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【ホロライブ桐生ココ】ホロライブ所属Vtuberによる中国台湾騒動の何が問題だったのか

今回のアーカイブは、こちらです。(ただし修正済みになっているため、該当する箇所は消されています)→https://www.youtube.com/watch?v=w66x87VSQRc

問題点を指摘する前に、事の経緯を解説していこうと思う。
2020年9月25日配信のアーカイブ内で、Googleアナリティクスという、YouTubeへのアクセス履歴を配信内で公開したわけですが、その際に画面内の訪問元の国(?)という項目があり、そこに台湾と表示されていた。
ここまでならば、配慮に欠ける配信だということで済まされるのだが、実はこの配信が、BiliBili(中国版ニコ生みたいなもの)に設置されたホロライブ公式(ホロライブ公認?)のチャンネルにミラー配信されていた。中国は、金盾というインターネット検閲により、YouTubeは閲覧不可能になっているが、現地中国人はこのような形で、YouTubeの配信をリアルタイムで見ることができていたらしい。
当然、この配信を見ていた中国リスナーが騒ぎ出すことになる。ここまでならば、配慮に欠ける配信だが、政治的意図はないとでも説明すれば何事もなく終わっていた。

しかし、あろうことかホロライブ運営元のカバー株式会社は、この騒動に伴って、経緯を説明する声明文を、国内および海外向け中国国内向けの二本立てで出した。

国内向けは日本語の不自由さを感じさせるものの、まだ及第点として良い程度の声明文だった。問題は中国向けの声明文だ。察しの良い方はお気付きかも知れない。あえて、声明文を二つ用意したということは、つまり内容が異なっているから、そしてどのように内容が異なっていたのかというと、中国向け声明文では、「一つの中国を支持する」と読める内容の声明文になっていた。
ここで言う「一つの中国」とは、中国共産党が掲げる党是のようなもので、要は中国による昨今の強引な政策(チベット弾圧、香港問題、台湾問題、ウイグル弾圧、尖閣諸島問題など)を実施する根拠となっているものだ。つまり、これを支持するということは、遠回しに上記の諸問題すらも支持すると表明しているような状態になる。

しかも、声明文では「日中平和友好条約に基づき」と書かれているが、日本政府当局は外国領土問題には深く関わらず、その考えを尊重する程度にとどめており、当事者同士で解決してほしいという意図の読み取れる立場に立つため、全く異なる内容となっていた。
さらに目も当てられないのは、本件が台湾でニュース番組のトップを飾って報道されたことだった。
だから何だと言われるかも知れないが、これは台湾現地人からしてみれば、相当に危機感を募らせる内容だったものと思われる。
台湾も、日本が中台間の問題に深く関われないということは、あくまでも国際法で国家と地域という括りで定義されている以上は、よく承知しているだだろう。当然、これは台湾の市民もまた同様だ。
そして、だからこそ台湾は日ごろからの日本の被災時などに積極的に支援物資を送るなどして、万一の有事の際には、日本政府による軍事的介入まではなくとも、日本国民の世論が台湾支持に向くよう、必死の外交努力を続けてきた。
しかし、今回の件で、特に戦争に直接的に関わるであろう、若い世代に人気のあるコンテンツで、一つの中国を支持するという声明を出されてしまい、台湾の当局がやってきた政策の有効性を担保できているのか分からなくなってきた。結果として、台湾のニュース番組でトップニュースで扱われるほどの騒動になってしまったということだ。
また、時期を同じく、国会の超党派会議(つまり、自民党とか立民党とか関係ない)で取り上げられるような事態にまで発展する。一企業の一タレントが代議士レベルで取り上げられるなど、ほぼ前代未聞ではないか。
それくらいのレベル感だった。

事態を重く見たのか、運営元のカバー株式会社は、後日の声明文で、中国現地法人から二枚舌にしないと活動しにくくなると言われ、そのようにした。他意はないとの声明文を出し、これがさらに火に油を注ぐ結果となり、中国側からは「なめとんのか」という怒り声(そりゃ当然だろう)、日本および海外側からは「それ言っちゃうの!?あほか!」という呆れ声が入った(これも当然だろう)。

そして、この一連の騒動にとどめを刺した最後のムーブは、声明文を出したあとに、3週間の謹慎を受けた桐生ココ(及び同様の事故を起こした赤井はあと)が、復帰後の最初の配信で、「チッ、反省してまーす」を地で行くかのような、反省しているのか疑義を持たれる配信をしてしまい、タレント業という印象が大切な業種では、致命的な失態を重ね、それまでの運営だけが悪いとなっていた論調から、配信者も同罪という流れを不動のものにした。

