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高校生と部活


#部活の思い出

山岳部に入る

高校生になったら絶対に変わった部活に入るんだ!と息巻いていた私は山岳部に入った。完全なるインドア志向の文化系だった私の少し反抗的な選択(と自分で思っている)は、ずいぶん周りを困惑させたようだが、ちゃっかり入部した。

山岳部とは文字通り山に登る部活である。冬はスキー、夏は夏山。バーベキューに無人島。これが大学生なら大分充実している部類の学生生活だ。

とはいえ、私はアウトドアは学校行事くらいでしか経験がなく、テントにも泊まったことのない初心者中の初心者である。「私って場違いなんじゃ・・・」と何度も心配したが、実際は初心者も多く、ゆるっとしつつも真面目な部活だった。

思い出の断片

山に登ることはつらく苦しいことであるが、その苦しさは忘れてしまうものである。苦しくて、もう前に進みたくなくても、足を動かせば目的地に近づくことが不思議だった。

木漏れ日や、水の音に心を躍らせ進む。見たことのない景色に目を見張る。時には体全体を使って登る。呼吸が荒くなる。でも私たちは歩き続けるのだ。

朝、まだ星が瞬いている空の下で朝ご飯を食べる。食欲はないが、パンをスープをで無理やりで流し込む。

晩御飯の鉄板はカレーだった。カレーは失敗のしようがないので素晴らしい。ただ、野菜が硬いままだとしゃきしゃきの人参を食べることになるので、そこは焦ってはいけない。

棒ラーメン、缶詰、パン、魚肉ソーセージ、先生が持ってきてくれたメンマ、羊羹。山で飲んだ湧き水。真夜中に通るサービスエリアで午前三時のアイスを食べた。

みんなで寝転んで夜空を見て、天体観測を歌った。

テントでは大富豪とおしゃべりをした。

下山した後の温泉も最高だった。

ウミホタルを見たときもあった。

スキーに関して言うと、私はスキーが全くできなかったため(私以外の女子は全員経験者だった)、男子部員の初心者と混ざって先生の指導を受けていた。さみしかった。リフトに乗るのも降りるのもタイミングが難しかった。

放課後

狭い部室は、大雨になると中に水が浸水することがあった。土日に大雨が降った後、月曜日に学校に行くと蚊がすでにわいており、気づけば脚がかゆかった。

部室には汗拭きシート、シーブリーズ、誰のものかわからない教科書等が散らばっている。ローファーと運動靴は、持ち主の性格を語るように脱がれていた。誰かが必ず「そろそろ片付けよう!」と言うのに、部室はごちゃごちゃしたままだった。窓から吹く風が気持ちよかった。

放課後部室に集まれば、だらだらと喋りながら着替えて練習の準備をする。(山岳部の練習とは、学校の裏山を荷物を背負って登ることがほとんどだった。)

放課後の、あののんびりした空気は何だったのだろう。いつまでたっても始まらないミーティングだって、喋っていれば何時間だって待てた。無駄に動き回れた。高校生であることをめいいっぱい楽しめ!と言わんばかりに時間が過ぎていく。

部活がない日は、バス道をわざわざ歩いて喋りながら帰った。漫画の新刊について三時間も語り続けた(その時はのどがカラカラになった)。部活帰りにアイスを買って食べた。部室の飾りつけに精を出した時もあった。

別にキラキラした女子高生というわけではないのだ。でも私たちの放課後は無敵で最強だった。

卒業しても

中学生のときに『けいおん!!』を見た私は、漠然と楽しい高校生活に憧れていた。(素敵なアニメですよね)

高校を卒業して二年ほど経つが、山岳部に入るということをあの時決断できた自分に「ナイス!!」と言ってあげたい。なぜなら本当に楽しかったからだ。美化しすぎだろうか。

卒業してから山に登ることは無くなったが、またあのときのメンバーでゆるっと山に登りたい。またきれいなものを見たいな。


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