失楽園ぼっち #毎週ショートショートnote
楽園と呼ばれる場所がありました。
温暖で美しく平和で長閑。
人々は穏やかで、みな同じような顔で笑っていました。
そこでは決まりさえ守っていれば、生涯生活に困ることはありませんでした。ルーティンを守る。集団の和を乱さない。質問をしない。楽園の外に出ない。でも、それを破ったらどうなるかを知る者はいませんでした。
やがてそんな暮らしに疑問を持つ者が現れました。
ルールを決めたのは誰?
どうしてみんなと同じでなきゃいけない?
なぜ疑問を持っちゃいけない?
外には一体何がある?
好奇心を持ち、意志を持ち、集団からはみ出した者は一人、また一人と楽園を後にしました。基本的に個人行動するため『失楽園ぼっち』と呼ばれるようになった彼らは外の世界で試行錯誤し、困った時は助け合って暮らし始めました。生活は厳しく孤独ではあったけれど、日々は変化に富み、何より自由でした。彼らはおしきせの楽園を捨て、それぞれがひとりぼっちの楽園の主となったのでした。
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たらはかにさんの企画・裏お題に参加。
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