なお個人的見解ではあるが、日本政府当局は超党派議連で資料として出しはしたものの、そこまでは気にしていないものと思われる。むしろ、「こういったアホなことをぬかす企業が出てくるくらいには、日本の企業がチャイナマネーに侵されている、早く補助金でも何でも出して、中国内の資産(工場とか現地ノウハウや人材など)を国内や東南アジアにでも移転させろ」とするための教材として使われた感が強いのではないかと考える。しかし、そうは言っても台湾は、日本の様々な政策(エネルギー政策、食糧資源政策、軍事政策など)に影響を与える重大なシーレーンにも位置しているため、情報の収集くらいはされているのではないだろうか。

ここからが本題になるのだが、どちらかと言うと、中台の当局の方が注視しているのではないかと思われる。つまり、より危険な状態と言える。
特に、私が危機感を覚えることとして、中国共産党の本当の意味での危険性を理解していないのではないかと思われる点だ。
あまり知られていないが、有事の際には、中国の国内にある諸外国の資産は、全て中国共産党の管理下に置かれることになる。(国防動員法)何を言っているのかと言われるかも知れないのだが、事実として、そういった法律が存在する。つまり、なってみるまで何が起きるか分からないのが、中国という国であり、中国共産党という政党であり、チャイナリスクとされている理由は、ここにある。我々日本人に一般的な、民主主義国家や純粋な資本主義国家を基準にして考えると、目算が外れることになるだろうことは、容易に想定できることだ。
また例えば、中国人民解放軍は中国人の軍隊ではないということも、あまり知られていないことだ。何のこっちゃと思われるかも知れないのだが、日本の自衛隊は日本人の軍隊(という呼称が適切かは憲法に関する部分なので割愛する。少なく見ても海外の公文書ではJapan Armyとされており、軍事力とみなされている。)だが、中国人民解放軍は中国共産党員の軍隊である。
つまり、中国共産党に敵対する、または利用できるものと判断されるなら、その利益のため動くことには十二分に想定できる。まして若い世代に人気のコンテンツとなってくれば、なおのこと興味はあるだろう。事実、この一連の騒動は、中国共産党機関紙に該当する人民日報で記事化されていた。
さらに、桐生ココはあろうことか、復帰後の最初の配信で、中国人リスナーを煽るかのような言動もした。
中国人研修生や留学生として来日する中国人や、その中には当然に中国共産党員も含まれているはず。
最悪の場合は、タレント自身にも危害が加えられるような事態は十二分に想定できることであり、本来ならばタレントを守る立場にある事務所は言うまでもなく、それに追い打ちをかける発言をした桐生ココは、非常に問題ある立場と言えるだろう。
先日に書いた記事の「【緊急報告】ホロライブ大空スバル宅リア凸事件!?」で心配していたのは、こういうことが想定されるからだ。(幸い、最近調べたかんじでは、どうもメンバーシップ限定の配信内で、大空から問題ない旨の発言がされていたらしく、とりあえずこの発言を信用するのなら心配はなさそうだった。)
また、V界隈がメジャー化しつつある中で、Vtuberを視聴しない一般層には、V界全体の印象を悪くする愚行と言える。
ホロライブ運営元のカバー株式会社と桐生ココは、もう少し対応を考えるべきだし、中国リスナー向けに、少しでも理解を得られるように、今後も継続して問題に対処していくべきだ。
あと、本件とは関係ないものの、桐生ココは日ごろ、「していぼうりょくだんホロライブ」などと暴力団を茶化すかのような言動をしているが、これもあまり好ましくはない。いくら暴対法があるからといって、彼らにはまずそもそも法律など関係ない。生きるも死ぬもやけっぱちの中で生きているような状態であり、メンツがつぶされたとなれば良い気持ちはしないだろうし、金が関わっているのであれば、隙をうかがって関わりを持とうともしてくるだろう。だから、いくらそれが芸風だからといっても、限度というものがあるだろうことは、もっと自覚すべきだろうと思う。

なお、余談ではあるが、本件がこれほどに炎上した理由は、過去にホロライブでは、「湊あくあによるタピオカ事件」にはじまり、「癒月ちょこによるチベットは国事件」など、数々の中国台湾騒動を起こしてきたにもかかわらず、この体たらくであり、しかもこれに懲りてBiliBiliのチャンネルがなくなったのと同時に、中国国内市場からも撤退するのかと思いきや、今度はTikTokで公式チャンネルを開設してしまうなど、どうやっても悪手を採用し続けていることが原因にある。何かあってからでは遅いので、ホロライブや桐生ココは、事態の重要性を今一度、自覚した方が良いのではないだろうか。

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