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でこぼこの器を大きくする

このところ、朝ごはんを食べるようにしている。
ごはん、納豆、おみそ汁…
そんなメニューが理想だが、冷凍してある納豆を解凍するのも、インスタントみそ汁のお湯をわかすのも、なにより食べたあとのお皿を洗うのも面倒だ。

したがって、メニューはパンとプロテイン。
なおパンはスパイシーチキンサンドと決めている。

一応鶏肉(たんぱく質)がはさまっているとはいえ栄養価的には赤点だ。
でも、なにもおなかに入れないまま、仕事しながらお菓子をつまんで空腹をしのぎ、晩ごはんを迎えるよりはましだろう。
なにより体重を少しでも増やしたいのだから。

明日のスパイシーチキンサンドを買いに、毎日スーパーまで散歩している。

日中のスーパーでレジに列ができている日などほとんどない。
しかしたまに混んでいる日には、まあまあの頻度でじいちゃんばあちゃんたちに横入りされてしまう。

…わたしにも原因があるのだ。
前の人と距離を詰めて並ぶのが苦手だから。
わたしのパーソナルスペースはたぶん、広めだ。
後の人に詰めて並ばれると圧迫感を感じるし「早くしろ」と急かされているような気になって落ち着かない。

だから自分が後ろに並ぶときは平均より少し広めに距離をとる。人によっては「空いている」と思われてしまう。

横入りしたじいちゃんばあちゃんのカートのなかをチラ見して、少なければしょうがないと諦める。
しかしカゴが山盛りのじいちゃんばあちゃんには、時々「すみません、並んでます」と主張してしまう。

カゴの中身で判断する自分の器の小ささが情けない。わたしは大して急いでもいないというのに。

∽∽∽

気づかず人を不快にしてしまうことは誰にだってあるだろう。
人それぞれ置かれた状況も性格も価値観も違う。
だからおもしろいし、助け合うこともできる反面、不意に相手を傷つけてしまうこともある。

相手に悪意がないからといって嫌なことを嫌だといえないままだと、相手はもちろん気づかないままだ。
一方の自分は、自分ばかり我慢している気になり、嫌悪感が指数関数的に大きくなる。

でも、人に嫌だというのって難しいよね。
だって自分も完璧じゃないもん。

∽∽∽

会社員の頃、新人の指導係についたことがある。
よくないことはよくないと伝えてあげるのも指導係の役割だが、自分ができていないことを人に指図するというのは、とても苦しかった。

言行一致というように、自分ができないことは人にもいわないようにしている。
わたし自身「できてないのに、言うなよ」と思ってしまうから。

そうすると、なにもいえなくなってしまう。

たとえば夫に対して
台所を使ったのなら洗いものまですませてほしい
服を床に脱ぎ散らかさんといてほしい
脱ぎ散らかしたのなら翌朝にでも洗濯機に放り込んでくれ
ゴミを捨てたらゴミ袋をセットしてくれー

など、日々お願いしたいことは山ほどあるが、自分もつかれていたら洗いものは翌日にまわすし、服じゃなくても散らかしっぱなしにしているものはあることを考えると、なにもいえなくなってしまう。
(お願いしてムッとした顔をされるのも気分が悪い)

夫にさえこんな調子なのだから、一歩社会に出たらもっとなにもいえない。

対処法はきっと2つだろう。
相手を慮りながらも割り切る潔さを持つか、
「嫌だ」という解釈をそもそも変えてしまうか。

わたしは基本的に後者を選択しがちだが、そんなに機転のきく人間でも器の大きな人間でもないので、前者もだいじになるんだろうな。

あなた「自身」を「否定」するのではなくて、あなたの「言動」に対して「わたしはこう思います」と上手に伝えられるようになれたら。
そして相手への期待を手放せたら。

わたしもあなたも完璧じゃない。
でこぼこをまあるくしようとする姿勢も大切だけれど、寸分の乱れもないまあるい球体になるなど、無理な話だ。

捉え方を変え、伝え方を変え、でこぼこどうしで穏やかに過ごせるようになるといいなあ。

横入りのじいちゃんばあちゃんにも、心のなかで「お先にどうぞ」といえる自分でありたい。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近勇気を出して伝えたことは、なんですか?


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