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広島平和研修に参加して📝

広島平和研修概要
 ブラジル日本交流協会では、実際にブラジルに行く前の準備期間に「事前研修」を行なっています。第1回目は昨年2023年の11月に開催された「事前研修合宿」でした。そして今回、1月27日から28日にかけて、広島で1泊2日の研修が行われました。今回の研修の目的は、「広島において世界の平和について感じる、考えること」「ブラジルにおいて自分の言葉で平和を語れるようになること」でした。

1日目 平和記念公園にて集合写真

参加者
研修候補生3名(東京2名、京都1名)、OB OG計4名(茨城1名、広島から3名)、NGO ANT -Hiroshima さんから5名、その他参加者3名(広島)

*今回の研修にご協力いただいたANT-Hiroshimaさんは、平和都市・広島を活動の拠点とし、国際協力事業・国際平和事業・教育事業・講演等広報啓発事業などを行うNGOです。ANT-Hiroshimaさんホームページはこちら


広島平和研修スケジュール
1日目:13時集合 広島平和記念資料館見学→平和公園内案内→お好み焼き夕食会
2日目:広島散歩(被曝樹木に会いに行く)→被曝体験講話聴講→昼食→ANT理
    事のプレゼンテーションとワークショップ


1日目

◉ 集合 広島平和記念資料館見学(約2時間)
 
お昼過ぎ、広島平和記念資料館前に集合し、研修がスタートしました!館内はとても混んでいる印象でしたが、地元の方によると「今日は空いている方です」とのことでした。 リニューアルした資料館は、資料の数がかなり増えていました。研修候補生の中には広島に来たことがある方もいましたが、みんな2時間、時間いっぱいじっくり見学していました。

広島平和研修スタート!

◉ 平和公園案内
 
資料館を見学した後は、ANT -Hiroshima さんでインターンをしている大学生3名の方に平和公園を案内してもらいました。1時間半で15ヶ所のスポットを周りました!全てのスポットを、インターンの方々が自分の言葉で伝えようとしてくれている姿は印象的でした。

島内科医院
日本全国から出稼ぎに来ていた方々、勉強をしに来ていた方々も亡くなりました。
集合写真📸


◉ お好み焼き夕食会

夕食へ向かう道でのスナップ📸 すっかり仲を深めた様子の候補生たち。
おつかれさま。乾杯〜〜!!!頭をたくさん使った1日でしたね。

 1日目の最後は鉄板焼き屋さんで夕食でした。広島ならではの美味しいものを頬張りながら、楽しく交流しました。なぜANT-Hiroshimaでインターンをしているのか、なぜブラジルへ行きたいのか、、、切磋琢磨して、一緒に学び合う友達、仲間ができました。
 「ANT-Hiroshimaの方々の丁寧な説明や対話など、単に広島に訪れるだけではできない体験をさせていただきました。」「同年代の方々と交流することでたくさん刺激をもらいました。」というコメントがありました。

2日目

◉ 広島散歩(被曝樹木に会いに行く)

城下町広島を歩きます

 2日目、一番最初の活動は「被曝樹木に会いに行く」でした。ANT-Hiroshimaさんの事務所から広島城まで散歩し、お城の敷地内にある被曝樹木を訪れました。

 広島には、堀口さんという樹木医の方がいらっしゃいます。堀口さんは、160本もの被曝樹木を診ていて、一本一本の木にカルテを作成されています(一本の木につき10枚ものカルテがあるらしいです!!!)こうして、独自に木を、自然を守ってくれた方がいらっしゃったので、広島の被曝樹木は今も生きて、原爆の被害、歴史を語ってくれています。ANTの渡部さんは、「被爆樹木が私たち(人間に)被爆者は人間だけじゃない。と教えてくれる。」と仰いました。原爆による被害を受けたのは、被曝樹木だけではありません。原爆が落とされた夏は、蝉が鳴かない静かな静かな夏だったといいます。原爆は、生きとし生けるものに大きな傷をもたらしました。

曲がりくねって生えているユーカリの木
ブラジルには、紙を作るためにたくさんのユーカリの木が植えられているのですが、ユーカリはそもそも背が高く、真っ直ぐに生える木です。それが、広島では木が被曝してしまったことで、曲がってしまいました。それだけでなく、ユーカリ独特の木の皮が少なかったり、葉っぱの形も不規則でした。日本では、福島の原発事故があってから樹木の被曝に関する研究がされるようになったそうです。
ANT-Hiroshima渡部さんが、資料を見せながら説明してくれました。

