嚥下工事/エーゲ

横浜国立大学の経済学部生です。小説、書評、映画評、日記などを書いておこうと思います。た…

嚥下工事/エーゲ

横浜国立大学の経済学部生です。小説、書評、映画評、日記などを書いておこうと思います。たまに思い出したように読んでくだされば嬉しいのです。認められてなくても、認められた気になりますので。

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「キョウハフタタビコヌモノヲ」(1)【連載小説】

 手のひらの中にすっぽりおさまった文庫本には、どぎつい真っ黄色の帯が巻かれていた。『TikTokで話題沸騰!』と書かれたその帯をはぎ取ると、とたんにその本は頼りなくてうすっぺらなただの紙の束になりさがってしまった。いざ改めて冷静に見直してみると、つるつるしたカバーの肌はたくさんの人の手に取られたせいで汗ばんでいたし、裏表紙についた開きグセも急に気になりはじめた。くたびれた税抜き780円の文庫本は、本屋の照明に照らされて情けなくテカっていた。よく見たら日焼けとシミもあった。

    • 『オッペンハイマー』評.day1~三位一体編~

      ※映画『オッペンハイマー』の感想評第1弾です。映画のオープニングシーン+全体的な映画の概観をもとにして感想を書きました。分かりづらいので映画を観た人に読んでいただきたいです。 プロメテウスの映画『オッペンハイマー』 この映画は、世界で初めて実用的な原子爆弾を完成させた『マンハッタン計画』のリーダー、ロバート·オッペンハイマーの伝記映画だ。 この計画は世界初の原爆実験であるトリニティ実験をもって成功し、後に作られたウラン爆弾『リトル・ボーイ』とプルトニウム爆弾『ファット・マ

      • 【小説】『昼鳶』(1)

        【20xx年】  こんなに走ったのはいつぶりだろう。  肺の内側の血管がぐるぐるうなっている。喉が焼けただれたように水を欲している。太ももにはどっぷり乳酸が溜まって、鉄アレイのように重い。  厚底の真っ白な靴が、アスファルトをはじく。でも、前に進まない。ひらひらした衣装が足の間に挟まって、走りにくい。  目の前を走る『伊藤』も同じだ。だんだんペースが落ちてきている。彼女は前々から天才的な運動センスを持っていたけれど、ヒールの靴を履いて、天使の羽を思わせるおおぶりな服を着

        • 【備忘録】立川談志

          談志師匠が言ってた。 なぜ師匠は弟子に厳しく言うのか。 一生懸命やってきた人間は一生懸命やらない人を見ると不安でしょうがないから。自分が安心するためになんとか真面目にやらせようとする。 どんな立場の人間も、その人はその人なりの新たな不安を持つものなのかもしれない

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        「キョウハフタタビコヌモノヲ」(1)【連載小説】

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        • 鶯狂日記【日記】
          9本

        記事

          【日記】2023/1/28

          ウクライナのことは忘れているし、中東はちょっと気になるけど、能登地震のことももう忘れてしまった。もともとあまりよく知らなかった。いつか歴史の教科書で知ることだろう。 アラビア語の勉強は難易度が高すぎてやれてない。 テスト期間が終わったら、石油関連のフォーラムや枯渇性資源の経済学についてオリジナルでいろいろ調べようと思っている。あとは、YouTubeで原油先物についても詳しくなっておきたい。映画「バーニング・オーシャン」も観るし、エクソンバルディーズの事故についても調べよう。

          【日記】2023/1/28

          【備忘録】環境と持続経済の元年

          日経電子版で円城塔さんの「長い豚の話」が連載開始された。 円城さんは、名作「ゴジラSP」のアニメ脚本、伊藤計劃御大との共著、意欲作Indifferense Engineの執筆など、常にとても高い関心を集めるサブカルとミリタリとアカデミックとクラシックの寵児だ。「長い豚の話」は温暖化問題によって北極圏に移動した人類の話であり、いかに現代において経済と環境問題がリンクした話題になっているかを示している。数十年前に小松左京が「日本沈没」を大地震を理由にして描かなければならなかったの

          【備忘録】環境と持続経済の元年

          備忘録【原価会計】

          原価会計において、ちょくちょく実務的な問題が話題になる 製造間接費を直接労務費に割り当てて配賦するシステムを採用している工場では、各部門で自動化が進む傾向にあるらしい。なぜなら、職工を抱えればその分だけその部門が間接費を負うことになってしまうからだ。極端に言えば全部ロボットにやらせることができれば、その部門は会計上で利益しか出していないことになるかもしれない。直接工は減らされてしまう。 過剰在庫を持つことで、それは錆びちゃったり(物理的陳腐化)技術的に遅れたものになってし

