2024年に遊んだゲームの感想まとめ・上半期編: 1/2

増えた。遊んだゲームの数が増えてきたので、上半期と下半期で分けたほうが良さそうだということで分けてみた。あと年末にまとめると、年の頭にやったようなゲームの記憶がやや抜けたりするので、小分けにした。

ゲームのラインナップは概ね遊んだ順になっています。つまり先頭が1月、最後が今月。シリーズものの場合は順不同になったりもするけど、そもそもそんなに厳密ではなかったりする。

Steamのストアページなども一応入れて「買え」の圧を出してはいるものの、Steam以外にも出ていたりするので、プラットフォームを確認したい人は個別で確認してもらえると良さそう。(まあ聞かれたら答えられますが、調べたほうが早いと思います)というか公式サイト貼った方がいいのか?
一応自分が遊んだプラットフォームを明示する意味合いも兼ねている……つもり。

あとネタバレすることもあるので、読む際には注意してもらえれば。


1. Sea of Stars

言うまでもない良作。ドット絵がきれいなゲームはやはり気持ちがいい。しかもドット絵はそれ単体の一枚絵としても美しく、加えてそのアニメーションの作り込みが非凡と言わざるを得ない。

そして古典JRPGをなぞるシステム。料理や釣りは言うまでもない。途中から世界マップを自由に移動できるようになる、いわゆる飛空艇システムとかも古典的JRPGの趣があってよい。

ストーリーも勧善懲悪ベースのドストレートなシナリオというのも、気持ちいポイントな気がする。エンディングについては、後顧の憂いなくすべてが解決するというものではないのでちょっと気になるところがあるかもしれないが、希望のあるエンディングで、しっかりまとまっているのも好印象。
BGMはやはり通常戦闘曲が一番好き。

2. Cassette Beasts

ポケモンフォロワーでかなり良く出来てるRPG。めちゃくちゃ色々存在するタイプ相性など、独自のシステムが組みあがってる。しかもそうしたシステムの名前だったり仕組みだったりが、ちゃんと作品で用いられている概念に沿っていて、いうところで「世界観に合っている」と思う。
まあちょっとしたこまごま操作しにくいところとかなんかが気にならんわけでもないけど、総じていいゲームです。

3. HUMANITY

犬が人間を使役する(導く)パズルゲーム。

犬が吠えた場所で人間がターンしたりジャンプしたりふわふわになったりする。 人がゴミのように落ちていく姿も、決まった順路に沿って動くのも見ていてシュール。BGMが落ち着く雰囲気に出来あがっていたり、UIがフラットデザイン風にまとまっているのもあり、全体的におしゃれな感じ。眺めていて楽しい感じのゲームでもある。

ゲーム中で人間をあちこち動かしていると、たまにどこかでスタックした奴がいるのか、団体行動から外れた行動をするのがいたり、謎挙動に阻まれるような面倒くささがあった。でもまぁ人間ってそんなもんか(?)
ところでパズルというよりはパズルアクションの心持ちでいるほうが、誤解がなくてよいと思います。

4. Sky

Sky[]であり、Sky-Rainであり、Sky[Rain]であるゲーム。いわゆるギャル……ゲー……?ビジュアルノベルです。

こういうインディーのギャルゲーには作者の思想ががっつりのっている。そうした思想や熱を感じられるのがいいところ。まあアクションだとかにもちゃんと思想は乗るけど、抜き身の思想はやはりこうしたノベルゲー形式のものがよく浴びれるんじゃなかろうか。

ビジュアルに不釣り合いな衒学的な言い回しも、もの悲しさと喜びが同居した不思議な雰囲気も、めったに味わうことはできないと思うので、 なかなか貴重な作品だとは思う。

5. レスレリアーナのアトリエ 〜忘れられた錬金術と極夜の解放者〜

仕方がないこととはいえ、ソシャゲとアトリエの採集・調合システムは相性が悪いよなぁと思う。ひたすら採集・調合をしようというのにスタミナ制はあまり合わなそう。あとこれは個人的な理由で、そうしたゲームは自分の中で長続きしない傾向がある。

アトリエお祭りゲーではあるので、まあキャラゲーの側面をもっているのだが、その観点でみるとかなり頑張っている気がする(アトリエキャラお祭りの経営ゲームもあった気がしたけど)。ストーリーも悪くない。
まあガチャのお行儀のよくなさとかでいろいろ言われたりもあったけど、僕はそもそもガチャゲーというのが、あまりお行儀が良くないだろう思っているので、お行儀の悪い中でさらにお行儀の悪い行為を決めるような話に、ことさら何かを感じるようなことはない。それにどうやら今は改善されているようです(ようです、というのは自分が課金していないため)。

