【詩】マスカレード

天井から吊り下げられた黄金のシャンデリア　
幾粒ものビジューが煌めいては恍惚とした気分にさせる

華やかな舞踏宴の始まり
グラスを満たす赤黒い波を少しだけ傾けて
ゆっくりと神秘の味を堪能していく

中央の壁には名を奪われた貴婦人と公爵のワルツのワンシーン
Shall we dance?
耳元をくすぐる秘密のおまじないが響きあう

決して知られてはならない　真実と噓の境界線
恭しいお辞儀を繰り返しては
同じステップとワルツに興じている

窓辺には　幾年も前に正体を明かされた少女の黒真珠が　不気味に輝く
流れ星の光に照らされながら