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【プレイ感想】ユニコーンオーバーロード

シミュレーションRPGとは、立案と実行を繰り返す作業。
そしてその作業に魅力が詰まっている。

五つの国家からなるフェブリス大陸の中心にあるコルニア王国。王国はヴァルモアの反乱により陥落し、やがて大陸全土を覆いつくす。亡国コルニアの王子アレインは雌伏の時を経て、ついに解放軍を率いることとなる。
みたいな話。

ありきたりだが、それでいい

本作はストーリーもしっかり描かれており、キャラごとのエピソードも十分に用意されているものの、それが中心で展開されているタイトルではない印象。よく言えば王道、悪く言えばありきたりなストーリーという形容であながち間違いない……はず。

誰が何と言おうと王道。

ただこれは、どこからでも自由に攻略できるシステムを採用した裏返しかなと思う。戦争とは歴史であり、歴史は枝葉の生えた一本の大木のようなもので、結局ひとつの時系列に沿った話。そこでオープンワールド的に攻略できる仕組みを取ってしまえば、一本道の組み立ては難しそう。これは、戦闘がわかりやすく作られていたタワーディフェンスで、その代わりストーリーががっつり重厚だった『十三機兵防衛圏』とは対照的かもしれない。

個人的には時系列に沿った物語を見てみたくもあったが、おそらくそうすると、兵種やキャラのバリエーションが限られた状態で話が進んでしまう気がする。『FE風花雪月』なんかは一本道ではあるが、あれはほぼすべてのユニット(キャラ)が序盤でいっぺんに提示されている。そう考えると『HoI』とか『Civ』みたいなRTS的趣がありそう。戦闘もリアルタイム進行だし。

戦いは始まる前に終わっている

CPUフル回転

本作の戦闘は、始まる前に終わっている。
各キャラ(兵種ごと)にはそれぞれアクティブスキルとパッシブスキルがあり、それぞれに優先順位と発動条件などを決めることができる。もちろん決めなくても運用可能だが、兵種の特性を活かし効率的に勝つには、ここを突き詰めていく必要がある。

詳細な条件決めによって作られるスキル発動のタイムライン。仮想敵にあわせて戦略を練る。勝利のためには泣く泣くネームドキャラを外し、傭兵を雇って回復役を間に合わせることもある。そうした事前準備が本作の根幹だ。

止まらない。オープンワールドRPGのキャラメイクより時間がかかる。でもそれがとてつもなく気持ちいい。

SRPG特有とも言える、中盤以降はだんだん簡単になってしまう(=序盤が一番きつい)という問題は残念ながら抱えてはいるかも。でも行動回数が増えるにつれ、結局相手も行動回数が増えていくし、シナジーとか、スキルをなんとか使わせたい欲とかが動機になってるので、そこは楽しい部分。パズルを組むパーツが増えるとか、レゴの個数が増えて表現幅が広がる、みたいな気分。

アイテムやスキルを活かしたイカサマ(ex: 高機動ユニットを送り込んで、後から高火力ユニットをワープさせて蹂躙)などの抜け道を開拓するのも楽しい。ごり押しが効きやすいとも言う。

不満をあえて挙げるなら、戦闘終了/スキップ後も戦闘ログが見れればよかった、という点か。一度見損ねると確認手段がない(はず)ので、トライ&エラーの観点からは若干めんどい。いやちゃんと見とけと言う話でもあるんですが。まぁ本当に確認したかったら録画もできるけど……

恐ろしいゲーム

ややごり押しが効いてしまうところ、トライ&エラーこそが醍醐味のところを、戦闘ログがちょっと振り返りにくいところが難点という部分は確かにある。ほかにも自由にストーリーを進められる反面、それぞれの演出があっさり気味なところがもう一押し欲しかったところ。

しかし『ユニコーンオーバーロード』は恐ろしいほどよくできている。超王道の勧善懲悪と解放の物語。あまたのプレイアブルキャラによって織りなされる、種族や国家を超えたやりとり。そして戦闘システムの面白さは言うまでもない。

立案と実行を繰り返す、究極的には作業となるゲームジャンル。だがそれをついやってしまう魔力があるのも、このジャンルの魅力。やらずに済ませてしまうにはあまりにもったいない。

グラフィックもまた魅力。

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