアムウェイが多い)、正午にかけては頻繁に怪しい会話をする客を多く見受けることができる。また新宿でもよく見られ、カフェへ向かう道中で「アムウェイって知ってる?」と種明かしされる場合もある。
上記引用では高ければ高いほど怪しい団体がいないように書かれているが、近年は安価なカフェではそのような客を店側も警戒し、ほぼ寄り付かなくなっている。翻って、ビジネスセミナー的な勧誘の場合の主題は「金」のため、相手の経済事情や夢などを探る名分、比較的高い価格のカフェへ連れ、相手の反応を伺うこともあるので、完全に安心しきることはできない。
著者も過去に新宿のthe 3rd Burgerやサイゼリアで勧誘に遭ったことがあるが、渋谷に本社を構えるアムウェイなどは呼び出し場所が渋谷になることが多く、iPad片手に企業説明会のような説明がされる。
早い話、勧誘してくる彼らは、相手を鏡に見立てて弱い自分に対しての批判・説得をしているに過ぎない。そのため、こちらは余裕釈然とした態度で無関心を貫けば、彼らも勧誘のスケジュールがあるためどこかで開き直って(逆切れ気味に)立ち去る。
―――独りの人間に歩み寄る
独りというのは友達の多い少ないといった話ではなく、集団の中で「俺は違う」「話が合うやつがいない」として孤独感を感じている人のことだ。同じ群れの中でも「ああいう風にはなりたくない」という利己的な価値観と「俺はあいつらとは違う」といった虚栄心がバネになって、そんな自分の将来を憂いているところに自分だけに訪れたチャンスのように乗っかってしまうのがマルチ・カルトだ。そのためか、体裁だけ整えた悲しい孤独な人が群れて憧れのビジネスごっこをすることでお互いを傷つけていくのが現実だ。彼らの特徴としては、結局は利己的な考えで生きているために相手に向けるコンプレックスが強く、自分がないまま人に依存・乗っかって形成しているだけで無個性で面白くないところだ。
―――マルチ遭遇エピソード
アムウェイではSNSやマッチングアプリから新たに出会うケースがあるようだ。過去にヨガに出会ったことで人生が救われたという女性に会ったことがあったが、話を聞くと一般的なヨガではなくスピリチュアルに近いヨガ理論で怪しい団体の勧誘でないかと思ったことがある。
―――マイニングエクスプレス、仮想通貨のマルチ
下記サイトから、ウクライナに工場を持つことでコストを抑え、工場機械から複数の事業を展開していることがわかる。紹介制度で報酬が貰えるといった仕組みからマルチであるとも思われるが、創業者がマフィアグループのリーダーであった経歴があるなど、詳しくは下記サイトに書かれているが、地に足の着いたものではないことは確かだ。
―――やりがい搾取の若者のフルーツ売り
これは労働マルチと呼ばれるもので、給与制ではなく完全出来高の歩合制だ。
―――モノなしマルチと呼ばれる詐欺
資産形成の勉強会や仮想通貨を利用したアフィリエイトなどの副業といった実態を持たないマルチ商法をモノなしマルチと呼ぶようだ。
実際に話を聞いたことがあるものでは、学生時代のように毎週サークル活動をしていて、遊びだけでなく資産運用やお金についてを学ぶ大人の学校のような存在だったようだ。しかし、実際には入会金に20万ほどかかったり、代行業の権利を与える名目で報酬が得られるといった旨を聞いた。また同社は派遣業として人員を斡旋していたり、その派遣先すらすぐに人が辞めていくような内容の業種だ。
若者の場合、社会人サークルや友達募集掲示板などの交流場で親しい人一人と出会ったりしてそこから徐々に悩みや心の内を聞いた後に勧誘として提案されるケースが多い。こういうケースがあまりにも多いため、運営や利用者が勧誘禁止の旨を述べていても都合よく言い返して勧誘してくるケースがはびこっているのだ。まず行われるのがイベント参加としてBBQパーティへ誘われて集団で引き込まれたり、入会費が高額で、すぐに資産運用でペイできるなどと謳う。入会後の退会に違約金が発生したりもよくあるケースだ。
―――そのような団体の中にはバーチャルオフィス、検索しても簡単にヒットしない会社が多い