というか、「レスナのアトリエ」じゃないんですね。

6. Crystar

泣くことに意味を与えるアクションRPG。試みは面白い。

正直なところ、アクションの部分は序盤で出来上がり切ってしまう。システムとしては、スキルのレベル解放などもあるが、それによって戦い方にバリエーションができるわけではない。プレイフィールが向上していくわけでも、プレイスタイルが変わっていくわけでもない。アクション面もスタイリッシュであるかというと怪しく、かといってシビアなパリィ・回避のゲームかというとそうではない。必要最低限。

つまりアクションゲームとしては最初のステージからの拡張が見られず、フィールドを駆け回って敵を倒すという流れが続くのみ。とはいえ、泣くこと、涙を中心にしたシステム作りは結構頑張ってる感があり、 残酷な運命や理不尽に立ち向かう女の子が好きな人には、ストーリーは刺さるのではないかと思う。物語の作り方や展開は好きな方なので、「このゲームはよくなかったな……」ではなく、「このゲームは惜しかったな……」という感想が出てしまう。

ちなみに起動のたびに言語とかアンチエイリアスとか解像度とか聞いてくるのは、正直面倒なのでやめてほしい(セーブデータごとに音声設定を適用させるな委員会)

7. UNDER NIGHT IN-BIRTH II Sys:Celes

正統派近代小説感覚2D対戦(ピュアラノベナイズ2Dヴァーサスアクション)「UNDER NIGHT IN-BIRTH」シリーズの最新作。

『夜の理<シスタ・セレス>』、その綻び。
世界崩壊<イモータライズ>の危機。
終焉<さだめ>は『禍つ赤銅の夜下』に――。

何て?

ルビの癖がさ

まあ中身はちゃんとした格ゲーです。いわゆるコンボゲー?
結構みんながすごいリーチの技とかすごいフレームの技を持っていると思うので、ハチャメチャできそうでもあり、そもそも操作が忙しかったりと独特のプレイ感がある。スピード感的にはGGSTよりは遅めで、SF6よりは早い感じかなとは思う。コンボゲーは忙しい。

8. 鉄拳8

格ゲーです。だけどよくやっていた2D格ゲーとは違い、こちらは3D。奥行きのある格ゲー。自分はあまりやった記憶はないが、小さいころに激闘忍者大戦をやった記憶はある。

軸をずらすという操作にも慣れは要るものの、鉄拳に関しては技の入力が割と大事になりそうな気がする。入力猶予が短いというか、技を当ててキャンセルをするのではなく、「この技をちゃんと打ちますよ」と前もって決めるイメージ。左パンチ右パンチという技が打ちたいときに、左パンチだけまず打っておくことができない、みたいな感じ。説明が難しい!

強いて言うなら、昇龍コマンドは“基本的に”あまり使わず、なんらかの方向入力or2、3回入力(→→とか)なので、わかりやすいといえばわかりやすい。

基本じゃない人。

あとびっくりするくらいビジュアルが良く、その上カスタマイズ性が高い。100GBの容量を取るだけあり、キャラの見た目はマジでいい。ちなみに鉄拳勢の人はめちゃくちゃなカスタマイズをすることが多いらしい。

キル・ビルのゴーゴー夕張のつもり。
OLっぽい2B。
LoLのセト。……セト?

9. アナザーコード リコレクション:2つの記憶 / 記憶の扉

その昔DSで出た推理アドベンチャー……のリメイク。DSで推理というと『レイトン教授』とか『ウィッシュルーム』とかあったけど、それらよりはストーリーテリングの方に舵を切った作品といえるか。いやレイトンもウィッシュルームもいいストーリーなんですけど。

基本的にはアシュレイ・ミズキ・ロビンスと親の話をメインとして進行するお話。「触れる推理小説」との触れ込みよろしく、キャラの掘り下げが充実しているのもよかったポイント。細かいことを言ってしまえばそれほど推理は難しくはないのだが、推理アドベンチャーとしては十分かなとは思った。

10. ファミレスを享受せよ

めちゃくちゃいいゲーム。何も言うまい。
深夜にやりたいゲームを探している人にはオススメ。
ただ短めのゲームとはいえファミレスでやるのはオススメしないので、家でやりましょう。

11. GRANBLUE FANTASY: Relink

グラブルのアクションRPG。本編とは全く……じゃない気はするけど、別に履修していなくても楽しめるので、楽しみ得。テイルズだと思って買ったらモンハンでした。当然ストーリーはしっかりしてるし、結局星の民が全部悪いんだけど、それはそれとして。

