SUM41見に行ったら、前座のFOMAREとかいうバンドに心動かされた
生まれて初めての外タレ単独ライブ。
アクトは中学から聴いていたSUM41。
僕が最も好きなバンドの一つだ。
デイヴバクシュのプレイに心惹かれ、尊敬するギタリストの一人になった。PRSを買おうと夢見たのは、間違いなく彼の影響だった。
詳しくはこちらを(長いので後で読むのをオススメします)
そんな中、前座で日本のバンドがプレイするという。locofrankやTOTALFAT、NAMBA69くらいに大御所がくるかと思ったら、
FOMARE
というバンドらしい。
名前だけは見たことある。どんな読み方やねん。
澤?澤なの?バロンドール??
なーーーーんだ、最近のクソ大学生バンドか...。と、ガキ全開の偏見を胸に、雨脚強まる極寒の豊洲PIT、整理番号500番から一気に4列目を陣取った。
いつ行っても、ライブ前の高揚感というのは格別だ。
たとえそれが、全く興味のない前座だったとしても、照明が暗くなる瞬間には、全身の毛穴がバッと開く感覚に襲われる。
登場してきたのは、やたらイケメンの今風にーちゃん達。
おぉ、スリーピースか。
1曲目が始まる。
びっくりするくらい観客は棒立ちだった。
そりゃそうだ。なんたって今日はあの世界的ロックバンド、SUM41ジャパンツアー東京初日なのだから。
年齢層も高く、コッテコテの海外メロコアが好きそうな人ばかりで、CDJに行ってストーリーをあげまくる10代、20代の様な層は見受けられなかった。
気づいたら2曲目が始まってた。手を挙げる人は一人もおらず、生演奏が流れていた。
しかしだ、曲のテンポもよく、サビもキャッチーかつ、ドラムもしっかりしているし、ギターの音もフレーズも個人的に耳を塞ぎたくなるものではなかった。そして何より、ボーカルが楽しそうに歌うのが印象的だ。
それに若干、会場もわかってきたようだ。頭が揺れるのが目につく。
何曲目だろうか。最後から2曲目の曲が流れた。
開演まで外で待って、芯まで凍えた体が温まることなく、演奏が終わった。
MCで、「群馬の田舎町からバンドをはじめ、先輩にSUM41をオススメされて、ここまでやってきた。この舞台に立っている俺らを過去の自分たちに見せてやりたい」的なことを言っていて、会場の多くの人が共感した空気を出していた。バンドはやらなかったけど、僕もカナダの世界的バンドに影響された一人だ。
そしてついにSUM41が登場する。
デリックは完全復活していたし、尊敬するギタリストのデイヴを生で見れたのは宝物になった。
ピッキングはかなりブリッジ側でするのがわかったし、腕の使い方がとても柔らかいのに、アグレッシブなプレイをいとも簡単に弾いていた。そして何より腕が激太かった。トムタッカーの3倍はあったぞデイヴ。
しかし、4thアルバム「Underclass Hero」以降の曲は明らかに盛り上がりに欠けていた。
そりゃチケットが完売しないんだもん。流れで運良く、前から2列目で見れたけど、思ったよりも全然押してこないし、ダイブも多くはないように感じた。
それでも往年の名曲は輝いていたし、やはりかっこよかった。
キーは下がっていてもStill Waiting、No reason、Fat Lip、The Hell Songは漏らすくらいテンション上がった。
ただ、
帰りの電車で余韻の中、頭の中でずっと鳴り響いていたのは、FOMAREのラスト2曲目、Stay With Meだった。
こんなこと言ったらあれだけど、思ったよりSUM41のライブが大人しくて拍子抜けした。例えれば、ホルモンくらいを想像していたし、もっとごりごり暴れられるかと思った。
オーディエンスも熱いかと思ったら、そうでもなかった。
そんな中で、今風のサウンドなのに、どこかメロコア全盛期を感じさせるFOMAREのサウンドが僕の琴線を揺らしたらしい。
そして翌日、聴いてみると
うわぁ、いいじゃないですかこれ...。
歌詞がかなり甘ったるくて胃もたれするけど、疾走感のある曲展開、コード中心かつ要所でフレーズを入れてくるギター、メロコア譲りのポップなサビの中に、どこか感じる哀愁は懐かしさを覚えた。
ライブを見てハマるバンドは中々ない。音源より劣っていたり、うまく全体の音を聞けなかったりするからだ。
全く知らない状態から、彼らを聴いて、そこから音源を聴いて、これは良い!ってなったのは、そんなにライブに行かない僕にとっては初めてだった。
Scoobie Doもヤングオオハラもライブは良いけど、音源でいまいちハマらなかった経験がある。
3回連続で聴いたら、甘ったるい歌詞を自己に投影し始めてしまった。どうした自分。たった3回聴いただけで末期症状が出てしまった。もうおしまいだ。
こうして自分はメンヘラの素質があることに気づかされる。23にもなってなにやっとんねん。