マルチと言われて有名なアムウェイやNSEは検索によってヒットするが、有名でないところは住所を検索してもテナントの中に存在しなかったり法人登録がされていない(あるいはいくつも登録がありいくつも閉鎖している法人がある)などのケースが多い。会社の名称的にも特徴的なものは無く、同名の他企業が代わりにヒットしてしまい、そこに付け込んで上手くだますケースも多い。
―――怪しいビジネス副業情報はここに記載あり
下記のサイトでは幅広く怪しい会社の情報が掲載されている。怪しい勧誘を受けた際の会社の情報もここでなら掲載されているケースが多く、情報商材商法などの怪しい勧誘を伺うことが出来る。
―――マルチ撃退法
―――マルチからあなたを助けるのは周囲の人
過去にビジネスセミナーを謳う勧誘に度々あったが、彼らが口を揃えて言うのが「困ったとき頼りにするのは自分」であった。確かに「信じられるのは自分だけ」だが、自分を過信し続けて人間不信になった結果、自分にも裏切られ、自己嫌悪に陥るというパターンがこの場合は多いだろう。
下記の記事では、家族ぐるみでマルチの洗脳から解放するエピソードがあるが、こういうものにハマってしまうのは一時的な熱病のような感じなのだろう。
―――逆説的な手法
―――冷静になって考えてみればおかしいことに気付く
―――LINEのマルチ勧誘にも注意
■カルト
――― カルトによって生まれる不和・事件
下記は安倍元首相銃撃事件の犯人である山上氏が記述した手紙である。
安重根のように暗殺を称えられるようなことはあってならないが、カルト宗教によるお布施や霊感商法が引き起こす経済的な家庭問題は危惧するべきことであるのは変わりない。
―――宗教に対して知っておくことで見方がわかる
―――宗教と言えどビジネス、ヤクザにだってシノギは必要
―――騙しの手口
―――中途半端に知り過ぎることへの危惧
―――周囲の意見をレファレンスする
何にせよそれを信じてやまない組織の中に身を置いていくと、自分が感じ得た疑問や違和感に対して、内部の人間から「お前は間違っている」と言われることがある。そうすると「自分がおかしいのか?」と考え始め、自分と世の中が間違っていて、組織の方が正しく巧妙なことを行っているのだと錯覚してしまう。そこから善意としてそれを周囲に勧めるようになってしまう。逆に危険なのは、マルチやカルトから救ってくれる友人や恋人がいたとしても、それを振り払ってこちらが勧誘してしまい、周囲共々染まってしまうケースもあるということだ。
■フランチャイズ
マルチとフランチャイズの違いは以下のような違いだ。
マルチ商法:新規層に商品を紹介・販売することで権利収入を得る。上には上があるため、下層の会員の利益は少ない。
フランチャイズ:親企業からのブランド・仕組みを使用して販売する権利を得て、販売の収益を得る。
下記リンク先に詳細が書かれている。
―――どういう人がオーナーになるのか?
―――魔の手、退職後のリーマンを狙うフランチャイズ店オーナーへの誘い
―――マルチとほぼ変わらないフランチャイズ
―――優秀な人材を就職難から引き込んだ時代も終わり、人材不足のフランチャイズの現在
この記事ではコンビニの経営を内定の決まらない大卒の若者をバイトリーダーとして雇ったり、海外から来たエリートの働き口として経営が成り立っていたが、今はそうはいかなくなったという内容だ。加えて今はバイトテロなる行為がSNS上を伝って甚大な被害を出すことも相まって経営はより難しい状況となっているだろう。
―――公務員化するフランチャイズ
将来への不安
―――理想を追い求め続け、搾取され続ける
下記リンク先のエピソードは結構壮絶で、題名通り取り返しが付かない感じがする。何者にもなれず、高みを目指して放浪する様が描かれている。
―――知り過ぎることで不安、知らな過ぎることで不幸
―――怪しいビジネスやカルトにハマる層
―――貧すれば鈍する
―――乗せられて考える間を置かずに同調する人
―――"意識高い系"がプライド保持の看板として背負う自己啓発系・マルチ
―――"稼ぐ"ことより"人といる"ことを望んで集う人達
