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イタリアの親戚のお姉さん〜Mari〜

MariはNovellaの家に週2回、家事をしにくる
他にも出入りしているお宅があって、とにかく根っからの「綺麗好き」
家事代行は転職だ

Novellaとは20数年と言っていたので、1999年に私がNovellaのマンションに間借りしていたあとくらいからのよう(当時、顔を合わせたことがない)


☆親戚のお姉さんとは


歳の差的に「お母さん」でもないし、「姉」でもない
けど、距離感が「身内」って感じなので親戚のちょっと年上の「お姉さん」かなと(イタリアのみんなを日本でいう間柄に例えると)

週2回顔を合わすMariは、中距離バスで50分ほどかけてやってくる

元はNovellaが彼女の自宅近くのフィレンツェ中心寄りの場所に住んでいたのだが、今は郊外に居を構えているのでバス通勤になった

遠くなっても変わらずNovella宅に出入りしているのは、やはり「Novellaの人柄」が大きい Novellaは本当に優しくて親切、細かいことは言わないしおおらかだ 雇い主がそういう人柄だとバス通勤になっても続けたいと思える

☆家事代行のプロ


9時過ぎにやってきて、まずは大型犬2匹に彼女持参のおやつをあげて、ちょっと遊んであげてから、仕事着に着替えて「いざ!」

◆まずは洗濯物をセット

初めて会った時、Mariから「色物と白いものは分けてね」「ウールは別にしてね」と言われていた

「色物と白いものを分ける」のは自分の白い衣類が他の洗濯の色落ちで染まらないようにということなので、私はそのへん「染まってもいい」ので分けずに入れていた(笑

「ウールは別にしてね」というのは、イタリアでは洗濯は温水がほとんどでウールは温水では「縮む」可能性があるので個別にして水で洗うのだ

で、「ウールの洗濯物」について1つエピソードが

ある日、ウールを普通の洗濯物に混ぜて出した(わかっていて)
私は日本から持参した洗濯ネットに入れて洗濯カゴに入れるので、「洗う時そのままでお願いします」と言ってあったから、当然Mariはそのまま普通に洗濯したのだ

その日、私は朝Mariと挨拶を交わしてから街へ出掛けていた
帰宅したらMariがまだいて血相かえて「愛!あなたウールを別にしてなかったじゃない!あれだけ言ったのに」と

膝丈くらいのロングタートルネックを洗濯に入れていたのだが見事に膝上に
長袖だったのも7部丈になっていた

「あなた、洗濯して洗濯ネット開けたらウールが入っててびっくりよ!
何とか伸ばそうと引っ張ってアイロンもしたけど、これが精一杯だわよ」

と、少々お怒り気味に言われる

でも確信犯で分けなかったし、それでも全然問題ないので、ちょっと長かったし、袖も短めが好みなので(縮んで)ちょうどよかった、なんて呑気に答える私

びっくりさせてごめんね(笑 縮んでいて焦ったよね

◆床掃除

日本と違って床がタイルだったりテラコッタなので床掃除は水拭きが基本
仕事着のMariは足元が濡れてもいいようにサブリナパンツを履いて大きなモップで家中を水拭きしていく

埃を巻き上げないし、「洗われた」ように綺麗になるので水拭きっていいね

ただ、広い家なので重労働だろうな

◆水回りの掃除

バスルーム、トイレ、キッチンも「きれ〜〜〜〜〜い!」にきっちり掃除してくれる 

キッチンのシンクに水滴すらないほどに
バスルームのシャワーヘッド、蛇口もピカピカでおかげでいつも気持ちいい

けど、だから汚すのが勿体無くて自分のシャワールームは毎回拭き掃除していた(Mariは週2でしか来ない)

私のシャワールームはアクリル板で仕切られていて透明なので、使用した後は毎回スクイーザーで水滴を取らないと水滴後で曇ってくるので

洗濯機を回しながら、洗濯干しながら床の水拭き、水回りの掃除をテキパキこなしていくMari

◆洗濯畳んでアイロンかけて

洗濯が乾くと畳んでPaolo、Novella、私の分を分けて置いておいてくれる
よく私のだってわかるな、と思ったけど「見慣れない衣類=愛」なんだろうな

そして驚くべきは「アイロンがけ」がもう完璧!
クリーニング屋ですか?と思うほどに完璧で、普段私ならアイロンがけしないものまでかけてくれている(笑

と、家事全てにおいて完璧なのだ(仕事にしているのはうなづける)

☆自宅に招待してもらう


Mariが来る日に私がいると、ちょっとしたおしゃべりをしていたので仲良くなった 帰国が近くなった頃、「うちに招待したいわ」と言ってくれてお邪魔した

◆ルームツアー

イタリアのお宅訪問すると「必ず」と言っていいほどあるのがルームツアー
Mariも例に漏れず、カバンを置いたらまず家中の部屋を案内された(もちろんバスルームまで)

まずはキッチン

窓を開けると近くを鉄道が走っていて、その景色がMariはお気に入りなのだとか
確かにずっと見ていて飽きない

キッチンの棚の中まで見せてくれたが、たくさんものがあるのにきちんと収納されているので雑多感がなかった

◆リビング

無駄なものがないシンプルなリビングルーム、写真とは反対側にテレビがあってソファに横になってのんびりテレビを見るのもMariのお気に入り

◆寝室のクローゼット

リビングの奥が寝室になっていて写真を撮り忘れたが、クローゼットを全部見せてくれた

「愛にだけよ」と言われたので念のためぼかしておくがぼかしてもどれだけ綺麗に収納されているかがわかるだろう

お店ですか???