あとはキャラのグラフィックはいいですね。流石にグラブルの名を冠するだけあって、生半可なビジュアルでは出してこないだろうとは思っていたけど、出来の良さはピカイチ。

ついでにアクションはキビキビ動かせるので、操作面でのストレスもあまり感じにくいか?一応初期の全キャラは一通り触ったものの、鈍重なキャラはいなかった気がする。アップデートで環境も変わったりするので、今やる人は気にしたほうが良さそう。ちなみにモンハンよろしく護石厳選的なエンドコンテンツも完備。僕は……遠慮しておきます。

まあ言ってしまえば各アクションRPGの良いところ取り、悪く言えばつぎはぎではあるので、「グラブル」という要素にどこまでプレイの動機を持たせられるかが大きな比重を占めていそう。

12. The Cosmic Wheel Sisterhood

占いゲーム。といっても単に占ってはい、終わりというわけではない。本作では占いにタロットカードを用いるのだが、主人公は本編開始時点でそれを取り上げられてしまっている。ならどうするか?
我々はアマゾンの奥地……ではなく、宇宙の片隅へと向かった。

作ります。
そう、このゲームでは占いに使うタロットを作るし、それぞれにどういった意味を持たせるか、というのもあらかじめ方向性を定めることができる。
そして、そのカードは運命を文字通り動かすことができる。

運命というのは不可逆で、「選択肢のやり直し」はできない。主人公フォルトゥーナの流刑に端を発した、魔女のコミュニティを巡った事件はどんどん規模が大きくなっていく。その中でおこなわれる決断。そして魔女の連帯。

政治的な話題がゲームの中のトピックとして取り上げられることもあり、本編中は込み入った話が多い。魔女の連帯の話もされるので、フェミニズム的な話もちらほら存在している。とはいえどもこれは政治の書物でも説教でもないので、明確な制作者側からの答えが提示されるわけではないし、コミカルに描かれている部分も当然存在している。
そういう意味では、多分にセンシティブなテーマを扱っているにも関わらず説教くさくならないのはやはり嬉しい。ゲームしてるのに説教されても嬉しくないしね。

どうやら近年では「魔女」という存在について、シスターフッド的側面、フェミニズム的な観点から見直しがされているようで、このゲームもそういった思想の反映が少なからずされているものだと思われる。ただまあ先ほど書いたように、これは政治的な意見を決めさせる作品でも、善悪を決める作品でもなく、ただ己の考えに沿って運命を決めるというゲーム。肩ひじ張らずにプレイするのが良いと思う。というか自分もこれを書くまでそんなことが起きてるなんて知らなかった。

「運命を左右するのは自分」という自覚を持てるのもいいし、実際に何がどのように作用するのか、プレイ中は知る由もない。でもそれがいい。結局決断なんてまわりまわって予想だにしないところで影響を及ぼしたりするし、実際にアドベンチャーゲームでそういった「己が選び取った」と自負してストーリーを進められるのは面白い。
(まあ言ってしまえばこれもプログラムの掌の上ではあるのだが)

あととにかくテキストの翻訳が丁寧。踏み込んで語られる話が、母国語のニュアンスでもはっきりと紡がれているのはありがたいこと。アドベンチャーゲームが好きならやるべき価値あり。

13. 限界OL海へ行く

仕事中に限界を迎えたことはありますか?自分は多分まだない。
どうやら限界OLは限界を迎え、昼休みに突然海浜公園・お台場の方面に向かってしまう。午後休取らなきゃ……

限界OLはまともなコミュニケーションを取ることが難しいくらいに限界。そんな人を中心に話が進む。だから積極的な会話もあるわけではなく、OLのセリフにも独白が多い。

とはいえ本編は重苦しいような雰囲気で進むわけではなく、全体的に落ち着いており、言葉少なに進められるコミュニケーションは、シュールな雰囲気すらある。

程よく力の抜けた絵柄。程よく力の抜けるBGM。力の抜けまくりな会話。
でも現実での会話ってそんなものなのかもしれない。難しい単語も無く、難しい言い回しも無く、入り組んだ事情も特に……まあ昼休みに仕事を抜け出すのは……この際スルーで。とにかくまっすぐな言葉が、まっすぐに交わされる。単純で一本道ながらも、ちょっと優しくなるようなそんな話。
ユーザーレビューには本作で実際にOLが歩いたルートが出ているようなので、それを参考に散歩してみてもいいかも。

