自分を褒めたいなら、褒めてもらうほうが早い
人間の本性についての議論で有名なもののなかに、性善説と性悪説がある。
わたしも詳細は知らないが、ものすごくざっくり「人は善と悪のどちらを原点とするのか」についての議論だと認識している。(間違っているかもしれない)。
であれば、わたしは「性楽説」と「性悲説」があるのではないかと思う。
人間の原点は楽観的なのか悲観的なのか。
わたし自身は「楽観」が原点だと自認している。
ものごころつくまでは世界は自分中心にまわっていると錯覚していたはず。
そう、原点はおそらく超絶ナルシストでもあるだろう。
ものごころがついていないころの話なので、真偽はわからないけれど。
でも、学校という箱に放り込まれて、自分はクラスの中心にいないどころか、友だちさえできない現実をたたきつけられた。
すると、どうなったか。
卑屈になり、人を妬むようになった。
みんなのようになれなければ自分は人から受け入れられないが、みんなのようにはなりたくない。
どうしてわたしはわたしのままで疎まれるのか。
「みんな」にはあるのに、自分に欠けているものばかりが目につく。
でもわたしにだってなにかしら魅力はあるはずだ。
わたしはわたしのままで、なにがいけない。
そう葛藤した学生時代だった。
結局「常識・ふつう・あたり前」の3原則を身につけられないまま社会人になってしまった。
「ふつうに考えればわかるよね?」
「○○するのがあたり前でしょ?」
毎日詰められつづけて無になった。
誰か3原則を教えてくれよ。
習ってないよ。
国語・算数・3原則。
習ってたら、できたはずだ。わたしだって。
誰かわたしを認めてくれ。
なぜわたしじゃなくて、あいつなんだ。
どうしてわたしはこんなにダメな人間なんだ。
どうしてみんながあたり前にできることが、わたしはできないんだ。
こんな自分は嫌だ。
∽∽∽
そういうわたしが自分で自分を認められるようになったのは、本当に少しずつではあるが、大きなきっかけはコロナだったと思う。
当時は飲食店でバイトしていたが、たった1本のLINEで職を失った。
「コロナの影響でしばらく休業します。再開は未定です」
謝罪のひと言もなく。
わたしの心のなかでなにかがキレた。
どうやっても抗えない社会に対して猛烈にキレていた。
しかしどうやっても抗えないことは自覚している。
行き場のない怒りを酒でごまかすようになった。
酒を飲んでもコロナが落ち着いてくれるわけではないし、バイト先が謝ってくれるわけでもない。勝手に仕事が舞い込んでくるわけでもない。
結局、自分は自分で助けるしかない。
自力で生きているとは思わないし、たくさんの人に助けてもらって生きていると認識しているけれど、結局、最後の最後は孤独であり、自分しかいないのだと。
∽∽∽
どん底だったわたしは亡き祖父を自分のなかに降臨させることにした。
同居していた祖父はわたしが9歳のとき亡くなった。
数少ない祖父との思い出で思い出されることばはすべて、褒め言葉だった。
えらいね、がんばり屋さんだね、賢いね、できる子だね…。
クソみたいな今の自分に、おじいちゃんはなんて声をかけてくれるだろう。
「えいみちゃんなら、できるよ」
「えいみちゃんなら、乗り越えられるよ」
たぶん、ひとつの迷いもなくわたしを全肯定し、励まし、枕元に隠してあるキャンディーをひと粒わたしてくれるだろう。
二日酔いで、酒臭くて、最低な自分でも。
∽∽∽
脳内でじいちゃんと同居する毎日を過ごしていたとき、ある記事を読んだ。
というような内容だったと思う。
雷に打たれたような衝撃で、たった4文字の感想しか降りてこなかった。
「たしかに」
それまでわたしの脳内にはじいちゃんしかいなかったが、親友を増殖させることにした。
中学時代の親友
大人になってからできた友だち
尊敬する師匠
リアルでは親友でなくても、わたしの脳内親友として褒めてほしい人を降臨させた。
こんなとき、あの人だったらなんて褒めてくれるかな?
∽∽∽
あらゆる好きな人物に褒めてもらっていると、だんだん降臨させなくても勝手に自分を褒められるようになった。
もともとわたしはナルシストと思われるので、自分で自分を褒めるなんてお茶の子さいさいのはずだ。
長年の苦節により、褒め方を忘れてしまっていただけである。
降臨はよいリハビリとなり、わたしはわたしを取り戻した。
さらに、ちょっと社会で揉まれて「常識・ふつう・あたり前」を多少は身につけた。
3原則を身につけた楽観的なナルシストは、鬼に金棒を超えていると思う。
鬼に金棒と金パンツ
…ということで、自分をなかなか褒められない人は、大好きなあの人や尊敬するあの人に(脳内で)褒めてもらうのがおすすめです。
自分で自分を褒めようとするからハードルが高いのであって、誰かに褒めてもらうならちょっと気が楽じゃない。
自分が自分のいちばんの親友になろう。
最後に自分を助けられるのは、自分だから。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたの親友は誰ですか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?