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“AND ON SHINAGAWA”がつくるイノベーション・エコシステム。未来の「モビリティ×ライフスタイル」を生み出す、その活動の実像とは?

こんにちは!AND ON SHINAGAWA 運営事務局・株式会社ヒトカラメディアの中山です。

オープンイノベーション拠点「AND ON SHINAGAWA」では、「デジタル時代のモビリティ×ライフスタイル」をテーマに、関連するスタートアップや大企業などの共創を促すための“イノベーション・エコシステム”の形成を目指しています。

今回は、「AND ONって結局どんなことをやっているの?」「実際に、どんなイノベーションが生み出されているの?」という疑問にお答えするべく、本拠点のスペース運営を中心に携わっているヒトカラメディアが、本プロジェクトの中心メンバーに取材、その実像に迫りました!

AND ONでのエコシステムづくりを目指し、本活動をリードする京浜急行電鉄株式会社・新規事業企画室の橋本雄太さんと、スタートアップへの投資や大企業のイノベーション支援の知見をAND ONに提供している株式会社サムライインキュベート・Partner Enterprise Groupの成瀬功一さんに話を伺います。

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本気で未来を変えるために、「デジタル時代のモビリティ×ライフスタイル」のイノベーション・エコシステムづくりに取り組む

ー本日はよろしくお願いします。さっそくですが、AND ON SHINAGAWAが「デジタル時代のモビリティ×ライフスタイル」を掲げて、イノベーション・エコシステムづくりに取り組んでいる理由を教えてください。

橋本:現在の日本は人口が減っていき、また、急速なデジタル化によって社会の在り方が大きく変わってきています。オンラインとオフラインの融合が進み、あらゆる業種のデジタル化が進む中、特に人やモノの移動=モビリティの分野は、自動化などの流れの中で100年に1度の変革期を迎えています。

テック系のスタートアップの参入や、トヨタ自動車さんがスマートシティづくりに乗り出すなど、既存の枠を超えたイノベーションの創出が求められています。

モビリティは、暮らしや働き方など、あらゆる産業・業界と紐づいています。いわゆる”MaaS”の捉え方は様々ですが、私たちは人々のライフスタイルを変革するための手段と考えています。京急グループで言えば、「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」をビジョンとして、沿線におけるモビリティを軸としたデジタルサービスの展開によって、ユーザーのニーズをタイムリーに捉えた価値を提供し続けていくことを目指しています。移動自体を便利にしていくことのみならず、その目的となる多彩で豊かな顧客体験を生み続けていくことが重要です。

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成瀬:「モビリティ×ライフスタイル」のイノベーションを実現させるためには、業種や業態を超えてスタートアップ、大企業などによる共創を促し、新たな産業を生み出していくための新たな生態系、イノベーション・エコシステムが必要です。

それを生み出す仕掛けとしてAND ONというプロジェクトが立ち上がりました。

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AND ON SHINAGAWAで共創の接点を作る

ーAND ON SHINAGAWAにおける具体的な活動について教えてください。

橋本:スタートアップなどが利用できるワークスペースやイベントスペースを提供するほか、起業支援プログラムやスタートアップによるピッチイベント、モビリティ変革について学ぶワークショップ、大企業とスタートアップのマッチングイベントなどを定期的に開催しています。

イベントの様子はこちら:『AND ON SPECIAL Meetup!』

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ーなぜそのような活動をしているんですか?

橋本:AND ON SHINAGAWAは「エコシステム作り」の中で、さまざまな接点作るための「触媒」のような位置づけです。

スタートアップの会員や、”AND ONパートナー”として巻き込んでいる大企業や専門家を中心に、「モビリティ×ライフスタイル」のイノベーションに関心のあるプレーヤーの接点を作りコラボレーションを生み出すことが狙いです。リアルな場としても、オンラインでのコミュニティとしても機能しています。

また、品川・高輪口エリアは今後、大規模な再開発が計画されており、次世代交通ターミナル構想などスマートシティ化の動きがあります。エリアのポテンシャルとしても「モビリティ×ライフスタイル」は非常に相性が良く、新たな街づくりをリードできる活動にしていきたいと考えています。

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ー実際にコラボレーションが生まれた事例ありますか?

成瀬:はい、MaaSを基盤とした旅程作成・予約アプリ“Horai”の開発などを行う「scheme verge(スキームバージ)」というスタートアップは、AND ON SHINAGAWAのイベントで出会いました。

その後、AND ONの会員として加わってもらい、当社の運営するファンドからシード投資を受け、さらに「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM(京急アクセラレータープログラム)」の第3期の参加企業にも選定されました。プログラムでは、”Horai”を活用した三浦半島の観光活性化という形で京急グループと協業し、イノベーションの社会実装を進めています。

橋本:AND ON SHINAGAWAのコンセプトである「イノベーションを暮らしに繋げる」ことが上手く実現できている事例ではないかと思います。

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京急アクセラレータープログラムは、イノベーションの社会実装を進めるための”エンジン”

ーエコシステム作りの中で大きな存在感を放っている「京急アクセラレータープログラム」は、どのようなものですか?