なおこのゲームがリリースされたのは今年の1月末。すでにゲーム内で登場した光景の中には、もう見られない景色も存在している。それほどに湾岸の開発は早く、だからこそこの物語にも刹那的な趣があるのかもしれない。

14. FINAL FANTASY XVI

まあ普通です。普通のアクションRPGです。暗いけど。
必要な機能はちゃんと入ってるし、グラフィックも当然いいし。
ただできているところはちゃんとしているが故に、どうしても世界設定の作り込みの甘さだったり、アクションの惜しさというのが目立つ。
FFだからというのもあるんでしょうな。
大作シリーズというのはいつも進化を求められるし、高いクオリティを要求される。その難しさはあるんだろうなぁ。

悪いか悪くないかで言えといわれたら、「まぁ、悪くはないんじゃない?」と確実に言うとは思う。でも「お勧めのアクションRPGってなんかある?」と言われたときには、このタイトルが出てくることは無い。それくらいの感じ。

15. Tales of Vesperia: Definitive Edition

その昔Xbox 360で出たテイルズシリーズの完全版。ボリュームがえぐい。そしてテイルズシリーズの中では比較的ギスギスしていない……らしい。

ブラスティアと呼ばれる旧時代の遺産を使って暮らしていたこの世界。しかし案の定濫用がおこなわれ危機に陥っていた。主人公のユーリは帝都の下町で暮らしていたが、ひょんなことから少女エステリーゼと出会う。そして彼女の使命、ユーリの目的を果たすために旅を続ける中で、仲間と出会い、そして世界の真実を知る……
みたいな話。

キャラクターが立っているというのも当然魅力で、なかでも主人公のユーリと、その幼馴染フレンの関係が良い。互いに目指す正義は同じなものの、その手法と思想は大いに異なる。それが生み出すすれ違いや衝突。そうした絶妙な距離感、各々の信条などが中心になって繰り広げられる物語は深みがあって面白い。

当然ユーリとフレン以外にもそうした掘り下げはある。ラピード、エステル、カロル、リタ……各々のキャラクターの背景がしっかりと描かれていて満足。それでいて本筋もしっかり描き切っているので、好印象。

気になったのは戦闘のやりづらさ。コントローラーを使ってはいたものの、最後まで操作になれなかった。3Dアクション的な戦闘スタイルではあるが、鉄拳とかみたいに「軸」を中心にして動く。だから移動は左右入力だし、ジャンプは上入力だし、3Dの戦闘フィールドを動こうとすると追加でキー入力をしつつ動くことになる。
これがどうしていわゆる3DアクションRPGの戦闘方式が採用されなかったというのは知る由もない。当時はどういう評価だったんだろう。
まあ昔のゲームだし、ちょっとした古臭さは仕方ない。グラフィックも気にする人はいるかも?それを差し引いても面白いので、ぜひ遊んでほしい。

ちなみに遊び終わってから知ったのですが、本作って結構完全版がどうこうって揉めてたんですね。やっぱり良くねえよ完全版って。

16. A Little to the Left

言語依存度ほぼ0のパズルゲーム。お片づけというか、隠された法則に従って並び替えたり、整頓したりするのが目的。

それはそれとしてパスタはもっといい片づけ方があると思います。

なんとなく自分ルールで片づけたり、なんともない物品に勝手に共通点を見いだしてみたり。そんな各々のお片づけを楽しんでみるのはどうでしょうか。たまにネコに邪魔されたりもするけど。

17. ユニコーンオーバーロード

SRPG、面白すぎるだろ……
戦闘はリアルタイム。マスとかも特になく、自由に移動ができる。
そして何よりの特徴は、最大6人まで編成することのできる部隊の存在。ユニットとして一人一部隊になるわけではないので、弱点を補いあう部隊組みをおこなうこともできれば、強みをめちゃくちゃ伸ばす構成にもできる。

自由が利く反面、難易度は比較的簡単目なこともあるので、物足りなくなったら即Expertに変えてもいいと思う。FEと違ってユニットロストも特にないし。(とかいいつつ、イベントを逃したり選択肢によっては普通に仲間にならない分岐もあるけど)

あと料理がおいしそう。腹が減っては戦はできない。

18. Balatro

ポーカーとはいうものの、いうほどポーカーっぽくない。手札や倍率をビビるほど操作しまくって、ビビるほどスコアを出そう。

相手がいないというのは面白い。戦いは常に自分がいかにスコアが出せるかだし、数々の縛りも設けられたりするなどして、毎度プレイ感が変わる。
アドレナリン爆盛り!というゲームじゃないけど、ずっとなんとなく面白い時間が続いていて、気づいたら時間が溶けているタイプのゲーム。
BGMも落ち着いているので、気づいたらN時間経っていたということもありうる。自分はそうなった。大事な予定がある前にはやらない方がいい。

