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ワーママ部長 転職をふりかえる_5 「ワーママ」が足かせにならなかった理由

採用面接は、私が思っていた以上にスムーズに進んだ。
「家族だいじ」カードは、意外とビハインドにはならなかった。私は無事、オファーをくれた中で最も魅力を感じた企業に転職した。

正直、拍子抜けした。ワーママ転職は大変だと聞いていたのに。
けれど、おそらく、ワーママが足かせにならなかったことには理由がある。

管理職としての転職だった

よく考えたら当然のことなのだが、本部長経験のある私の面接官は、全員、少なくとも部長以上の立場のある人間だった。
ある程度の裁量がある「駒を動かす側」が重視することは、属性やスタンスではなく、「この人、バリューを発揮できそう?」ってことだけ。
「家族を大事にしたい」=「長時間働けない」=「いまいち」という考え方をする面接官はいなかった。そういう視座の人たちではなかった。

管理職としての面接は、「何ができる人か?」以上に「どういう人か?」が問われた。

・部下を与えた場合に、うまく動かせそうか?
・他の部門長と横のつながりを築けそうか?
・経営の意図を汲み取って先回りしてくれそうか?

平たく言うと、そういったことを問われていた。
そして、それらの問いに対する答えと「家族だいじ」は矛盾しなかった。

いわゆる「JTC」を受けてない

今回の転職では、「JTC」と呼ばれる伝統的な価値観の会社はスコープから外した。
彼らがワーママを求めていそうに見えなかったのと、新卒で入った会社がJTCだったので、そこでのプロパー信仰や狭い世界のいざこざを見て、「自分とは合わないな」と思っていたからだ。

新進気鋭の役員が外部から来ても「ウチの会社っぽくないよね、あの人(クスクス)」という扱いを受ける。その保守性こそがJTCの良さなのかもしれないが、あの沼に「転職してきた新しい部長です」と挨拶する勇気はなかった。

結果的に、それが「ワーママ」への偏見の少ない会社を選ぶことにつながったのだと思う。

相手の期待値を上げすぎなかった

私にきているオファーの多くは執行役員や新規事業部長だった。
それらは受けないと決めていた。要するに「直接的な経営は背負わない」ポジションだけ受けると決めていたのだ。

独身だろうとワーママだろうと、すべてを投げうって身を賭して、それでもうまくいくとは限らない。経営を背負うということは多分そういうこと。生き馬の目を抜く最前線に出るオファーは受けなかった。

でも、戦いには後方支援部隊が必ず必要。「最前線には出ないけど、色々やってくれそうな妙齢の人」というポジションを狙いにいったのだ。そこにうまくはまった。

釣りたい魚を決めて、その魚が多く存在するであろう池に釣り糸を垂らした。総括するとそんな感じの転職活動だった。

でも、それらの打ち手を打てたのは、私が一定以上の立場だったからなんだよな。やっぱり「出世は正義」だわ。

ここからが本番

でも、まだ転職して1年もたっていないので、正直、転職の成功を語れる立場にはない。

新しい会社でどれだけやれるか?はまだ未知数。
成功も失敗も、そのときどきの解釈に過ぎない。すべては変わりゆく。
一時期だけを切り取ったら、成功譚に見えることもあれば失敗譚に見えることもある、というだけ。

でも、人生の褌を締め直せた感あるので、よかった。
選ばれる立場になるのも久しぶりで刺激があった。やっぱり、新しいことに向かい続けることが人生なんだよな。

まだまだ人生こっからっすわ。

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