過去に宗教勧誘に遭い、長らく執着されることがあった。その人自体もともと学生時代誰とも考え方やそりが合わずに引きこもっていた時期があったそうだが、そこで親が入信していた宗教にのめり込んでいったらしい。宗教と言えど、人格者というより目障りなイキリ大学生のような雰囲気が漂っていた。その人の考えとして、相手のこともあるが自分が無理して満足できないのも良くないみたいな信念があったようだが、マイペースというか自己中。平然と相手がいる横で文句たれるような奴で(おそらく本心で接したいというより目先のメリットが何かあったのだろう)、どんな話をしても必ずオチや締めが宗教絡みだった。
おそらく自分より弱いとした相手に手を差し伸べることで自己肯定感を高め、青年組みたいな衆を取りまとめる相談役みたいな長を務めることで承認欲求を高めるという点や、同じ宗教というテリトリーでモチベーションを高めることであのような人物ができ上がったのではという感じだ。
一連の経験の感想としては、カルトと言っても宗教的な観点よりも自己啓発的な要素が高く、神頼みするけど結局は自分の問題だし自分で解決するというのが理念。それを応援する仲間が周りにいる環境というのが最大限の魅力的なのだろう。実態がどうなのかはよくわからないが、結局はマウント社会の弱者ビジネスな感じが印象。熱心でない信者についてはぞんざいな扱いだ。本来、資本主義やら社会に溶け込もうと必死こいて"普通”であり続けようとする現代社会の苦悩が嫌でユートピアを求めてたどり着く地点ではあろうが、実態はことごとくそこも同じ地獄だったのだと気付かされた。
破滅して堕ちる人の印象がある。軽装で出向いて災難に遭い、崖っぷちで両手でぶら下がっている状態で、這い上がると虫や雨風に突き落とされるでもなく手を払いのけられる。しかし落ちる恐怖があるからどうしても崖を掴む。これらが繰り返されると手がしびれ、また絶対に助からないという思いが強まり、自ら落ちることの意識を強める。このようにして深みにはまった際、周囲にそれを助けてくれる人がいない程の環境へ身を置いてしまったことに気付くのだろう。
■若者の未来
―――何でもリクルート任せの思考停止は通用しない
―――夢を見させてくれるネット上のカリスマ的存在に憧れるカルト的構造
―――思考を忘れて楽して稼げるという魅力に載せられる
―――不安を感じるから模索して藻掻く
―――新社会人になりかけ・なりたての若者が餌食になりやすい
たとえば、新卒で就職した仕事に関して仕事が上手くできない、職場の人と上手く接せないなどの不安要因に付け込んで怪しい勧誘を受けるケースが多い。この場合、多くは周囲に気軽に話ができる同世代の人間がいない場合が多く、そのためもあって人恋しさから同じような人を見つけては勧誘されて…という倍々ゲームによって広まっていく。勧誘の文句は大きく2つであり、お金を稼いで将来に備えようとか交友関係を広げて一生仲良く過ごせる人脈を築こうだ。そのため、勧誘を拒否する人に対しては「孤独な悲しい人」だとか「チャレンジする勇気のない残念な人」のように相手の人格やコンプレックスを刺激するような発言で催促する場合が多い。これらは基本的にブラインド勧誘なので実際に会うまで詳細は語られず、会ってから初めて勧誘されるケースが多いため、会うまでの事前の会話の中で「紹介したい俺の先輩がいる」「私今このサークルに入って充実してるんだよね」という会話があれば要注意だ。特徴的に本名や勤務先などの個人情報を聞いてくるケースが多いので、むやみに連絡先などを相手に渡さないことが吉だ。
■騙されないために
よくエナジードリンクは元気の前借りと言われるが、マルチやカルト、自己啓発の類も同様の気がする。一時期の気休め程度には自己を欺瞞でき、幸せになったような不安が取り除かれたような気になるが、徐々に粗が目立ち始めて苦しくなりながらも依存することで身を滅ぼす印象がある。
マルチで抜け出せない理由の一つとして、本人も辞めたいし、まっとうな職業ではないと気付いているが、これまでにかけたコストを考えるとそれを取り返さなくてはいけないと思うようになる。これを証券用語でサンクコスト効果と呼ぶが、同様に費用対効果に見合わない利益であってもそれが自分の中で大きい資産のように思えてしまうコントラフリーローディング効果といったものも挙げられる。
―――疑うことの重要性と信じることの脆弱性、想像力が身を助ける
―――頭が良し悪しの前提として重要なのは他人に危害を加えないこと
――――独りになるな
関連・参考文献
追記