デッキの種類がたくさんあるのもいい。縛りの内容や、そもそもデッキの内訳がめちゃくちゃ変わったり。さらに倍率などに大きく変動を与えるジョーカーの種類がびっくりするくらいあるので、同じデッキでも毎回戦略が違う。次はどうしよっかなー、と考える楽しみがある。

ローグライクとかローグライト的なゲームだが、安易にそういった言葉を使うと「いやパーマデスだ」やら「デッキ構築ゲームであってローグライクじゃない」とかいう警察が湧いたりするので、デッキ構築ローグライクと呼ぶことにします(着火)

19. 未解決事件は終わらせないといけないから

過去に起きたあるひとつの失踪事件について、複数の証言をたどる推理アドベンチャーゲーム。しかし過去の話、本当にその人物が発言したのか、発言がどういう時系列なのかはよく覚えていない。それぞれの記憶を手掛かりにしつつ、「本来の時系列」「本来の発言者」を探して証言を並び替えていくことで、「犀華(せいか)ちゃん行方不明事件」の真相に迫ることとなる。

こうした時系列入れ替え系のアドベンチャーは『WILL: A Wonderful World』などが挙げられるだろう。本作もそうした類似作品と同様に、印象深いストーリーが特徴。次第に明かされていく真実、事件の中身を知りたい期待と、犀華ちゃんの行方が気になる不安。モノトーンでシンプルなUIの中でプレイヤーが懸命に繋げていく話。その顛末は、最後までプレイヤーの心をとらえて離さない。

翻訳が高品質なことにも触れておきたい。人が嘘をつくとき、かばうとき、悩んだ時のその機微を、絶妙に落とし込んで、日本語化する。生半可なクオリティではかえって作品の良さすら削ぎ落としかねないのだが、本作ではしっかりと、ニュアンスの細部に至るまで緻密に作り上げられている。海外名作インディーゲームが近年多く注目される中、こういった仕事をしてくれる人には頭が上がらない。もっと英語ができればな……

優しいADVです。ぜひプレイして欲しい。

20. 幸運の大家様

出た!ローグライクデッキ構築ゲームだ!
スロットを回して家賃を稼ぐゲーム。
家賃を稼ぐためには鳥や炭鉱夫や矢などを使う必要がある。何て?

ローグライクデッキ構築は無心でやり始めると危ない。なぜなら時間が溶けるから。本作は最初から無心でできてしまう。つまりいつでも時間が溶ける危険性があるということ。

スロットに何を入れるかは結構運頼みだし、恒久アップグレードも特にないので、狙ったシナジーは作りにくい。ただプレイ感は軽いので、試行を稼ぐのも面白いんじゃなかろうか。あと偶然狙ったシナジーが獲れると面白い。
ってやっているといつの間にか予定が近づいていたりするので、時間があるときにやりましょう。

雑感

インディーゲームをいくつかやっていて思うのは、やはり丁寧なローカライズがあるとなしとではプレイフィールが大幅に変わるなというところ。
何を当たり前な、と思うかもしれないが、日本語とかいう面倒くさい、しかも極東の一民族しか使っていないような言語に対応するというのは、そう簡単なことではない。しかもそれが高品質である作品はよほど恵まれていないと出会えない。

今でこそ機械翻訳でなんとかなるし、実際そうしている作品も多い。ただそれでは制作者が真に伝えたいことは伝わりにくい。
そもそも言い回しというのはその国特有の文化や価値観によって形成されることもあるから、本当の意味で「ローカライズ」をするのは途方もない労力を支払うことにはなりそうだけど……
それに物語面だけではなく、文章の長さなど、UIに関わる部分も大事だ。確かにそれはゲームの本質ではないにせよ、「より心に残るか」という部分で、重要なファクターを担っているのではなかろうか。
そういう意味では、「よいローカライズ」にたくさん出会えたなとは思っている。

一番いいのは、自分が英語に強くなることなんだけど……
英語の勉強はしておいた方がいいと思いました。学生時代に学ぶべきは、立式のコツでも作者の気持ちを答えることでも長距離走のペース配分でもなく、英語です。英語ができれば、まあ何とかなる。
海外デベロッパーの作品を遊ばない?……なら、そのほかの教科を頑張ればいいと思います。

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