あの日、東京で生きることを決めた

「書く仕事をしたいなんて、夢のまた夢」
そう思っていた。
2年前、進路に迷っていた自分に伝えてあげたい。わたしは東京で、自分のしたい仕事ができているよ、と。

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わたしの就活は、結局のところ成功だったのか失敗だったのかわからない。
妥協をしたと言われたらそうだし、やりたいことにたどり着いたと言われたらそう思えてもくる(ひどく回り道はしたけれど)。

「英語と国語が好きだから」という理由で文系学科に進学したけれど、目標もあまりないまま大学3年生になっていた。そんなわたしにも、就活が始まるころ、ようやくライターという夢ができた。

でも、どうしても飛び込む勇気がなかったのだ。狭き門だということはわかっていたし、地方学生に対して拓けた道があるとも思わなかったから。

地元に帰って安定した職について、趣味で書くことも頭によぎった。選択肢として、大いにありだと思っていた。

こうやってつらつらと書いているけれど、結局わたしは怖かったのだ。何にって、挑戦してダメになることに。
だから、もっともらしい言い訳を並べることに一生懸命になっていた。夢を諦める口実を見つけたがっていたのかもしれない。

でも、いざ目の前にライターになれるチャンスが巡ってきたとき、「趣味で終わらせたくない、このチャンスを掴みたい」と感じた。

そうしてチャンスを掴んだわたしは、東京に住むことを決めた。
そこで出会ったのが、麺子だ。

結局、出会った場所からはふたりとも離れることになったけれど、わたしたちを引き合わせてくれたあの場所に感謝している。
苦しいこともたくさんあったけれど(それも今は糧になっているだろう)、あの場所がなかったら、こうやっていま麺子と「ひとつのものを作る楽しみ」を知れなかったから。

最初はライター同士で出会った麺子とわたし。
麺子は編集者の道へ進み、わたしはライターでいることを選んだ。

お互いの良さを認め合い、足りない部分を補い合えるような相手はなかなかいない。社会に出てから、本音を言い合える人に出会えるとは思わなかった。
だって、仕事というものは本音を隠して、利益のためだけにひたむきにがんばるものだと思っていたから。

1年半経って、そうじゃないんだって気づけた。

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なんだか、麺子へのラブレターみたいになってしまったけれど。

わたしの就活が正解だったかはわからない。でも、東京での生活を選んだことは、正解だったと思いたい。
いや、そうじゃない。これから正解にしていくんだ、この手で。

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