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まるでフィクションのような出来事

「誰かにストーカーされているの」

そう言って彼女は怯えた目をこちらに向けた。

カフェで仕事をしていたわたしは突然のことに戸惑い、どうして良いかわからずにお店の人に相談した。

店員さんと2人、拙い英語で状況を理解しようとするも、パニックに陥っている彼女との意思疎通は思ったよりも難しい。

「アメリカに連絡する手段が欲しい。」

そういう彼女に、わたしのアドレスを貸した。

“助けて。できる限り早く返事をちょうだい!”彼女はそう相手に送ったものの、返事は来ず。

さらに「これから待ち合わせている友人が英語が流暢だから、きっとあなたのことを理解できるはず」と伝えたら、さらに混乱させてしまったようだ。

彼女が置かれている状況がどれほどのものかわからない。おおごとにして良いのかもわからない。不幸にも、カフェの店舗責任者もいない。警察を呼ぶべきなのか…?

そうこうしているうちに彼女は何も言わずに出て行ってしまった。

追いかけるべきだったのか、その後の彼女がどうなったのかは知る術がない。

店員さんは「出て行ってしまったらもうどうしようもない」と言っていたが、帰り道でもなんだかそのことを考えてしまい、その日は眠りにつくまで沈んだ気分のままだった。

***

送ったメールには翌日返事が来た。

親切心から貸したアドレスだったが、相手側にはスパムだと受け取られてしまったようで、かなりの暴言が返ってきた。

疑ってしまう気持ちはわからなくはないが、なんだか悲しくなってしまった。

言葉の壁を超えられていたら、きっともっと力になれたのだろう。

それとも、言葉はどうにかなっても、根本から彼女を救うことはむずかしかったのだろうか。

今となっては答えを見つけることさえ出来ないけれど。

そんな不思議な体験だった。

***

(暴言が思ったよりも心にグサグサ刺さり、今ちょっと傷心モードです。。人助けって難しい、あんなにひどいことを言われたら他人と距離を置きたい気分になってしまう)

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