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いのちをみつめる

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死んでしまいたいときとか、ちょっとだけ、ほんの一呼吸だけ置くことができたら…… そんな作品を、集めてあります。 生きよ。 そなたは美しい。     (宮崎駿『もののけ姫』より)
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2023年4月の記事一覧

病む父母と魔と神と。〔Kだったあなたに捧げます〕

よりによって今の今コロナ。
父も母も。
私はおそい子で。
ひとり児で。
どっちもいま、小康で、しかも別々の病院にいる。

俺はどっちに行けばいい。

俊!
どうしてここだとわかったの?

おまえが困ってる時はちゃんとわかる。
どっちへ行く。
お父さんとこか。
お母さんとこか。

えっと・・・

父さんは持病がある。
しかも動きたがる。
あたしがついてないと・・・

でも母さん、誤嚥とかしやすい。

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光と影〔高見純代さんに贈る一作です〕

花を活ける。
太陽の位置を想定すると、花の気持ちが見えてくる。
これ見よがしに咲き誇りたい子もいれば、そっと茎間から振り仰げればいい子もいる。
花でさえ、千差万別。
人は・・・もっと複雑怪奇かな。

私が正教授になった日に、葵さんと茜村さんと譲原さんが辞めていった。
せっかくの歳月、惜しくないですかって聞いたら、葵さん、言った。

惜しいわ。
頭から湯気出そう。
でも辞めるの。
理由は聞かなくても

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宮君に捧げる三首

夢は果て命の終わる時の来むただの屍名も無きままに

夢一途走り抜けたるつもりでも神仏の手の内側だらう

遠ざかり行くもの全て捨てたのち私の道のはるけきを知る

いただいたテーマは「夢」。
真面目にじっくり考えたら、そこに空っぽの自分がいました。
ありがとう。

決心〔じゅんみはさんに捧げる一作。大変お待たせしました〕

秀一郎は夫の父だ。
りんとした美丈夫で、英の父親じゃなかったら、ちょっと悪心起こしたくなるほどの・・・
コホン。
そんなわけで私は長らく秀サマと呼んできたのだが・・・
秀サマそろそろ末期となった。
お兄様のお年を超したと喜んでらしたのに。
僕は鬼子だから家族の病にはかからないんだよ、までおっしゃるようになってたのに。
余命三ヶ月か、もっと短い。
お医者様の宣告を聞いたら、秀サマ絶対落ち込んでしまう

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