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メキシカン・プロレスの選手は、医療用マスクを縫いながら、コロナと闘っている

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、3月30日にメキシコは国境と都市封鎖に踏み切った。メキシコの伝統プロレス「ルチャ・リブレ」の会場も、全て閉鎖され、興行は休止している。ヒホ・デル・ソベラーノ選手は、医療用マスク製作を通して、「ルチャ・リブレ」文化を届け続けている。

原文: NPR "A Mexican 'Lucha Libre' Wrestler Is Sewing Masks To Fight Coronavirus" (2020/4/30掲載)
ライター: Carrie Kahn

「ミシンを使って、生のルチャ・ドール文化を伝えてきた」

ヒホ・デル・ソベラーノは、ルチャ・リブレを生業にしていた。テーマカラーの緑と金色のスパッツとマスクを身につけ、週に4日はメキシコ・シティ市内のアリーナで試合をこなしてきた。

リング名の「ヒホ・デル・ソベラーノ」とはスペイン語で「領主の息子」を意味する。彼は本名を明かさない。「プロのルチャドール(レスラー)は、自分のアイデンティティは明かさないものだ」。メキシコシティ北部のトレオンの自宅から、電話インタビューに応じてくれた。

彼の損害は試合中止だけでなく、副業もすべて失った。長年ルチャドールたちの身につける華やかな衣装とマスクのデザインと縫製を請負ってきた。彼と妻の作る作品を収集する顧客たちは世界中にいて、一揃えに200米ドルほどの収入を得ていた。

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「試合はしないが、マスクを縫うのはやめられない」

国境と都市封鎖から半月ほど経つ頃には、彼は絶望し始めていた。生活費や食費が払えないのだ。

「試合用のフルフェイスのマスクしか作りたくない」。ミシンを使って予防用マスクを作るという妻の提案に、当初、彼は難色を示した。

「でもある朝早く縫製室、ミシンの音が聞こえてたんです」と妻のマリッサ・エスピノサ・ロドリゲスは語る。支払いが滞り、食料も尽きた、彼も折れたのだ。背に腹は代えられない。

「頭を切り替えるのはむずかしくなかった。少し縫製技術に工夫して、鼻から顎を覆うタイプを作った」と彼は言う。試合用マスクのディテールと華やかさはそのままに、メキシコのルチャリブレ文化のスター選手達へのオマージュをデザインに落とし込んだ。エル・サント選手の銀、ブルー・デーモン選手の青と白、そしてもちろん彼自身テーマカラーの緑と金。

「レスラー試合で怪我をさせてる場合じゃない。いまはただマスクを縫う手を休められないんだ」
ヒホ・デル・ソルベラーノの工房で製作されるマスクは1枚150ペソ (6.26ドル) で販売中だ。現在はフェイスブック上で注文を受け付けている。売上は伸び続けており、現在1週間に200枚以上のマスクを縫っている。

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通訳アテンド・翻訳者。障がい者介助者。アーティスト・イン・レジデンス運営。 東京→川崎→横浜→(いろんなところ)→NY→ベイエリア→札幌。 趣味はゲリラ・ガーデニングと自転車。重度のコーヒーと豆腐依存症。 猫のしたっけと行動を共にしたがる。