こんな感じでバスルームも綺麗に整頓されていた
家を出た息子さんの部屋がもう一つあって、今は手付かずにしているがそのうちゲストルームにするから泊まりにおいでと言われている

☆料理も完璧


家事が完璧というのはやはり「料理」も完璧だった

新鮮なイタリアンパセリが「ドーン」とシンク脇に何気にあるの素敵だ

ある日、出勤してきたMariが手にオリーブの実を持っていた
それはNovella宅周辺のオリーブ林のもので、落ちているオリーブの中から綺麗なようなものを拾い集めて持ち帰って「自分で塩漬けにして食べるのよ」と言っていた

◆Mari手製「オリーブの塩漬け」

この年のオリーブは仕込み中

この日は2022年に作ったものを出してくれた

テーブルセッティングして、まずは前菜から

ペコリーのチーズというと「ペコリーノ・ロマーノ(ローマの)」を思い浮かべるが、「これはトスカーナのペコリーノよ」とペコリーノとパルミジャーノの2種類のチーズ

黒オリーブが1つ添えてあるのは「茄子」を使った1品で何と言っていたか忘れたけど、皮を剥いて身の部分を加熱して潰して味付けしたペースト状のものでパンに乗せて食べたら美味しかった

Mari手製のオリーブの塩漬けもちょうど良い塩加減で、薬品を使わず渋抜きしているので後味に少し渋みがあるが、それがまたアクセントになっていた

オリーブの塩漬けのレシピ説明してもらったのに、メモしてなくて、、、
次回もう一度聞いてみよう 自分の故郷にオリーブが植っている場所があって毎年実がなるのだが、誰も取らないのでやってみたい

◆大好物のラザニア

知ってか知らずか、ラザニアを焼いてくれていた

本当にラザニア大好きなんだよね〜
思わず歓喜をあげたら、めちゃ大きくカットしてくれた

「私のラザニアはお肉たっぷりよ」と前日も仕事で忙しいのに夜から仕込んで置いてくれたのだとか Novellaのラザニアもとても美味しい、でもMariのラザニアは「肉汁」がたっぷり染みていてこれまた絶品だった

途中、ピンポーンとベルがなり入ってきたのは同じマンションの別の階のお友達
「ラザニアとか作るの面倒でしょ、たまに作るとお裾分けしてあげるの」とお友達にお裾分けしてあげてた 大量に作ったのはお裾分け分と夜には息子さんも食べにくるからかな 

おかわりは?と言われたけど、流石に腹パン(笑
じゃぁ、デザートにしましょうって、入るかなぁ〜〜〜(汗

◆ティラミス

こちらも手作りティラミス、大量(笑

週1ヨガに通って健康志向のMariなので、甘さ控えめで腹パンでも平らげました
というか、この盛りようよ(笑 日本でデザートに出てくる量の倍はないか???

デザートとともに出されたエスプレッソ

この陶器はMariのとっておきで、普段は棚の中に大事にしまってある
「気分を上げたい時に出してきてこれでコーヒーを飲むのよ」「後は大切な人が来た時とか」と言ってどのセットにするか選ばせてくれた

ちなみに最新型のコーヒーマシーンがMariのご自慢で「結婚記念日に買ったの」と嬉しそうに話すMariがいうことには、「旦那は記念日とか誕生日とか全然気にかけないから、自分で欲しいものを決めて買ってもらうの」ということだった

☆丁寧な暮らし、自分を大切に


最新のコーヒーマシーンもあれば、祖母の履いていたブーツまでピカピカに磨いて保存してあるMari

各部屋部屋は整頓されていて気持ちいいし、料理も手間暇かけることを苦にも思わないMari

「贅沢はできないけれど、この家は私の宝物」と言うMari

すごく丁寧な暮らしをしているし、「贅沢はできない」と言うけれど「豊か」な時間を過ごしているなぁと思う

「気分を上げるために」ととっておきの陶器でコーヒーを飲むとか、「自分を大切にしている」なぁ、と思う 

そうやって自分を大切にしているから家族にも手を抜かないし、突然目の前に現れた「イタリア語ほぼ話せない日本人」の私にも惜しげもなく愛情を注げるんだろうな

「豊かさ」って「贅沢」でも「お金」でもないことを教えてもらった

今度のイタリアは到着が木曜夜なのでMariに会えるのは週明けの火曜かな
再開できるのがとても楽しみだ

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