0120_日本人墓地の竹

映画「夕霧花園」のコロニアリズムとオリエンタリズムで、頭疲れた

2020年1月20日

再利用不可能なゴミ

① Grabのガソリン代
クアラルンプール都市部は、「東京ディズニーランド内のジャングルクルーズツアーの地形は、ここに着想を得たのでは?」と感じるような、沼の川(クアラルンプール)+トロピカルな木々+ショッピングモール+高速道路の組み合わせが続く。今日訪れた日本人墓地や先日訪れた華僑の墓地の間も、高速道路が縫うよう横断している。テキサス州のダラスのドカンドカンと建ったビルの隙間をジャングルで埋めれば、なんとなくクアラルンプールみたいになるだろうと思う。

電車は不便だとまではいかないけれど、駅からやはり車またはいつ来るかわからないバスに乗らないといけない。10分ぐらい歩ける距離を高速道路が何本も横たわっているので、初日は面白がって何度か現地の人と一緒にそれを徒歩で横切ってみた。

私は徒歩と(カリフォルニア州を徒歩で縦断したことがあるレベルで)公共交通が好きで、ほっとくとそこらへんの電車に一日中揺られていたいと思うが(旅鉄っていうの?いや、通勤時間が長いのが落ち着くのって、一体何フェチ?)、それでもあまりに高速を渡らなければならなすぎて、Grabを呼ぶ。

結局この一週間で3度ぐらい車を呼んでいる。シェアだからいいと思うにしては、クアラルンプール、車社会すぎ。それ以外の存在の仕方が考えにくいぐらいモールと車中心社会。

②映画「The Garden of Evening Mists(夕霧花園)」のチケット
領収証の類は基本的ごみとして書いてはこなかったけど、それにしても今日見た映画はけっこうきつかった。どんな映画かを(制作側・広報側的な人を降霊させて)書いてみます。

物語の主人公はマレーに住む中国人女性。第2次世界大戦中、旧日本軍によって占領されたマレーで、妹を従軍慰安婦(性奴隷)とされ、助けたくも村ごと爆破された。日本の敗戦後は、日本人の庭師の元で労働をしながら、いつかは妹が夢見た庭造りを、今となってはわからない爆破された村に戻ってできればと願っている。

庭師は日本庭園の哲学(借景など)のみならず、刺青などの伝統文化も紹介し、彼女の背中に刺青を彫る。かつて日本兵に拷問されたときに出来た傷の上から刺青を施されながら、彼女は殺された妹が微笑む魂をみた。それまでおぞましいフラッシュバックでしかなかった忌まわしい記憶がかたちを変え、心揺さぶられた。同時に庭師との間に官能と愛が芽生える。二人は共に暮らすが、敗戦後にしれいを受けた彼は、ある日何も言わずに去っていった。

数十年後、老いた彼女は旧日本軍の歴史を調べに、庭師と暮らした日本庭園に戻ってくる。あるとき自分の背中に彫られた刺青こそが、マレーシアの地図であり、爆破された村の位置や、彼自身が秘蔵していた金のありかさえも示していることを知る。

自分の恨んだ庭師が、実は会話によってではなく、ふたりにしかわからないやり方(彼女の背中を借景として)で思いを伝えてくれていたのだ。時を超えておとずれた、深い愛の思い出。流れるあつい涙。国家間の戦争なるものをはるかにこえた禁断の愛に感動をおぼえる。そこを彩るのは、刺青や庭園などの日本独自の文化!!!

おえ〜↑
降霊術を使って、日本に公開もされてないこんな売りポイントを書いてみましたが、いやー、この映画私はひどいと思った。

戦争中に国家の関係によって起きた暴力を、サバイバー自身がどう受け止めていくかは、個人差もあるし、その都度変わっていくものだと思うので、原作を読んでいない私には何も言えない。

でもピグマリオン、マイ・フェア・レディ、のだめカンタービレ等に通じる「(本人は無自覚だけど)見いだされる女性」が、「男の深い愛を通して真実やより人間としての深い知識」に導かれる…みたいなパターンを踏襲しているし、そこにオリエンタリズム+アジア内(その当時の日本の夢見た大東亜圏なるもの)のコロニアリズムが入ってくる。アジア人女性として米国に済んだことのある私にとっては、そのパターンが見えるだけで吐き気がしそうだったし、台湾の監督が作ったと言われても、一体誰に向けられた映画なのかわからなかった。

結局国家による暴力や性暴力を、中途半端なロマンスでお茶を濁してごまかしているようにしか見えない。個人がどうということを超えて、映画までゆくと、描かれているグループを表象してしまうわけだから、ほんとよくない映画だと思った。反面教師になったという意味では、ゴミとまでは呼ばないけどさぁ。日本公開されていないので、この作品のレビューはまだ少ないものの「旧日本軍てこんなことをしたの?ショック」とか「でも日本文化の良さは描けている」というソフトなハートのレヴューが目立つ。そういう部分でお茶を濁す構造を個人に託す日本の教育にため息が出る。ちなみに今朝訪れた日本人墓地に住み込みで管理をして墓守をしてくださっている方々は中国人のご夫妻だったのだから、本当に一日の間に頭がぐるぐるです。

いやぁ、阿部寛…いままで顔で損してると思ったけど、作品選びがことごとくかっこ悪いよ。。。そして官能のためだろうとお茶を濁すためだろうと、刺青施工直後に風呂とかありえない〜と、一緒に観ていた人(ふたりともタトゥあり)と嫌なため息をついたのでした。口直しにモールで飲茶食べたし。出費も多かった。

再生可能なゴミ

とくになし

ゴミにしないで済んだもの

画像2

①擂茶
Pandan Cahayaにある「素食之家」で擂茶(Lei Cha)を食べた。バジルソースのようなスープを玄米と野菜の上にかけて食べる。美味しくて、その前にビュッフェ的にたくさん豆腐を(依存症ですので)食べたというのに完食。何も一つも残さなかった。

0120"_ヨーグルト

②ヨーグルト容器
同じく「素食之家」でヨーグルトを食べたが、どうやらシングルユースではなく、洗って使っているようなので、遠慮しないで注文して、美味しくいただきました。

応援していただくと、そのお金でコーヒー、豆腐を買えます。