          備忘録【原価会計】

          備忘録「資本主義と社会主義」

          あけましておめでとうございます。 とはいえ昨日と今日はどうしようもなく連続したままですから、去年解決し中田問題は引き続き今年の問題でもあります。 実はぼくは僧侶の資格を持っていて、今日は元日ということもあって出仕させてもらいました。そのとき一緒に出仕していた年配の方から偶然面白い話を聞いたので書き留めておこうと思います。 仕事が終わった後、ぼくとその方はちょっとした宗教談義をしていました。それは哲学談義、政治、経済談義へと展開したすえに、最後に資本主義と社会主義の話題に

          備忘録「資本主義と社会主義」

          12/16/2023【日記】

          NHKプロフェッショナルの宮崎駿特集を見た。今回はいつもの回とは違い、恐ろしく殺伐とした雰囲気になっていて、今までにあった感動する作りや編集が削れ、最終回に向けて進んでいる感触が確かにあった。宮崎さんと高畑勲監督の愛憎溢れる長い人生にフォーカスしたつくりだった。全員がひどく怒り、文句を言い、批判をしていた。脈絡もなく、霊におびえていた。宮崎映画の中のセリフと現実のセリフがはっきりとリンクする編集、そのすべてが何か特定の意味やメッセージを生むものではなく、得体のしれない「最後」

          12/16/2023【日記】

          11/22/2023【日記】

          彼女の家に泊まります。こういう楽しみを当たり前に思うようになってしまうのは、悲しきかな、楽しきかな。失って気づくだろうから失いたくないな。

          11/22/2023【日記】

          11/21/2023【日記】

          学校で実際の経営者の人たちの話を聞く講義を受けた。今までも何人もの人たちのお話を聞いてきたが、誰も彼も、バイタリティと人生に対する活力にあふれていて、自分とは全く違う脳のつくりをしているとしか思えない。もちろん実際に取り組んだり働いたり考えたりする過程でそうした自信や能力を身に着けていくのだろうとは思うけれど、彼ら彼女らはそれにもまして、「元気」だ。好きなことを追いかけるのだって体力がいるのに。 今日話してくれた人は、一度企業に挫折して三か月ニート生活を送っていたそうだ。じ

          11/21/2023【日記】

          11/19/2023【日記】

          相鉄線スクフェスに参加した。いろんな軽音の高校生を見た。みんな恐ろしくうまい。当たり前のようにオリジナル曲をやってる。僕が高校のころとは雲泥の差だ。 実はもう少し詳しいことを書いたのだけど、さっき間違えて消してしまった。打ち直すのが面倒極まりないので今日は短い。

          11/16/2023【日記】

          日記というものは毎日書くものではないのかと思います。でも書き忘れます。日記というものがあまり魅力的ではないので。 今日は学食でラーメンを食べました。あとつくねのコンビニおでんをひぃひぃ言いながら食べました。お金ないのに。食べること以外の楽しみを見つけられないまま、今日はバイト先のひとたちと飲みに行きます。 でももうすぐやめるつもりです。そのことを言い出せずにいます。 だってやめる正当な理由がないからです。ただ仕事ができなくてつらいから、というのを口に出せるほど強くありません

          11/16/2023【日記】

          11/13/2023【日記】

          ひさしく日記を更新していなかった。 だから今日書くことはすべて、今日のことではない。過ぎ去ったものの中でも特に覚えているものをいくつか書く。 僕は経済学部で、それでいて古生物学(化石とか恐竜とかアンモナイトとかのあれ)が好きなので、両者の接点となるような分野はないか考えていた。見つからないのでchatGPTに尋ねた。そうしたら、資源経済学はどうかと答えてくれた。なるほど、化石燃料をはじめ、天然ガスやレアアースなどの資源の多くは地下に埋まっている。そんな分野もありかなと思った

          11/13/2023【日記】

          11/07/23【日記】

          継続は難しい。言語習得アプリのDuolingoとか、ベースの練習とか、小説執筆とか、毎日やりたいことをすぐ忘れてしまう。日々を未来のための時間ではなく、こなすためのものとして扱ってしまっている。これはまったく良くない。さあ簿記の勉強をやろう。さあさあ。

          11/06/2023【日記】

          今日は英語の時間でたまたま遭遇した女の子にちょっとした一目ぼれをした。アヴァンギャルドな感じで、11月にしては薄い黒いTシャツを着ていて、少しけだるげだった。その場に合った話題をさらりと提供してくれたし、盛り上がるときは盛り上がってもくれた。また会いたい、と思う。 昔からそうなのだけど、ぼくはなかなか人の顔が覚えられない。これは不思議なことだ。彼女の顔も的確には思い出せない。だから、もしもう一度出会ったら、またちょっと一目ぼれするだろう。

          11/06/2023【日記】