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『刀ステ』悲伝 考察 ネタバレ注意

舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰 の考察になります。ネタバレを含みますので注意してくださいね。




『刀ステ』とは


DMM GAMESが出しているPCブラウザゲーム(現在はスマートフォン向けアプリも)『刀剣乱舞ーONLINEー』を株式会社マーベラスが舞台化したものです。

以前に紹介した「ミュージカル『刀剣乱舞』」とは違い、ストレートプレイと言われる歌唱を含まない演劇になります。

2016年5月に初演「舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺」から始まり、今回の「悲伝」がシリーズ6作目。

キャストは三日月宗近役の鈴木拡樹さんを含め、舞台界隈ではスケジュールを抑えるのが大変な豪華すぎるキャストを揃え、初演から話題となりました。

今までの2.5次元を超越する殺陣と、確かな実力を持つキャストの表現力、演出家の末満健一さんの独特な世界観でファンを魅了し続ける作品です。





今までの作品のあらすじ


舞台は西暦2205年。

物の心を励起させる力を持つ「審神者」が刀剣の付喪神「刀剣男士」を呼び出し、歴史を改変しようと企む「歴史修正主義者」と戦う「刀剣乱舞」のストーリー。

「刀ステ」では、その中で戦う本丸の1つを表現したものになります。

「歴史修正主義者」は、様々な過去へと飛び、歴史を改変しようとしていて、「虚伝(初演・再演)」では本能寺。「義伝」では関ヶ原。「ジョ伝」と「外伝」では小田原征伐。それぞれ過去に縁がある刀剣男士たちが、前の主人と今の主の間で心を揺らしながら、「自分たちはなぜ歴史を守らなければいけないのか」葛藤し成長していくストーリーです。




「悲伝」とは

今回の「悲伝』の舞台は、「永禄の変」。室町幕府第13代征夷大将軍 足利義輝が殺されようという時代です。

しかし今回の出陣では足利義輝が所持していた刀の集合体「時鳥(刀剣男士からは鵺と呼ばれている)」が刀剣男士たちの前に立ちはだかります。

「時鳥」を前にした「三日月宗近」のとった行動から本丸がどうなってしまうのか・・・。








伏線の回収


今までの「刀ステ」のは、伏線をばら撒いてきたところがあります。

「刀剣乱舞」で要の存在と言ってもいい「三日月宗近」が、前々から不穏な言葉を言っていました。

「いずれ来るやもしれぬ、大きな試練と立ち向かうためにだ。」義伝 暁の独眼竜より

三日月は、まるで未来に何か起きることを予期しているかのようなそんな台詞が多かったのです。

それを今回回収していく形でした。


まず、「三日月宗近』が未来を予期しているかのような発言をしてた理由ですが、三日月が何度も何度も同じ時間をループしていたことが分かりました。

三日月は、歴史の「結の目」になってしまっていました。「結の目」とは、糸が絡まってぐるぐるになった状態のことで、つまり歴史が絡まり合って混乱している原因になってしまっていたのです。

「結の目」になってしまった三日月は円環の中に閉じ込められ何度も何度も同じことを繰り返していたわけです。


歴史をあるがまま守ることが目的の「刀剣男士」。けれど、三日月の存在により歴史上の人物が「何度も同じことを繰り返している気がする。」といったり、「時間遡行軍」に本丸の場所を辿られるなど確かに支障が出ていました。

そこで政府は「三日月宗近』を刀壊するよう審神者に命令。三日月の力がだんだん衰弱していく様子は観劇客の心を抉りました。




なぜ三日月が「結いの目」に?


実はここは「悲伝」で明確に語られていない部分になります。今回は、私が考える1つの考察として紹介します。

今までの公演で、三日月が「できればずっと見守っていたい。」というような台詞をいったことがあります。もしかしたら「三日月宗近」にとっては「歴史を守る理由」は「今の主のため」ではなく、「前の主のため」でもなく、「この本丸で仲間と過ごした日々を守りたい」そんな思いがあったのかもしれません。

「悲伝」で三日月が歴史を守る行為を「徒労」という場面があるのですが、きっとそれほどに何度も何度も1振で「仲間と過ごした日々」を守ろうとしていたのだと思います。

でも歴史は何にも変わらなくて、「時間遡行軍」が本丸に奇襲を仕掛けてきて仲間が負傷するシーンも何度も何度も見てきた。心が疲弊して、闇堕ちのような状態になったことで歴史の「結いの目」となってしまったのではないでしょうか。

サブタイトルのもある「不如帰(ホトトギス)」は、古代中国の望帝が「ホトトギス」と化して「不如帰去(帰りたい)」と鳴いたことからついた漢字だそうで

円環を抜け出して、仲間の元へと帰りたい。」という三日月の心の声のことを表ているのかもしれません。


↓三日月が囚われていた円環がビジュアルで表現されていた!散りばめられた伏線の回収も楽しい。





三日月宗近が託したもの


初演の頃から三日月はやたらと近侍である「山姥切国広」に肩入れをしている様子でした。

「悲伝」でも、「山姥切との約束があるからここで折れるわけにはいかない。」と言っていて執着を見せます。

山姥切は、歴史が狂う中で三日月が何度もループしてきた世界を見ることになります。最後の最後に行き着いた先は波音がする真っ白な世界。

そこに現れたのは、真っ白な「三日月宗近」でした。


すでに力が衰弱化している三日月と刀を交わし合う山姥切ですが、時間をループしてきた三日月に敵うことなく三日月は消えてしまいます。

その時に「次は勝つ」と山姥切が言う台詞があって、これが三日月のいう「約束」なんだろうなと思いました。

つまり、この戦いを繰り返す中で「山姥切国広」が「三日月宗近」に勝てる日までこの円環の世界からは救われないということ。

ここから、「三日月を円環から救うストーリーにつながるのでは?」と考えているファンの方も多いようですね。

確かに、このままだと後味が悪いですし、本当の三日月の思いが明らかになっていない所を見るとやはり続編がありそうですね。



また、すごく気になっていた部分があって、「三日月宗近役」の「鈴木拡樹さん」が初演から再演の時に声音を変えていたんです。

なんでかなって思っていたのですが、今回最後の最後で新しく「三日月宗近」が顕現されるシーンで、声音が初演に戻っているんですよね。

多分この表現は、円環の中で本丸が「虚伝」の頃に戻ったことを表現しているのだと思いました。





感想

雑誌で演出の末満さんが、初演の頃から先を見据えていたとおっしゃっていました。その通りで初演の頃から伏線が散りばめられていたりと全部意味がちゃんとあって「悲伝」でそれが繋がりました。

今回のパンフレットでも背景が白い理由など細かなことを見だすとキリがない。考察がすごく楽しい作品でした。

もうすぐ大千穐楽を迎えますが、円盤も出ますし、「DMM」だったらストリーミング配信も買えます。



ぜひこの世界観を味わってみてはいかがでしょうか?




キャストインタビュー記事

鈴木拡樹、舞台『刀剣乱舞』への思い「どこかやり方が不器用な三日月が好きです」(週刊女性PRIME) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180719-00012847-jprime-ent @YahooNewsTopics

骨喰藤四郎役・三津谷亮&大般若長光役・川上将大が明かす、"刀ステ"シリーズ集大成「悲伝 結いの目の不如帰」への想い(オリコン) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180727-00000306-oric-ent @YahooNewsTopics

舞台『刀剣乱舞』シリーズ集大成となる最新作「悲伝 結いの目の不如帰」が開幕、三日月宗近役の鈴木拡樹「本作は"結び"の作品」(オリコン) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180602-00000323-oric-ent @YahooNewsTopics


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