橋本:本プログラムは、京急グループの「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」というビジョンを実現するため、京急グループの持つ経営基盤とスタートアップの製品・サービスを掛け合わせ事業共創を進める”オープンイノベーションプログラムで、3期目を迎えています。累計381社の応募があり、22社との事業共創を推進しています。このプログラムに関しても、サムライインキュベートをパートナーとして実施しています。

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ーこのプログラムはどんな役割を持っていますか?

橋本:イノベーション・エコシステムにおける出口部分、新しい製品やサービスの社会実装を進めるための”エンジン”ですね。プログラムという形を取ることで、京急グループの”現場力”をフル活用し、スタートアップの製品・サービスの社会実装を早期に実現しています。例えば第2期は、5社のスタートアップと1年以内に、ユーザーに利用頂く形での実証実験を実現しています。また、4件で正式なサービスリリースや導入に至るなど、社会実装の実現力は相当に高いプログラムだと思っています。

成瀬:大企業のオープンイノベーションを多数支援している立場から見て、京急アクセラレータープログラムは他のアクセラレータープログラムと比較しても、うまくいってる事例だと思います。

ー他のプログラムに比べて、京急アクセラレータープログラムがうまくいってるのは、なぜですか?

成瀬:協業にあたり、経営陣や新規事業企画室が主導するのではなく、現場の人が主導に動ける状況を作り、主体的に進められる協業体制作りに力を入れているのがポイントだと感じています。

協業を成果にするためには、京急電鉄のアセットを実際に持っている現場の人が自らやりたいと思って動ける状況を作り、スタートアップのアセットと掛け合わせる必要があります。これは当たり前のことではありますが、多くの大手企業が、現場の方々の深い巻き込みに苦労をしていると感じています。

また、巻き込むために「なぜやるのか?」というWhyにこだわっていて、そこで考えたこと・ビジョンが人を巻き込むトリガーになっています。丁寧にプログラムの最初の段階から巻き込んでいて、スタートアップのためだけのアクセラレーターにはなっていない。お互いの課題を解決し合う共創になっていて、そのおかげで、京急の事業部の方もが前のめりになって参加しています。

ー本気で未来を変えようと思っているからこそ、高い熱量だったり大きいビジョンを生まれるんですね。

橋本:そうですね、プログラムをやること自体がゴールではなく、その先には京急グループのビジネスモデルを変革したいという目的がありますし、何だったら気持ちとしてはもっとシンプルに本気で未来の暮らしを変えたくてトライしています。自分の中では京急もその中のいちプレーヤーくらいに俯瞰して見ていたりします。

ただ大きなビジョンを語るだけでは誰もついてこないので、現場が困っている課題をしっかりとヒアリングして、現状の課題を解決しながら、中長期的なビジョンの実現へと繋げていくということを意識しています。

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「モビリティ×ライフスタイル」を本気で変えていこうというコミュニティになってきている

ー過去2回のプログラムを振り返ってどうですか?

成瀬:未来の「モビリティ×ライフスタイル」を本気で変えていこうというコミュニティになってきているという手応えを感じています。これまで、オンデマンドシャトルを手掛ける「NearMe」やエアモビリティのプラットフォームを運営する「AirX」といったスタートアップが参画しています。

橋本:いわゆる”モビリティ”ど真ん中だけでなく移動にまつわる荷物の課題解決を目指す「ecbo」や、アウトドアアプリの「YAMAP」など、「移動のきっかけを生み出す」ものや「移動した先を豊かにする」ための取り組みを進めてきました。様々なアプローチで「モビリティ×ライフスタイル」を変革し得るスタートアップ同士が集まっているので、「京急:スタートアップ」という1:1の関係性だけではなく、スタートアップ間の連携も生まれつつあります。

多くの企業とプログラム後も継続して取り組みが進んでおり、また、過去の採択企業を進行中のプロジェクトに巻き込む動きがあるなど、「イノベーション・エコシステム」が機能してきていると感じています。

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ー3期目が現在、進行していると思いますが、こちらの手ごたえはどうでしょうか?

橋本:今期は先ほど紹介した「scheme verge」やビジネス版のMaaSを目指す「AIトラベル」など、過去最多の10社のスタートアップの皆さまと事業共創を進めています。また、今後、様々なモビリティとライフスタイルがデジタルで繋がっていくことになるので、都市空間自体のデジタル化を進めていく必要があります。そこで、今期は、警備ロボットやドローンを活用し、都市空間で行っている様々な既存事業のデジタルトランスフォーメーションにも積極的にチャレンジします。

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成瀬:ほかには、昨年と比べると明らかに事業部の反応が良くなっています。昨年では、スタートアップの協業に対して新規事業企画室側がニーズを深掘り、課題形成してマッチングする動きをする必要がありました。しかし今年は、自らこういうスタートアップと組みたい、こんな業務課題を解決したい、という要望を挙げていただける事業部の方々がすごく増えていて、組織の変化に非常に驚きました。

橋本:既に10部門以上との共創プロジェクトが立ち上がっています。過去最多の10社が参加することになったので、プログラムが始まったら「正直回らないのではないか?」と思っていたのですが、これまで以上に事業部側が積極的なプロジェクトが多く、順調に進んでいます。このように社内のマインドが変わっていくのは、うれしい反応です。他にも取材依頼をいただいたり、プログラムについての問い合わせが増えたりと、プログラム自体が世間から注目され始めました。

大切なのは「やってみること」

ーこうした事業共創を進めるにあたって、大切なことはなんでしょうか?