◉ 被曝体験講話聴講 昼食

笠岡さん(92歳)が、被曝体験の講和をしてくださいました。
背筋がピン!
今もご自分で食事を作ってらっしゃる笠岡さんです。

 「次世代と描く 原爆の絵」プロジェクト。広島県内の高校生が、被爆者の方が証言活動を行う際に言葉では伝わらない場面や状況を、絵によって伝える活動です。 私たちは、広島の高校生たちが描いた絵をスライドで見ながら、笠岡さんのお話を聞きました。

 「『戦争は人の心を無くす』という言葉が印象的だった。」「一人ひとりに人生があり、大切な人がいる。そんな幸せな日常を奪ってしまうのが戦争だと感じた。」という感想がありました。 
 笠岡さんには私たちくらいの年齢のお孫さんがいらっしゃるそうで、私たちを孫のように思ってくれました。「ブラジルから帰ってきたらまた会いたいね」と、タクシーで帰られた笠岡さんを、見えなくなるまで、みんなで見送りました。

次世代と描く 原爆の絵プロジェクト詳細

 
◉ ANT理事長のプレゼンテーションとワークショップ

 たくさんたくさん、心の揺さぶられる二日間。最後のアクティビティは、ANT理事長の渡部朋子さんより、ANTの活動についてお話しいただきました。

「絵本なら世界のどこまででもいける」と、
『おりづるの旅』という絵本を何ヶ国語にも翻訳されていらっしゃいます。
ついこの間も、ラオス語に翻訳されたとのことでした。
誕生日を迎えた谷口さんをみんなでお祝いしました🥳 


最後に集合写真


以下アンケートに寄せられたコメントで終わらせていただきます。

 どうしても広い世界だけをみると、平和など諦めてしまいそうになることが多い日常だった。 しかし、ANTさんの活動にスポットを当てれば、沢山の人を笑顔にしていて、たくさんの人に平和を届けていた。全員をすぐに平和にすることは難しいかもしれないけれど、平和を広めることはできる。そう私にも強く思わせてくれた、アツイ講義ばかりだった。原爆を生み出すまでに人間の心を奪う戦争は、やはり絶対にすべきでない。そう確信が持てた。胸を張って言える。暴力で解決しないと、言葉では通じない人も現実には存在する。言葉よりも結局暴力の方が強いという部分も否定できない。でも、平和を諦めたくないと思えた。そして、私は、言葉をちゃんと使える、そんな人で溢れる社会にすることが平和への第一歩だと確信した。だからこそ、私はこの先教育の分野で自分のできることを模索したい。平和について、考えて、暴力ではなく言葉を選べる人間を増やすことができる教育を広めたいと思えた。何かを改善すれば戦争がなくなる、そんな単純な世界ではないけれど、将来の人々が未来に希望を持ち続けられる社会を維持すべきである。

 高校生、大学生になると平和学習の機会はほとんどなくなる。もう全くないと言っていい。そんな中で、自立した年齢になってからの平和学習には本当に意味があった。昔は、「悲しいから、戦争ダメ」くらいの認識しかできなかったことが、「何か私もできないかな」 という気持ちになる。その気持ちで話を聞くと考え方はどんどんと変わり、平和が少し身近なものになった。また、勉強もそれなりにしてきたからこそわかる知識も増えていたので、戦争について戦争の始まりからその後の社会までの全体像をしっかりと理解できた。

 広島での原爆の資料やその被害者一人一人、木々、建物それぞれを実際にみて、話を聞いて、心を大きく揺さぶられました。そして、原爆についてだけではなく、過去の過ちや災害を風化させずに、伝える大切さを強く実感しました。

 平和とは何かを今一度考え直さなくてはならないと思った。研修前は、どこか他人事のように書いていたのかもしれない平和について。今は、自国にも凄惨な出来事が起こっていたということ、またそのようなことを過去に日本も他国に行っていたということ。その現実をしっかりと見つめ直し自分の中で言語化し、人に伝えていくことが本当に大事だとANTの平和研修を通じて感じた。そして、微力でも行動していくことが平和に繋がっていくのではないかと感じた。

おわり

今回の記事は、ブラジル日本交流協会OGの尾曾菜穂子がお送りしました✨


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