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ありがとう

決して何も無駄ではなかったのだ

これまで何かを探し埋め続けてきたのだった
しかし、何も埋まらなかった

色々なことをした
たくさん試して埋めようとしてきた

一生埋まることはないと思っていた
最愛だった
永遠を共にするのもだと思っていた

突然だった

携帯の通知が鳴り響く
心がざわつく
普段はそんなことないのに

急いで携帯をとる
画面には

もう目を覚まさないかもしれない

分からない
何を言っているのだろう
なんの話しをしているんだろう

病院に走った
彼の待つ病室に

彼は目を閉じこちらを向くことはなかった
周りには泣き崩れる彼の両親
察した察してしまった
嫌な予感であって欲しかった

最愛だった
永遠を共にするのもだと思っていた
だが、もう彼の目を見て話すことも
笑いかけられることも無い
そう察した

彼は死んだ
私の中の彼も死んだ
私の心も死んでしまった

彼は最期まで私に
「これは独りよがりだから聞き流してくれよ?ずっと守ってやるからな。」
そう話していた

もう10年経った
未だに思い出す
苦楽をともにした
まだ未熟で若かった私たち
だが彼は大人だった

私に逃げ道を与えた

幸せになれと
見守っていると

彼の言葉は本当だった
死にそうになる度に出てきてこう言う

死なせない
俺が生かしてやると

そして現実に引き戻す
死なせてはもらえない
私は彼に守られている

ある日突然彼は現れなくなった
やっと心の穴が塞がった気がした

何故か何かが突然埋まった
もう彼には会えない

大丈夫、もう私は幸せだよ


何度も連れて行ってとせがんだ

ごめんね
困らせたよね

彼はいつもあの頃のままで
私より若い姿で
死なせない
俺が絶対死なせないと
そう言って優しく頭を撫でる

もうそれもない
恋しくて仕方ないのに
もう一度あの頃の私たちに会えるのなら
恥ずかしくて言えなかった
大好きや愛しているを沢山伝えよう

あなたのおかげで
私は素敵な人と巡り会えたよ

さようなら大好きだった人
また会おうね

それまでは
会えなくとも
見守っていてね

今日も私は
愛した人の大好きな場所に
花をたむける

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