成瀬:とにかく「やってみること」ですね。議論したり、計画を練ったりするのも大切ですが、なにより「実際にやってみること」を重要視しています。精緻な計画をし、それに沿って行動しながらPDCAを回すと言うやり方は、過去に成功事例が既にあり、実績もデータもあって予想や管理ができることに対しては有効です。

一方、イノベーションはそもそも世の中に成功するやり方がないから革新なので、動いてみて初めて分かることが山ほどあります。計画ではなく意志(WILL)を決めることと実行しながら学習と改善を繰り返すことが最も効率的です。

あと取り扱うテーマやプログラムの形式に気を取られがちですが、なにより担当者の熱量も欠かせません。京急さんの事業共創は、橋本さんをはじめ運営側が熱量高くコミットできているのが、とてもいいポイントだと思います。

橋本:サムライさんの「できるできないではなく、やるかやらないか」というフレーズは、京急アクセラレータープログラム、そしてAND ON SHINAGAWAの活動で大切にしている部分ですね。活動自体を目的にせず、実際に”社会実装”までしっかりやり抜いていくことを目指しています。

withコロナ、afterコロナの「モビリティ×ライフスタイル」とは?

ーさて、新型コロナウイルスによってモビリティを取り巻く環境も様変わりしました。コロナによってモビリティ、そしてライフスタイルはどう変わっていくと思いますか?

橋本:これほど急激に人の移動が止まったということは過去の歴史においても初めてのことで、多くの産業にインパクトを与えています。図らずも「モビリティ」の重要性が再認識された形です。

いずれにしても、テクノロジーの進化によって移動の総量が減るということは予想されていたことですので、何かが大きく変わったというよりは、変革のスピードが早まったと捉えています。afterコロナに向かっては、移動自体の価値が相対的に高まっていくと考えています。

たとえば今までは移動といえば、通勤時の満員電車のように「仕方ないもの、苦しいもの」というイメージがあったかもしれませんが、テレワークによってこれらが解消されれば、これからは「行きたいところに行く」「会いたい人に会いに行く」といったように、移動すること=価値のあることに変換される可能性が高くなります。オンラインであらゆることが完結する時代になればなるほど、旅行やオフラインでの体験は相対的に価値が上がっていくでしょう。

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成瀬:コロナ以前よりも、デジタルとリアルの使い分けが進むと思います。
橋本さんが言ったように、リアルでの移動の価値が上がって、「なぜその場所に行くのか?」といった移動の目的も重要視されるでしょう。リアルな場が、より多様化やシェアが進むと、毎日オフィスなど同じところを行き来していた人が、日によって働く場所を変える様な、多様な移動が重なる形になる可能性もあります。そうなるとより柔軟でシームレスな交通網が求められるため、モーダルミックスのバランスとして鉄道の役割も変わっていくと考えられます。

橋本:行きたくなるような体験をいかに用意できるか。移動自体をもっとパーソナルなものに変えて、ユーザーのストレスをなくすかが、今後のモビリティにとって重要です。withコロナおいては、正しい情報提供や、混雑予測などのテクノロジーも注目を集めるでしょう。

ー最後に、afterコロナに向けて、AND ON SHINAGAWAの今後について教えてください

成瀬:コロナみたいな大きな変化が起こったときには、イノベーションも生まれます。コロナ中に起業した人もいるので、長い目で見れば今後のイノベーションが楽しみですね。これからこの領域へチャレンジする起業家も増えると思うので、AND ON SHINAGAWAとしてしっかりサポートしていきたいですね。

橋本:コロナは「モビリティ×ライフスタイル」のイノベーション創出にとって、大きな転換点になるでしょう。100年後に振り返ったときに、あの時にチャレンジしていて良かったと言われるよう、しっかり取り組みを継続していきます。これまで以上に大企業や行政も巻き込み、AND ON SHINAGAWAのイノベーション・エコシステムを一層盛り上げていきたいと思います。

最後に

AND ON SHINAGAWAでは、今後もオンラインを活用したイベントの開催など様々な取り組みを企画しています!

AND ONのエコシステムに関心のある方、スペースの利用を希望される方などは、こちらまで気軽にお問い合わせください!


AND ON SHINAGAWA
http://and-on.keikyu.co.jp/

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AND ON SHINAGAWA(アンドオン品川)は、京急電鉄が運営するオープンイノベーション拠点です。「イノベーションを暮らしにつなげ、未来の”当たり前”をつくる」というコンセプトのもと、新しいイノベーション・エコシステムの創出を目指しています。

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