最近のバンド、とくにイケメン毛量多い系バンドが大大大嫌いな俺にとってこの手のバンドが、Tinderにはびこっている、マイヘア好きです系に受けることは重々承知している。
女々しい歌詞が一番嫌いだ。バックナンバーなんて聴いいてて本当にきつい。マイヘアなんて意地でも聴かない。
爽やかな音楽が好きな俺にとって彼らは真逆だ。(つってもyonige大好きなんですけどね....どの口が言ってんねん)
否定するわけではないけど、根暗な自分が聴いてしまうと、それこそ本当にメンタルがやられてしまうのだ。
せめて聴く音楽だけは明るくいさせてくれ。
なのにだ。Laniとかいうただのヒモみたいな男を歌ってる歌詞に、見事やられてしまった。というかクリティカルヒットだった。
ひっどい歌詞だ。
生々しい。僕はこの年齢になって気づいたことがある。クズはモテる。まるでそんな歌詞だ。ヘドが出る。
二度寝をするな、と俺は言いたい。ちゃんと駅まで送ってけよと。声を大にして叫びたい。
クズ男と天秤にかけられて振られたり、年上に遊ばれてポイされたり、そんなことを2019年に置いてきた僕にとって、この歌詞はいろんな方向からジャブを打ち込まれるようなものだった。
疾走感のあるサウンドに、この甘ったるい歌詞は、ある種の化学反応なのかもしれない。
黎明期のメロコア、パンクは主にハイスタにはじまり、HUSKING BEEやbrahmanといったいわゆる、初期AIR JAM世代が牽引してきた。
そこから、MONGOL 800、BEAT CRUSADERS、Hawaiian6、Northern19、TOTALFAT、locofrank、10-FEET、ELLEGARDEN
といった様に、2010年くらいまでは多様性を持ちつつ、国内ロックシーンの人気を掴んできた。
その中で、10's以降のサウンドとして、90'sの源流をしっかりと汲んでいる、Back Liftや3Style、Babysmokerなどが出てきているが、Northern19やビークルのような成功は納めていない。
EVERLONGもポップ寄りにシフトした印象だし、ShitHappeningやSpecial Thanksがいまいちシーンのトップに踊りでなかったのは、純度の高いメロコア、パンクを忠実にやりすぎたのであろう。
個人的にはリバイバルとして大好きだったし、もっと売れるかと思っていたのだが。
今の時代、この様なジャンルのバンドは、どこかで変化を持たせないと、教科書になっている音楽には勝てないのだ。
はっきり言ってメロコアやパンクは、飽きる。
誰しも10代の思い出として、切なさを持って生き続けては行くのだが、ずっと好きな人は多くない。
その中で、日本人が大好きな、甘ったるい恋愛系の歌詞を、疾走感のあるパンクサウンドに乗せて、日本語でストレートに歌うというのは、今までになかったのかもしれない。
正直、最近のそういうバンドは名前だけ知っていたが、バカにしていた。
そりゃそうだ。僕は90'sのパンクサウンドのさらに先祖であるアメリカ西海岸の音楽、Bad ReligionやNo Use For A Nameが好きだし、ハイスタもGreenDayもSUM41もELLEも大好きだ。
今の世代が作った末端の音楽に満足できるわけがない。
と思っていた。
誤算だった。大誤算だ。
めっちゃいいよFOMARE。すごい良い。
冷静に考えてそりゃハマか。とも思った。
メンバー全員が僕と同い年で、おそらくだけど、影響されてきた音楽や、見てきた聴いてきた音楽(J-POPや海外POPS含む)が丸かぶりしている中、吐き出されたアウトプットがあの楽曲たちなのだから。
注意して聴いてみると、ここのフレーズはあれっぽいなとか、ここのメロディーの変わり方はあれっぽいなとか、この歪みはこれっぽいからこれ好きなのかなとか、ポジティブな意味で他者と比べられる楽しみがある。
She'sだって、こいつ絶対Something CorporateとかMaeとかELLEから影響受けてんなと思って、ファンクラブ入ってるくらい好きな子に聞いたら、ドンピシャだった。彼らもまた年齢が近い。
この年になると、聴いてるだけでニヤけてしまったり、走り出したくなるような音楽と出会うことがめっきり減ってしまう。
最近の音楽を聴いても、まったく琴線に触れないことが多い。だからみんな10代20代に聴いてた音楽を大人になっても聴くのだと、僕は思う。
だからこそ、こうやって若いバンド、しかも同世代のバンドが、自分と同じような音楽に影響を受けて、それを元に作り出された新しい教科書となる曲たちを好きになれるのは、とてもラッキーだと感じた。
メンヘラだけどまぁいっか。FOMAREを聴こうと思う。
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