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【7-1 (1)】内分泌系 解説

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【7-1 内分泌系】
 ■【7-1(0)】内分泌系 学習プリント
 ■【7-1(1)】内分泌系 解説(このページ)
 ■【7-1(2)】内分泌系 一問一答
 ■【7-1(3)】内分泌系 国試過去問 ①解剖
 ■【7-1(3)】内分泌系 国試過去問 ②生理

【8-1 神経系 - 神経系概論・脊髄】

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学習のポイント
1. 視床下部 - 下垂体系
下垂体は中頭蓋窩のトルコ鞍に存在。(視交叉の後ろ)
下垂体前葉(腺性下垂体)、下垂体後葉(神経性下垂体)
視床下部ホルモン→下垂体門脈→下垂体前葉(TSH、ACTH、LH・FSH、GH、PRL)
視床下部→軸索輸送→下垂体後葉(オキシトシン、バソプレッシン)

2. 松果体
第三脳室中央の後上壁(間脳の背側)に位置する神経組織からなる内分泌器官。メラトニンを分泌。

3. 甲状腺と上皮小体
甲状腺は甲状軟骨の前下面に位置する。
単層立方上皮でできた濾胞が集まって構成される。
濾胞上皮細胞(サイロキシン、トリヨードサイロニン) / 傍濾胞細胞(カルシトニン)
上皮小体は甲状腺の背面に4つ存在。パラソルモンを分泌。

4. 副腎
腎上部に位置し、皮質と髄質にわかれる。
副腎皮質(球状帯:アルドステロン、束状帯:コルチゾール、網状帯:副腎アンドロゲン)
副腎髄質(アドレナリン、ノルアドレナリン)

5. 膵臓
膵島は膵尾に多い。α細胞:グルカゴン、β細胞:インスリン

▶ 内分泌器官の全体像

内分泌器官には下垂体や松果体、甲状腺と上皮小体、副腎髄質、副腎皮質、膵臓、精巣、卵巣があります。

発生的には神経組織由来、上皮組織由来、間葉組織由来がありますが、「神経組織由来」を覚えておけば大丈夫です。(国家試験的に)

神経組織由来の内分泌器官は
・下垂体後葉
(視床下部の神経細胞の軸索が延びてきたもの)
・松果体(間脳の一部)
・副腎髄質(交感神経と発生が同一)
です

▶ 外分泌腺と内分泌腺

【外分泌腺】

導管を通じて分泌物を体表面あるいは管腔内に出します。

【内分泌腺】
導管がなく
、分泌物 (ホルモン) を毛細血管に出します
ホルモンとは、血液循環を介して標的細胞の受容体に達し、微量で特異的な効果を及ぼす物質をいいます。

※ ホルモンには消化管ホルモンなどもありますが、ここでは内分泌器官として下垂体、松果体、甲状腺と上皮小体、副腎、膵臓について学びます

※ 内分泌腺の腺細胞は一般に上皮に由来します(上皮性)が、副腎皮質、精巣、卵巣などは結合組織に由来します(間葉性)。また、松果体や下垂体後葉、副腎髄質は神経性由来の内分泌です。

▶ ホルモンの分類

・ホルモンは化学構造の違いにより、ステロイドホルモンアミン類ペプチドホルモンの3種類に分けられます。

脂溶性のホルモンは細胞膜を透過して細胞内にある受容体と結合し作用します。効果発現がゆっくりで持続的。
(細胞膜は脂質二重層…油でできているから、脂溶性物質は通過できる)

水溶性のホルモン細胞膜上の受容体に結合し、セカンドメッセンジャーを介して効果を発現します。効果発現が比較的速いのが特徴。

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福神漬け工場アミン式
その他大勢、ペプチドホルモン

■ 1. 下垂体(視床下部 - 下垂体系)

▶ 下垂体の位置

・下垂体は中頭蓋窩、蝶形骨のトルコ鞍下垂体窩に収まっています。
※ トルコ鞍は蝶形骨洞の斜め上に位置しています。 下垂体腺腫などで手術が必要な場合、下垂体には鼻腔と蝶形骨洞経由でアクセスします。(経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術)

・下垂体のすぐ前方に視交叉(視神経交叉)があります。
※ 視神経交叉は網膜の鼻側半(視野では耳側半)の線維が交叉します。下垂体腺腫にゆり視交叉が圧迫を受けることで、両耳側半盲が生じます。

▶ 視床下部と下垂体

・視床下部と下垂体は位置的に隣接しているだけでなく、機能的にも密接な関係にあるので、視床下部下垂体系とよばれます。

▶ 下垂体前葉

下垂体前葉ホルモンは前葉の腺細胞が産生・分泌します。

下垂体前葉は腺細胞の集まりでできているので、「腺性下垂体」

<下垂体前葉ホルモンの分泌過程>
① 視床下部の隆起核にて視床下部ホルモンがつくられる
② 視床下部ホルモンが軸索輸送により運ばれ、下垂体の付け根(下垂体柄)の一次毛細血管網に放出される
③ 視床下部ホルモンが下垂体門脈を通って下垂体前葉に運ばれる
④ 下垂体前葉の腺細胞が対応するホルモンを分泌

▶ 成長ホルモン(GH)

 成長ホルモン(以下GH)は、発育期の成長を促進させ(発育促進)、代謝に働き変え成長に適した身体環境を整えます。GHは主に肝臓から分泌されるIGF-1(インスリン様成長因子1)の分泌を促し、GHとIGF-1は協働して成長促進に働きます。

<GHの作用>
 ① 骨端での軟骨形成促進:IGF-1との相互作用により骨成長を促進
 ② タンパク質合成の促進:成長を促し、組織を修復させる
 ③ 血糖値の上昇:肝臓でのグリコーゲン分解を促進させる
 ④ 脂肪酸の遊離:中性脂肪を分解し、血中の遊離脂肪酸を増加させる

※GHの分泌は小児期〜思春期がピークで、それ以降は年齢とともに下降しますが、成人になってからも、皮膚や骨、筋を強く保ち、組織修復を促し、代謝を調整する大切な働きを担っています。
※ GHは抗インスリン作用があります。よって成長ホルモンの分泌過剰(巨人症、末端肥大症)では糖尿病を併発する例が多くなります。

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